身長163cmとハーレーダビッドソン、足つきはどうでしょう。|東京モーターサイクルショーで跨ってみた。

何回かに分けてお届けしてきた短足オッサンによる東京モーターサイクルショー会場での足つき性チェック大会。ラストになる今回は英米のバイクたちにまたがってみた。ここまで何度も屈辱を味わってきた短足オッサンだから、今回も悲しい結末になりそうだが身長163センチの短足でもバイクに乗りたいのだ!

REPORT●増田 満(MASUDA Mitsuru)
PHOTO●星野耕作(HOSHINO Kosaku)
英米によるバイクたち9台にチャレンジだ。

BMWやKTM、ハスクバーナ、F.B.モンディアル、それにプジョーとヨーロッパ車の足つき性をチェックして白人との体格差を思い知った短足オッサン。日本人でも小柄、しかも短足なのだから、そりゃ無理もない話なのだが簡単に諦めるわけにはいかない。まだまだ英米の有名メーカーが残っているではないか! ということで今回はイギリスのトライアンフ、アメリカのハーレー・ダビッドソンとインディアンで足つき性をチェックしてみた。いずれも日本で人気のあるバイクばかりだから購入予定の人の参考になれば幸いである。

ハーレー・ダビッドソン・ロードグライドスペシャル

巨体が目立つロードグライド。

ハーレー・ダビッドソンといえば泣く子も黙るアメリカンバイクの王者。日本国内の大型車市場で常にトップクラスの販売成績を記録している人気メーカーだ。東京モーターサイクルショーの会場にも複数のモデルが展示され、来場者の目を大いに楽しませていた。短足オッサンは過去にファットボーイや883スポーツスターに試乗したことはあるものの、あまり縁のないバイクでもある。いずれもシート高は低いものの足つき性はよろしくなかった。というより、小柄な日本人の足つき性などハナから考えていない設計なのだろう。どのモデルでも足つき性は似たようなものだろうから、いっそのこと一番の巨体(に見える)モデルで足つき性をチェックしてみようと考えた。そこで選んだのが写真のロードグライドスペシャル。350万円に迫る新車価格にもシビレるが、387kgという車両重量はさらにビビらせてくれる。シート高は695mmと低いものの、車体がファットなのでカカトまで着地するわけもなかった。見るからに体格負けしているし、明らかなミスマッチだった…。

インディアンFTR S

フラットトラッカーのFTR Sだ。

続いてはアメリカンバイクのもう一つの雄であるインディアン。クルーザーやツーリングモデルのイメージが強いメーカーだが、2019年に発売されたFTR1200はフラットトラックレースのいわばレプリカモデルでイメージがまったく異なる。アップマフラーが印象的なスタイルで、短足オッサンも興味津々だった。発売時はフロント19インチ、リヤ18インチのタイヤを備えてシート高が805mmだった。ところが2021年からは前後17インチタイヤに変更され、シート高も780mmに下がっている。2022年のモデルでもディメンションは変わっていないから短足オッサンでも期待が持てる。と思ったのだが結果は写真の通りで両足爪先立ちのバレリーナ状態。シート高自体は低くても、アメリカ人の大きなお尻を支えるためか、シート幅が広いため脚が外に広がってしまうのだ。リラックスしたライポジだし車両重量は218kgだから何とかなりそうだが、街乗りでは気が抜けないかもしれない。

トライアンフ・ストリートトリプルRS

ミドルクラスの3気筒スポーツ。

アメリカからイギリスに渡り、ここからはトライアンフ車が続く。トップバッターは最小排気量のストリートトリプルRS。762ccの3気筒12バルブエンジンは123psものハイチューンユニットで、軽量・ハイパワーなモデルに目が無い短足オッサンが欲しく思っているバイクの筆頭でもある。2022年モデルではシート高825mm、車両重量188kg。楽しみにまたがってみたのだが、結果は両足ともつま先立ちで足指を曲げることができるかどうかというもの。細身な車体なのでお尻をズラして片足で止まれば何とかなるレベルだ。

