かつての激安系、スズキ・チョイノリをカスタム! BMXとまさかの合体? 【動画・モトチャンプTV】

モトチャンプといえば原付カスタムというくらい、毎号誌面を華麗なカスタム車が賑わせている。ユーチューブのモトチャンプTVでもカスタムバイクの紹介はあるものの少数派。でも、驚きのカスタムバイクなら特別に動画で紹介してもいる。今回はスズキ・チョイノリとBMWが融合してしまった前例のないカスタムバイクを紹介しよう。

モトチャンプの誌面には毎号たくさんのカスタムバイクが登場する。その多くが原付をベースにしたもので、「楽しくなくちゃバイクじゃない!」という合言葉を最も手軽にユーザーが実現できるからこそなのだ。誌面から飛び出しユーチューブで無料配信しているモトチャンプTVで紹介しているカスタムバイクは、どちらかといえばパーツメーカーが製作したものが多くユーザーのマシンは少数派。でも中には驚きのマシンが登場する動画もある。それが今回紹介する「スズキ・チョイノリ×BMXの強烈カスタムを発見!」なのだ。

チョイノリをベースにカスタムバイクを製作したユーザーから直接お話を聞いている。
4気筒APEを製作したこともある凄い技の持ち主だった。

チョイノリとBMX、どこにも接点がないように思える2車を合体させてしまったのはユーザーの「じんさん」。この人、以前に製作した4気筒エンジンをスワップしたAPEでモトチャンプ誌面に登場している。4気筒エンジンとAPEという組み合わせも驚きだが、それができてしまうくらいの技術を備えているということ。自分で何でも加工してしまう技術や設備がなければ実現は難しい組み合わせで、今回のチョイノリ×BMXも程度の差こそあれ同様だろう。

BMXフレームにチョイノリのエンジンなどを合体させた。
エンジンを吊るサブフレームはチョイノリのものだ。

マシンを見るとチョイノリであったことがわかる部分はほぼない。それもこれも完成したフレームを白く塗装するとともに前後ホイールにワイドなブロックタイヤを履かせているから、その見た目は小径ホイールのBMXといった印象になっている。ただ、よくよく見るとフロントフォークにはヘッドライト+ウインカー、シート下にテールランプ+ウインカーが備わり、しっかりバイクであることを主張している。フレームの下に吊り下げられたエンジンがしっかりとバイクである存在感を発していることと反比例しているような印象だ。

チョイノリの面影がまるで残っていない!
中央に2本あるダウンチューブがBMXのフレーム。

チョイノリの写真と実車を見比べると、まったくチョイノリの面影が残っていないと思うことだろう。それもそのはずでチョイノリだった部分はエンジンとエンジンハンガーになるサブフレーム、それにフロントフォークくらいなものだから。メインフレームは中央に2本あるチューブで、こちらは20インチBMXのもの。チョイノリのシートフレームもなくなり、自転車用のサドルシートになっている周辺はBMXフレームと合体させているのだ。

チョイノリのネック部分とBMXのフレームを溶接・補強してある。
フロントフォークはチョイノリ純正を使う。

フロントフォークだけでなくネック部分もチョイノリを使っている。ネックからチョイノリのフレームを切断して、BMXの2本のチューブを再溶接してあるのだ。強度が必要になる部分だけにチューブ間に補強プレートを溶接してあり、大きな入力にも負けない剛性が確保されている。また溶接する時にはマシンでフレームのセンター出しを行うことも重要。ネックとチューブが歪んでいると直進安定性に影響するし、ひどい場合には真っ直ぐ走らせることもできないだろう。技術がなければできないことなのだ。またフロントフォークに取り付けられたヘッドライトや両脇にある小型ウインカーは汎用のもの。デザインを優先して選んだパーツとなっている。またチョイノリのホイールを使っているが、履いているタイヤはチョイノリ純正より大幅にワイドなブロック仕様とされている。BMXらしさの追求から選んだものだろう。

ハーネスやワイヤーはフレーム内に通してある。
シートはBMXのサドルなので上下に調整可能。

BMXらしくスッキリした外観とするためにはハーネスやワイヤーの処理にもひと工夫が必要。ベースのチョイノリは後期型でセルスターターやバッテリーを採用するものなので、立派なハーネスが存在する。ハーネスを流用するためフレームのチューブへ穴を開け、内部にハーネスを通すという技も駆使している。またシートやシートフレームを切断してしまったのでチョイノリの純正燃料タンクは使えず、携行缶をドリンクホルダーに固定して燃料タンク代わりにしてある。そのため航続距離は短いものの、シンプルなルックスに仕上がっている。主な用途はサーキットでのパドックバイクで、4輪に載せて出先での短距離移動に使うこともできるとか。また前後に灯火類を装備しているので、ナンバーを取得して行動走行も可能にしている。総重量が50キロ前後とのことだから、ほぼチョイノリ純正と変わらない性能を確保してある。もちろん速さを追求したマシンではないから、楽しく移動できることを目的とすれば面白いことになりそう。製作するには技術とノウハウが必要なので、簡単に真似しようなんて思わないように!

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著者プロフィール

増田満 近影

増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…