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豊富なバリエーション展開を簡単解説。
基本的な選択肢は二つ。Africa Twin、もしくは同Adventure Sports。(2020年2月14日発売) いずれの機種でも6MT(マニュアルトランスミッション)と、DCT(Dual Clutch Transmission)から選ぶ事ができる。(DCTは11万円高) ●スタンダードグレード ・CRF1100L Africa Twin 6MT.......1,617,000円(グランプリレッド) ・CRF1100L Africa Twin DCT.......1,727,000円(グランプリレッド) ・CRF1100L Africa Twin Adventure Sports 6MT.......1,804,000円(パールグレアホワイト) ・CRF1100L Africa Twin Adventure Sports DCT.......1,914,000円(パールグレアホワイト) ●電子制御サスペンション装備の最上級機種(2019年12月13日発売) ・CRF1100L Africa Twin Adventure Sports ES 6MT.......1,947,000円 (パールグレアホワイト/ダークネスブラックメタリック) ・CRF1100L Africa Twin Adventure Sports ES DCT.......2,057,000円 (パールグレアホワイト/ダークネスブラックメタリック) これらに加えて2020年4月17日からは受注期間限定ながら、ロングサスペンションの《s》仕様がAfrica Twin と同Adventure Sports ES においてリリースされる。 ※価格は共通、受注期間は2019年12月12日〜2020年5月31日迄。
1988年デビューのXRV650 でビッグ・オフロード市場を開拓したアフリカツイン。2代目XRV750を含め、大自然のステージを走れる本格的なオフロード性能と長距離ツアラーとしての機能性は、今や主力カテゴリーに成長したアドベンチャー・ツアラー系モデルの人気拡大に貢献した1台と見て間違いない。
2016年にトゥルーアドベンチャーとしてCRF1000Lアフリカツインが復活。DCTも加わり快適性は飛躍的に向上し、改めて大きな注目と高い人気を獲得。そして今回、エンジンもフレームもサスペンションも明確な革新を得てCRF1100Lアフリカツイン としてフルモデルチェンジされたのである。
基本コンセプトこそ共通だが、この新型アフリカツインは最新の電子技術の導入によってめまぐるしい進化を見せた。6軸IMU(慣性計測装置)の搭載を始め、最新のタッチパネル・ディスプレイも目立っているが、前モデルにプラス100ccの余裕を獲得したエンジン特性と、よりフレンドリーで快適なライディングポジションをもたらす軽量フレーム。そして電子制御サスペンションのEERA(Electronically Equipped Ride Adjustment)まで、総合性能の進化の大きさは驚く程だ。
エンジン性能曲線を見ると、パワー/トルク共に全回転域で性能向上を達成。出力は7%アップ。特に中低速域でのトルク向上が目立っている。しかもセラシギヤの廃止を始め細部にわたる見直しで大幅な軽量化を実現。MT仕様で2.5kg、DCT仕様で2.2kgもの軽量化を果たしている。
フレームやスイングアームでも軽量化を徹底。しかもリヤフレームのスリム化を追求することで、足つき性が改善されたのも見逃せない点である。2016年デビュー以来4年ぶりのフルモデルチェンジを機に達成された熟成進化の度合いは過去の変遷を振り返る中でもひときは大きく、歓迎できる革新ぶりが印象的である。
一目瞭然の新旧比較
一段と良く粘る、扱いやすく快適性の向上した乗り味が心地よい。
気になるロングツアラーとしての乗り味はどうか。標準装着されたブリヂストン製バトラックス・アドベンチャークロス・ツアラーを履くESの試乗車で一般公道へと繰り出した。
途中荒れたガレ場の続く林道にも立ち寄り撮影&乗り味をチェック。装着タイヤは主に舗装路用。林道を走るならそれに相応しいタイヤを履かせた方がベターである事は間違いない。ライダーの体重移動もしやすいし、オフでもグリップ力が優れているからだ。
とは言えアドベンチャースポーツもフロント21インチサイズと、210mmのロードクリアランスのおかげで険しい道に遭遇しても躊躇なく進入して行ける心強さがある。狭い場所で引き返すようなシーンでも、バイクに跨がったまま切り返しターンすることができたのはとてもありがたかった。
そんな時、違和感なく扱えてしまうDCTの熟成ぶりには感心させられた。クラッチのつながり具合と切れ具合が、ほぼライダーの意志通りになり、右手のスロットル操作だけで扱えてしまう。前述のオフロードコースでも同様に実に賢いシフト制御が成されていたのである。
まして舗装路の一般的な走行シーンでは絶妙のシフトワークを披露してくれ、とても上手にライディングできてしまう。電子制御技術の進化熟成がもたらす性能向上には、改めて侮れない魅力があると痛感させられた。
エンジンはトルクが太く、かつスムーズで頼り甲斐の増した出力特性が印象的。電子制御系も熟成されて、制御の介入がライダーの気分を害すようなシーンも避けられるようになっている。それらの効力には素直にありがたいと思える事ばかりである。
前車追従式で無いのが残念だが、クルーズコントロールも装備され、ビッグタンク装備と相まって、遠くまで一気に快適ワープできる、ツアラーとしてのポテンシャルも魅力的。
電子制御式サスペンションはダンピング具合が緻密にコントロールされ、凹凸を通過した時のバイクの挙動自体が穏やかで、乗り味として落ち着きが感じられる。21インチホイールも奏功してコーナリング時も素直な操縦性の中に、しっとりとした安定感が伴い、終始快適な走りを提供してくれるのだ。
レッドゾーンは7800rpmからで、開発陣によると8300rpmでレブリミットが作動するという。全域で頼れる高トルクゆえに、実用的にはどんな場面でも右手を一捻りするだけで十二分に満足できるダッシュ力があり、この点も気持ちよい。因みにローギヤで5000rpm回した時のスピードは53km/h。6速トップ100㎞/hクルージング時のエンジン回転数は3250rpmだった。
余裕綽々なエンジンと落ち着き払った操縦安定性は絶妙のマッチング。ロングツアラーとして抜群の快適性が楽しめるのである。