トライアンフ・スピードトリプル1200RR

RRと車名にあるようスーパースポーツモデルだ。

ストリートトリプルが発売されるまで、トライアンフのネイキッドスポーツといえばスピードトリプルだった。2021年に発売された1200RSはシリーズ最高峰のモデル、1158ccの排気量から180psを発生するハイパフォーマンスモデル。さらに2021年の秋に発表されたスーパースポーツモデルがこの1200RR。ハーフカウルと低くマウントされたセパレートハンドルから、RSとは一味違うアグレッシブなスタイルになった。シート高は830mmで車両重量は200kg。またがる前は何とかなりそうに思っていたが、結果は写真の通りで両足完全バレリーナ状態。さらに前傾姿勢も強めだから「こりゃ無理だわ」と諦めモードになってしまった。

トライアンフ・ストリートツイン

ボンネビルシリーズの親しみやすいモデル。

トライアンフといえばボンネビル、というのはオッサン以上の世代に共通する認識だろう。1960年代から70年代にかけてのトライアンフ黄金期を支えた名車が2001年に甦った時は短足オッサンも興味を抱いたもの。なぜか縁がないまま時は流れ、ボンネビルシリーズはエンジンを水冷化するとともに街乗りでの扱いやすさを追求したストリートツインを追加。最新モデルでは899ccの排気量から65psを発生する2気筒エンジンを搭載し、シート高765mm・車両重量217kgと発表されている。極めて低いシート高にスリムな車体だから大いに期待できる!と思ってまたがると、なんとなんと両足がカカトまで着地してくれた! しかもリラックスしたライポジで、これならシーンを問わず乗り回すことができるだろう。

トライアンフ・ストリートスクランブラー

アップマフラーが印象的なクラシックスタイル。

ストリートツインで気を良くした短足オッサンが次に挑んだのがスクランブラースタイルをそのまま車名にしたストリートスクランブラー。基本的にストリートツインと同じ車体だから、これまた両足のカカトが着地するかもと淡い期待を抱いてまたがったのだが、結果は…。実はストリートスクランブラーのシート高は790mmあるのだ。シート形状もストリートツインとは異なって幅が広くなり、スタイルの決め手になるアップマフラーも足つき性を阻害する。とはいえ両足とも足指の付け根付近まで着地しているので不安感はないし、ストリートツインより幅広なハンドルのため抑えの効くポジションだから乗り回すことに対する不安はないはずだ。

トライアンフ・スクランブラー1200XC

スクランブラーの上級モデルが1200XC。

ストリートと名がつかないスクランブラー1200XCは、よりオフロードモデル的なスタイルと1197ccのツインエンジンを搭載するモデル。車体構成はストリートスクランブラーとは異なるもので、シート高は一気に840mmまで高くなる。さらに車両重量も231kgあり、またがる前からビビリモードになっていた。結果はご覧の通りでつま先だけとはいえ両足が着地したことすら奇跡のように思える。着地しているつま先は本当の意味でつま先だけで、足指の先端が届いているだけ。つまり「完全に無理です」という結果に終わった。

トライアンフ・ロケット3R

あまりの巨体にビビることより笑ってしまった。

東京モーターサイクルショーで挑んだ短足オッサンの足つき性チェック、最後を飾るのはトライアンフ・ロケットだ。アメリカで4輪用V8エンジンを積んだ手作りバイクを見て「アホだなぁ」などと思っていたが、トライアンフは本気で作り込んできた。搭載するエンジンは水冷3気筒とトライアンフらしいのだが、その排気量はアッと驚く2457cc。2.5リッターもあれば十分に4輪用として通用しそうなもので、最高出力は167psなもののトルクは22kg・mに達する。怒涛の加速が味わえそうだが、車両重量は318kg。2.5リッターエンジンを積んでいるのだから軽い部類かもしれない。気になるシート高は773ミリと低く抑えられていて短足オッサンが挑んだ結果、カカトまであと一歩という感じだった。両足とも土踏まず付近まで着地しているけれど、この巨体を抑え込むにはライダーの体重がせめて70kg以上ないと無理だろう。

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著者プロフィール

増田満 近影

増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…