扁平率、荷重指数、構造表記。 タイヤサイズの見方を知ればバイクの性能まで分かる?

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リヤタイヤにあるサイズ表記(写真は、筆者の愛車2020年式CBR650R)
愛車のタイヤ交換時にチェックしたいのが、どんなサイズを装着しているのか。タイヤサイズは、サイドウォールなどにある数字や記号で確認できるが、特に、バイクの初心者などには、どんな意味があるのか分からない人も多いだろう。
そこでは、ここでは、タイヤサイズの見方について紹介。暗号のように見えるけれど、意味が分かれば意外と簡単だし、自分のバイクがどんな性能を持つのかの参考にもなるので、ぜひ覚えておこう。

REPORT●平塚直樹
PHOTO●本田技研工業、ヤマハ発動機、平塚直樹
*写真はすべてイメージです

現在では一般的なメトリック(ミリ)表示とは?

まずは、近年、一般的に使われているメトリック(ミリ)表示について解説しよう。基本的な表示は、4輪の乗用車用のものとだが、一部バイク特有の表記もあるので注意したい。

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メトリック(ミリ)表示の例。一番上がホンダ「CBR650R」用、真ん中がホンダ「CL250」用、一番下がヤマハ「XSR125」用で、すべて後輪タイヤのサイズ

ちなみに、これらサイズ例は、一番上がホンダ「CBR650R」用、真ん中がホンダ「CL250」用、一番下がヤマハ「XSR125」用で、すべて後輪タイヤのサイズだ。

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ホンダ・CBR650R E-クラッチ
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ホンダ・CL250
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ヤマハ・XSR125

いずれも、「タイヤ幅」「扁平率」「構造表記」「リム径」「モーターサイクル用表記」「荷重指数」「速度表記」の順番に並んでいることが分かるだろう。

【タイヤ幅】
タイヤ幅は、タイヤの断面幅のことで、無負荷状態のタイヤの最も幅の広い部分を測定した値だ。上の例では、CBR650Rの後輪用が180mm、CL250の後輪用が150mm、XSR125の後輪用は140mmのタイヤ幅であることが分かる。

【扁平率】
扁平率とは、タイヤ幅を100としたときのタイヤの高さを比率で表したものだ。

「扁平率(%)=(タイヤの高さ÷タイヤの幅)×100」

といった計算式で割り出すことができる。この数値で、例えば、CBR650Rの後輪用タイヤは、高さ99mm(180mm×0.55)であることも分かる。

【構造表記】
構造表記により、装着するタイヤがラジアル構造なのか、バイアス構造なのかが分かる。ラジアルタイヤの場合は「R」か「ZR」、バイアスタイヤは「ー」で表記される。

また、ラジアルタイヤの場合、最高速度が270km/hを超えるタイヤにはZRを表記する。つまり、高い速度を出すことのできる高性能バイク用タイヤという意味だ。

こうしたタイヤの性能を現す表記には、後述する荷重指数や速度記号にも一定のきまりがある。そして、これらを見るだけで、自分のバイクがどんなポテンシャルを持つのかの参考になるし、また、その性能に耐えられるだけのタイヤであるのがか分かるのだ。

【リム径】
タイヤに適合するホイールのリム径のことで、タイヤの内径ともいえる。メトリック表示の数字は、基本的にミリメートル表記だが、リム径に関してはインチ表示となる。

上の例では、すべて17インチだが、例えば、16インチのホイールを装着していれば数字は「16」、19インチのホイールであれば「19」といった表記になる。

【モーターサイクル用表記】
リム径の後ろにある「M/C」は、13インチ以上のタイヤに付いており、モーターサイクル用という意味だ。4輪の乗用車用タイヤとの混同を防ぐ目的で付けられている。

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リヤタイヤにあるサイズ表記(写真は、筆者の愛車2020年式CBR650R)

バイクの性能も分かる「荷重指数」や「速度表記」

さらに、タイヤサイズには、「荷重指数」+「速度表記」といったタイヤの性能などを示す情報も入っている。

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「荷重指数」と「速度表記」の例(写真は、筆者の愛車2020年式CBR650R)

荷重指数は、規定の使用条件で、タイヤが受け止めることのできる最大荷重のこと。ロードインデックスともいう。また、速度表記は、規定の使用条件で、そのタイヤが走行できる最高速度を示す記号だ。

これらの記号は、タイヤメーカーのホームページなどを見れば、実際にどんな数値になるのかが分かる。

例えば、一番上にあるCBR650Rの後輪用は「(73W)」なので、荷重指数365kg、最高速度は270km/h以上。

真ん中のCL250の後輪用は「69H」なので、荷重指数325kg、最高速度は210km/h。

一番下のXSR125の後輪用は「66S」なので、荷重指数300kg、最高速度は180km/h。

このように、これら記号により、装着するバイクとタイヤそれぞれが、だいたいどんな性能を持っているのかが分かるようになっているのだ。

ちなみに、CBR650R後輪用タイヤのように、数値や記号が( )でくくられている場合。

これは、前述したラジアル構造表記の「ZR」と同様、最高速度が270km/hを超えるタイヤであることを意味する。もちろん、公道では、こんな速度は出せないが、タイヤの性能的には「高速レンジにも十分に対応していますよ」という証となるのだ。

クルーザー系モデルにあるBの文字は?

以上が、一般的なメトリック表示の意味だが、例えば、ホンダ「レブル1100」のようなクルーザー系モデルなどのタイヤには、構造表記に「B」という記号が付いているものもある。

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ホンダ・レブル1100
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クルーザー系モデルなどのタイヤに多いベルテッドバイアス メトリック表示

これは、タイヤに「ベルテッドバイアス構造」を採用していることを意味するものだ。この構造は、バイアス構造のタイヤをベルトで補強したもので、トレッド部の剛性が高まることで、重量車に適していることが特徴といえる。そのため、クルーザー系車両用のタイヤに多く採用されることの多いタイヤなのだ。

90年代前半以前に設計されたタイヤにはインチ表示もある

最近のタイヤではあまり見なくなったが、1990年代前半以前に設計されたタイヤなどには、サイズをインチ表示にしているものもある。主にバイアス構造の小型サイズが多く、現在もインチ表示のタイヤが残っている場合もあるので、主な意味を紹介しよう。

インチ表示の例

「タイヤ幅」「リム径(インチ)」「荷重指数」「速度記号」といった順番で表記されており、「タイヤ幅」「リム径(インチ)」の間にはバイアスを示す「ー」が入っているのが一般的だ。

また、インチ表示のタイヤの中には、荷重指数、速度指数の代わりにプライレーティング表示のものもある。プライレーティングとは、荷重指数、速度指数と同様に耐荷重強度を現す記号のことだ。

「プライ」とは、タイヤのボディを構成するコードの層のこと。2輪車用タイヤではナイロン、ポリエステルといった有機繊維が使われることが多いという。

そして、プライレーティングは、それを何枚重ねた強度を有しているかを意味する記号。上の例では「4PR」となっているが、この4という数字が「5」や「6」と大きくなるほど、負荷能力が高くなる。

このように、タイヤのサイズ表記は、愛車の装着サイズだけでなく、耐荷重など多様な意味が隠されている。特に、前後2輪のみが地面に接するバイクでは、タイヤの役割はかなり重要なだけに、サイズの意味もしっかりと知っておくことをおすすめする。

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著者プロフィール

平塚直樹 近影

平塚直樹

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなど…