エンジン2基積みで50cc!? めちゃ小さいけどちゃんとバイク、「仔猿(コザル)」に「X50TT」が登場です。

日本人には馴染みのあるレジャーバイクをスケールダウンさせたかのような仔猿を開発・販売しているCKデザイン。汎用エンジンと、独自設計のフレームを用いて、これまで数機種が開発されてきた仔猿だが、このたび驚きのニューモデルを発売するという情報が入ってきた。なんとエンジンが2基載!気になるじゃありませんか。


REPORT●増田 満(MASUDA Mitsuru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
ツインエンジン仕様で発表された仔猿X50TT。

なんとユニークなバイクだろう。オリジナルフレームに31ccエンジンを搭載する、従来モデルの「仔猿」ですら冗談のような乗り物だったのに、CKデザインが発表した新たなモデルは写真のようにエンジンが2基搭載されているのだから。ここまで脱帽ではすまないほどロマンの溢れるバイクと言わざるを得ない。開発した佐々木和夫さんの言葉からも真面目な設計思想が貫かれていることは、実際の車体を見ても伝わってくる。まるでおもちゃのようなスケール感だが安全性を担保していなければ、公道を走行可能とする乗り物として失格だと考えているのだ。だから佐々木さんは開発したマシンを自らかなりの距離をテストライドして、安全に操作できるか徹底して確認している。そこが怪しげなカスタムマシンとは一線を画するメーカーとしてのプライドだろう。だから冗談やおもちゃと表現したのは貶める言葉としてではなく、称賛の意味を込めているのだ。だって、これほど小さくエンジンが2基連結されたバイクなのに、絶対的な安全性を求めるなど誰が真面目に開発するというのだ!

CKデザイン代表の佐々木和夫さんと比べればスケール感に驚くはず。
乗車した姿からは笑いしか出てこない。

仔猿はKo-zaruと表記されるキットバイクで、2000年代初頭に発売された。ホンダ製汎用エンジンであるGX31を見初めたことが開発のきっかけとなり、佐々木さんのバイク原体験である多摩テックで乗ったモンキーの祖であるZ100のような車体を作ってみることとなったのだ。そのコンセプトは「世界一可愛くて楽しいバイク」。そこで31ccしかない排気量でもバイクとしての性能が確保できるサイズが生まれ、購入者自らが組み立てるキット販売というスタイルが採用された。

左がニューモデルで奥が参考のため展示された従来型の仔猿。
従来型に採用されたホンダ製汎用エンジンのGX31。

従来の仔猿でも十分以上のインパクトがあり、現在でも生産され続けているほどの人気を集めた。また自ら組み立てる工程が楽しいと評判にもなったが、それ以上に自分で作ったことが愛情へと育つ。仔猿というネーミングの通りに、育てることが喜びにもなるのだ。ところが佐々木さんの野望はこれで終わらず、2007年ごろから2気筒モデルの開発に乗り出している。小さくて可愛いけれど安全重視の設計はそのままに、ツアラーとして育てるにはエンジンを2気筒とすることが導き出されたようだ。そこで従来モデルより小さな汎用エンジンを見つけ出し、検討が開始された。

縦に連結された汎用エンジン。
使われたのは25ccのホンダGX25だ。

使われた汎用エンジンはホンダGX25で4ストローク単気筒。2基を連結させたといってもそのまま縦に並べただけでクランクシャフトを1本にまとめたわけではない。出力をどう繋げるのか疑問に思うところだが、答えはカンタンでベルトにより2基を繋いでいる。リヤ側エンジンにスプロケットを取り付け、駆動にはチェーンを用いるのはバイクと変わらない。またエンジンを2基搭載するにあたり、吸排気系は大幅に見直されることになった。新たにインテークマニホールドやエキゾースト+マフラーを作り出して、バイクらしい特性が得られるようモディファイされている。

リヤがリジッドではなく2本サスに変更された。

従来モデルに対して大幅なパワーアップが実現されたが、エンジンが2つあることでホイールベースは延長されている。これはツアラー向けでもあるが、長距離を走るなら乗り心地も大切な要素。そこで従来リジッドだったリヤを2本ショックによるサスペンション仕様として、求められる性能を確保したという。

折りたたみハンドルも健在。
ミッドシップレイアウトの狭い4輪トランクにも収納可能だ。

この仔猿X50TT(仮称)は従来モデルと同じように組み立て式のキット販売になる予定。この日に公開されたのは試作型とのことで、まだ改良される可能性はある。受注窓口や詳細に関してはCKデザインのオフィシャルWEBサイトから(http://www.kozaru.us)。予定価格は99万円(税別)とのことだ。

先行試作車の諸元

全長/全幅/全高:860mm/430mm/625mm
シート高:450mm
軸間距離:599mm
車両重量:23.5kg
エンジン形式:空冷4サイクル単気筒SOHC2バルブ
総排気量:50cc
最高出力:2.2ps/7,500rmin
燃料タンク容量:0.75L(無鉛レギュラーガソリン)
タイヤサイズ(前後):90/70-4
制動装置形式(前後):ドラム
懸架方式(前/後):倒立式テレスコピック/スイングアーム

著者プロフィール

増田満 近影

増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…