ヨシムラも! 絶版お宝車界のキング・カワサキZ1(ゼットワン)のカスタム集|モーターサイクルショー2024

写真は「ヨシムラジャパン」ブースに展示されたカワサキZ1カスタム。Z1が持つ優れた資質と、70年代のヨシムラのイメージを大切にしつつ、長年のレース活動で培った最新の設計・製造技術を投入。“今のヨシムラが持つテクノロジー”をストリート向けに反映させた。
カワサキZ1(正式名称:Z900スーパー4)は1972年(昭和47年)から1976年(昭和51年)にかけ、にヨーロッパ及び北米市場向けに製造販売された海外専用モデル。絶版から40年以上たった今でも多くのユーザーからリスペクトされ、人気を誇っている。ここでは東京モーターサイクルショー2024に展示されたZ1カスタムをご紹介しよう。
PHOTO/REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
ダンロップ https://tyre.dunlop.co.jp/
ヨシムラジャパン https://www.yoshimura-jp.com/
オーリンズ https://www.cog.inc/ohlins
PMC https://www.win-pmc.com/

カワサキZ1(正式名称:Z900スーパー4)……1972年(昭和47年)~1976年(昭和51年)製造

Z1(ゼットワン)の正式名称は、「Z900スーパー4」。正式名称よりも、型式名であるZ1(ゼットワン)の名前で呼ばれることが多い。Z1は発売当初から、海外で爆発的ヒット。当然、「日本での発売を!」というユーザーの声も上がったが…。

当時の日本国内では、自主規制により750ccオーバーのバイクは販売禁止。国内でZ1に乗るには、「逆輸入」という方法しかなかった(当時の逆輸入車は、為替レートや関税の関係もあり、非常に高額だった)。

エンジンは空冷4ストロークDOHC 2バルブ4気筒903ccで、最高出力は82psを発揮。国内では排気量をダウンさせたZ750RS、通称Z2(ゼッツー)がリリースされ、爆発的なヒットとなった。

2018年にZ1をイメージした「Z900RS」が発売され、元祖であるZ1は再び注目された。中古車市場において程度の良いZ1は、“絶版車ナンバー1の超お宝ビンテージモデル”として、驚異的な高値で取り引きされている。

カワサキZ1 主要諸元

※カッコ内はZ2
全長x全幅x全高:2200mm x 865mm x 1170mm
ホイールベース:1490mm
シート高:815mm
排気量:903cc(746cc)
エンジン形式:空冷4ストロークDOHC8バルブ直列4気筒
内径x行程:66mmx66mm(64mm x 58mm)
圧縮比:8.5:1(9.0:1)
最高出力:82ps/8500rpm(69ps/9000rpm)
最大トルク:7.5kg-m/7000rpm(5.9kg-m/8500rpm)
始動方式:セル・キック併用
変速機:前進5速(リターン式)
サスペンション:
 前 テレスコピック式
 後 スイングアーム式
ブレーキ :
 前 シングルディスクブレーキ
 後 ドラム
タイヤサイズ:
 前 3.25-19インチ
 後 4.00-18インチ
最高速度:200km/h
乗車定員:2人
燃料タンク容量:18L

ダンロップ ビンテージスポーツタイヤ「TT100GP」装着車

写真は「ダンロップ」ブースに展示されたZ1。可能な限りノーマルの姿をキープした(シートはタンデムベルト付きのZ2仕様)、極めて貴重なZ1だ。前後タイヤはダンロップ製TT100GPを採用。

TT100GPはマン島TTレースを始め、世界のレースシーンで数々の栄光に輝いた、伝統のTT100タイヤのパターンをベースに、現代のテクノロジーを惜しみなく注入したビンテージスポーツタイヤ。ノーマルのタイヤサイズは前3.25-19インチ・後4.00-18インチ。写真のZ1は前100/90-19インチ・後4.00-18インチを選択。

ヨシムラジャパン “最新のヨシムラ”が大昔の70年代モデルをイマドキのストリート向けにチューニング

Z1が持つ優れた資質と、70年代のヨシムラのイメージを大切にしつつ、長年のレース活動で培った最新の設計・製造技術を投入。“今のヨシムラが持つテクノロジー”をストリート向けに反映させ、独自のチューニングを施したZ1カスタム。

カラーリングはヨシムラがウェス・クーリーとともにAMAを戦った、ヨシムラZレーサー最終年の車両をオマージュしたもの。

タイヤは今時のビッグバイクに比べ、「おいおい原付かよ」と思わせるほど“超極細”な純正(前3.25-19インチ、後4.00-18インチ)から、フロントを110mm幅の110/80-19、リアは140mm幅の140/70-18にワイド化。リアブレーキはドラム式からディスク式+ブレンボ製カ2POTカニキャリパー、フロントブレーキはWディスク化+ブレンボ製4POTキャリパーで強化。

