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スズキ・ジクサーSF250…….481,800円
まず主要諸元にある燃費率データを記しておくと、2名乗車60km/hの一定速度で計測する定地データで45km/L。WMTCモード燃費の値が37.7km/Lである。ちなみにモード燃費とは1名乗車で発進、加速、停止等を含め、予め決められたパターンで走行した時の計測値。定地燃費と比較すると実用燃費率に近いデータが導き出されるので、併記されるようになっている。
元来燃費は走り方(走行条件や状況)で大きく変化する。簡単に言うとライダーの扱い方一つで大きな差が生じてしまう。だからカタログに記された諸元値はあくまで参考程度に読み取るのが正解。特に定地燃費の方は理想値と言え、普通の実用場面でその値が出る事は、まず期待できないのである。
以前から言われていたのは、大雑把な話ではあるが、実際の実用燃費率は定地データの60%前後か、良くても70%程度。つまりこのジクサーSF250の場合、27~31.5km/L程度走れば上出来と判断できた。
ところがである。試乗撮影時に満タン法で実測したところ、166kmの走行で燃料は4.34Lを消費。実用燃費率はナント38.3km/Lをマークした。撮影時は市街地、高速、郊外のステージを元気良く走行。Uターンから強めの加速等、燃費面ではマイナス要素が多かったにも関わらずの好燃費率に感心させられた。
しかしジクサーSF250の実力はこの程度ではなかった。
一般的なオーナーの通勤需要を想定して、都心まで片道約15kmの道のりをあえて渋滞の発生する朝の時間帯に往復してみた。
片道の所要時間は大体26分~36分だったので、平均速度は25~35km/h程度。特にエコランには気をつかわず、信号待ちでのアイドルストップもしないで、ごく普通に交通の流れに乗って走行した。同じ通勤経路を3往復してガソリンスタンドまでの移動等、トータルで96.7kmを走行して給油するとガソリン消費量は僅か2.24L。通勤用途での燃料消費率は実に43.2km/Lという結果。主要諸元に記されたモード燃費率の値を大きく上回る好データを叩き出したのである。
正直、この値にはビックリである。エコランを意識した丁寧な扱いに徹すれば、定地燃費率を上回れる可能性もあるのではないかとさえ思えた程、その経済性に対する魅力は大きい。
この結果を基に計算すると週5日の通勤(往復30km)にかかるガソリン消費は約3.5L。リッター当たり125円で算出するとガソリン代は438円。ワンコインでお釣りが来る。また燃料タンク容量は12L。単純計算すると満タン航続距離は518km。想定した通勤なら3週間以上を無給油で走れることを示していた。
今回は、あえて通勤(想定)テストを実施してみたが、改めてジクサーSF250の経済性の高さが証明されたわけだ。SEPエンジンの傑出した出来に拍手をおくりたい気持ちになった。まさにお得度の高いバイクなのである。