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VFR800X(キャンディープロミネンスレッド)……1,500,400円
伝統のV4エンジン搭載! 高性能を追求した会心作
ホンダが最重視するのは今も昔も変わらず高性能なエンジンだ。今や伝統的なオーセンテック・カテゴリーとなったCBシリーズをはじめとして、スポーツバイクのエンジンには常にモアパワーに加えて、信頼性とコントロール性を追求してきた。そのホンダが世に生み出した様々なエンジンレイアウトの中でもV型4気筒エンジン(以下、V4)は、レースシーンでの圧倒的なパフォーマンスからフィードバックを得たもので、現代に続くスポーツバイクに引き継がれている。
現行のV4エンジンを搭載した市販フラッグシップスポーツモデルは、以前試乗したVFR800Fだが、そのエンジンとフレームをそのままにポジションを変更して、流行のアドベンチャースタイルにまとめたのがVFR800X。ちなみに、ホンダではアドベンチャーモデルをクロスオーバー・コンセプトモデルと呼んでいる。
ポジション変更で乗り味が激変!
一般的に、オンオフ両方の使い方ができるよう設計されたアドベンチャーモデルにも、前輪に大径ホイールを履いてオフロードの走破性を高めているものと、ロードスポーツと同様のホイールサイズを選択しているモデルがあるが、VFR800Xは後者である。VFR800Fと同径の前後ホイールサイズを採用していることから、オンロードモデル寄りの性格を持っていることが分かる。
跨ってみるとVFR800Fとはまるで違う!? バーハンドルが採用されたアップライトなポジションに最初は途惑った。燃料タンクとシートがスリムで、ロードスポーツというより、オフロードバイクに近いポジションだ。しかし、見た目はボリュームがあるのにV型エンジンとボディがスリムなため、足着き性は意外なほどよい。また、平均的な日本人の体形でも無理がないよう、大型オフロードバイクと比べるとグリップやステップ位置が近いので操作がしやすいと感じた。
脚の長さがオフロードで活きる!
エンジンをかけると、メカニカルノイズが多いV4独特の排気音は、マフラーが最新の騒音規制に対応しているため、予想より重量感のあるサウンドだった。
走り出すと低回転からグングン押し出すような加速感が味わえる! 低速から中速域の加速は直4リッタースポーツモデルに匹敵するほどだ。さらに、アップライトのポジションは目線が高くなるので速度感が前傾姿勢のモデルより感じられず、調子に乗って加速していくとすぐに速度超過してしまう(笑)。一般道では頻繁に速度チェックすべし!
ポジションとともに、VFR800Fから大きく変わった点は足周りだ。フロントのクッションストロークを25mm、リヤのアクスルトラベルも28mm延長されている。最低地上高は135mmから165mmへと30mm
拡大し、十分なロードクリアランスを確保。よく動くサスペンションとアップハンドルの組み合わせはダート走行でも効果的で、後方に体重をかけられるポジションも相まって安心感が高い。普段使いでも、コンビニに入る際の段差を乗り上げた時などで苦にならないのが嬉しいところだ。
また、VFR800Xには独自のスリップコントロール機構「セレクタブルトルクコントロールシステム」が装備されているのも心強い。フラットダートなら舗装路と変わらないくらい普通に走ることが出来るので、やはり自然と速度が上がってしまう(笑)。のだが、スリップを感知してシステムが働いていることを点灯して知らせてくれるインジケーターが装備されているので、これが点灯していると「少しペースを落とそうかな」と自制心が働く恩恵もある。
一方、オンロードでは、ちょっと気合いを入れて走ってみたところ、足周りが延長された分、コーナリング時の柔らかさはあるもののタイヤの接地感は申し分なく、スポーツを楽しめるパッケージとなっている。ハンドリングにはVFR800Fほどのシャープさはないが、タイトコーナーから高速コーナーまで操る楽しさは十分に堪能できた。また、高速道路を使用したロングツーリングではもう少し大き目のシールドが欲しい気もするけれど、法定速度内で走っている限り疲労感は少ない。
ツーリングメインで、たまにスポーツを楽しみ、林道も走ってみたい、といったマルチな使い方をするなら最高の1台だろう。
足つきチェック(ライダー身長182cm)
ポジションがアップライトになってハンドル幅も広がったため大柄なイメージを受けるが、グリップ位置が手前にありライディングポジションは意外にコンパクト。タンクやエンジン周りがスリムなので足着き性は良好! ただ、身長182cmのテスターにはヒザの曲がりが大きくなり少し窮屈に思えた。シート高は815mmと835mmの2段階でアジャストできる(写真は835mm)。