エンジンはZ1専用のヨシムラジャパン製シリンダーヘッドキット「Yoshimura F-TUNING HEAD(2024年3月現在、予約受付終了)」、アルミオイルポンプカバーとアルミエンジンカバー。また社外の大型オイルクーラーで空冷エンジンの冷却効率を向上。

吸気系はスポーティなヨシムラMIKUNI TMR-MJN32キャブレター(スロットルインナーパイプ付き)、エキゾーストシステムは排気効率に優れたヨシムラサイクロン集合マフラー(Z1&Z2カスタムの定番である艶消しブラック)を装備。

オーリンズ S36Eリアショック(ツイン型)装着車

名門サスペンションメーカー「オーリンズ」ブースに展示された、ツイン型のオーリンズ製S36Eリアショックを装着した“正統派”のZ1カスタム。製作したのはカスタムショップ「ブライトロジック」。

前後ホイールは純正スポーク型から、チューブレスタイヤも履ける高性能・高剛性でレーシーなキャスト型に変更し、ブリヂストン製ハイグリップタイヤを組み合わせ。APレーシング製2ポットキャリパーを導入したフロントディスクブレーキはWディスク化。

ハンドルは“殿様乗り”の純正アップ型からセミアップ型に変更してローポジション化し、左右ステップを後方に位置変更して「腕は前傾・脚は後退」のレーシーなポジションを獲得。吸気系はヨシムラMIKUNI TMR-MJN32キャブレター+エアファンネル、排気系は艶消しブラックの集合マフラーでチューニング。

PMC(ピーエムシー) カフェレーサースタイル

旧車のカワサキZシリーズから現行モデルのZ900RSまで、豊富なカスタムパーツを展開する「PMC」。Z1用リプレイスパーツも数多くリリースする同社がプロデュースしたのが、Z1を現代風のカフェスタイルに仕上げた写真のカスタム。

ハイパフォーマンスパーツを駆使することで、半世紀前の車両がベースとは思えない、ストリート、ワインディング、走行会などサーキット走行まで十分に対応できる1台に仕上げている。

このZ1改のポイントは、「50年前のZ1を、忠実に再現したこと」ではなく、「50年前のZ1に、現代の走りを与えたこと」。ブラックを基調にした外観は、フロントにビキニカウルを装着しつつも、ノーマルのZ1フォルムをキープ。

装着パーツ(一例)

エンジンフルオーバーホール
バルブ・バルブガイド・アイドラーなど消耗部品は新品を使用
クランク芯出し&バランス取り・ミッション分解洗浄
クラッチハウジングリビルト
930cc PMC キャスティングピストンキット 1.0mmオーバーサイズ
エキゾーストDRAFT LOUDEXステンレスエキゾ―ストマフラー
キャブレターKEIHIN CR31
DRAFT セレクテッド・スロットルキットTYPE-2 36φ 900mm
DRAFT クリアフロートチャンバー
点火系DYNA2000 イグニッションシステム
TAYLOR プラグコード
駆動系DRAFT 530ドライブコンバートキット
フレームブラスト処理後、硬質焼付けウレタン塗装
DRAFT Billetレイダウンキット
リアショックYSS SⅡ362 350mm
スペシャルパウダーコートスプリング
スイングアームPMC 丸鉄スイングアーム
ステップDRAFT BilletバックステップZ1/Z2専用
DRAFT Z1/Z2リアマスターキット
フロントフォークKYB 36KZ
フロントホイールSWORD MATRIX 2.75-18
スペシャルペイント仕様(Painted by ラスティック)
リアホイールSWORD MATRIX 4.50-18
スペシャルペイント仕様(Painted by ラスティック)
フロントブレーキDRAFT フロントブレーキキット φ320mm フローティングディスクローター&AP Racing CP2696
キャリパーブラックアルマイト仕様
Nissin ラジアルマスター
リアブレーキDRAFT リアブレーキキット φ250mm フローティングディスクローター&AP Racing CP2696
キャリパーブラックアルマイト仕様
Nissin リアマスター(ブラックアルマイト仕様)
ハンドルPMC ステンレスハンドルバー GP-Touring
DRAFT OWタイプ・ハンドルスイッチ右側
DRAFT OWタイプ・ハンドルスイッチ左側
外装スペシャルペイント仕様(Painted by ラスティック)
シートPMC シートコンプリート Z1/Z2 あんこ抜き
電装系DRAFT ハイブリッドメインハーネス
DRAFT MFバッテリー対応レギュレター
PMC Z2ウインカー
PMC Z2テールランプ

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