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新会社である「カワサキモータース株式会社」創立にともない、2021年10月6日に報道関係者を対象とした「事業方針説明会」が開催された。
これは1年程前の川崎重工業グループビジョン2030の発案を元に、既に3月31日付けで公表され「モーターサイクル&エンジン事業の会社分割(簡易分割)により冒頭の新会社が10月1日付けでスタートした事の記者会見である。
分社化、新会社発足のご挨拶で登壇された川崎重工業 代表取締役社長 執行役員、橋本 康彦 氏。
カワサキモータース株式会社の創立にあたって
新会社創立にあたって掲げられたのは“持続的成長を通じて「Good times company」を実現すること~カワサキに関わる人すべての、よろこびと幸せのために~”というスローガン。
具体的には5つの項目にわけた事業説明が成されたが、ここでは一部を割愛。主にバイク事業に関わる事柄に的を絞り、その内容を簡単に説明しておこう。
元々バイク関連は川崎重工業直属の部門事業だったが、それが独立した別の新会社となったということである。
川崎重工業と言えば、新幹線車両や航空宇宙、船舶等の輸送機器を始め、エネルギープラント他重工業ならではの設備や、産業ロボット等が有名。
それらグループ内のレジャー部門の中にあったモーターサイクル事業が分社化されたと言うわけである。
ごく簡単に言うと、巨大な重工業の中にあった唯一のB to C事業が新会社に独立することで、自律的事業経営を徹底。消費者の変化に素早く対応すべく、意思決定のスピードを向上する狙いが大きい。
簡潔に言うと経営の自由度が高まるわけだ。
新会社の事業内容は、主に3グループ。もちろんメインはモーターサイクルだが、オフロード四駆やPWC (パーソナル・ウォーター・クラフト 注:ジェットスキーの類)と汎用エンジンの事業規模も小さくない。
特にこのところ北米市場において、オフロード四駆と芝刈り機需要にみられる増加傾向は侮れないそう。
今年度の連結売上高見込みは4,100億円で前期から6.1%増を予想。2030年ビジョンでは8%以上の右肩上がりで1兆円産業を目指していると言うから驚かされる。
今後注力する分野は「カーボンニュートラルの実現、急成長するオフロード四輪車需要への対応、伝統と革新」だそう。
カーボンニュートラルの実現へ
バイクに関しては伝統を守る事と革新を図る事に注力。高付加価値の追求にも余念がない。特にカーボンニュートラル、つまり脱炭素社会の実現に向けて、ハイブリッド車やBEV(電動車)を積極的に導入。
2025年までに10機種以上の導入予定があると言う。また2035年までには日本を含む先進諸国では主要機種の電動化を完了すると言う目標を掲げている。
現在、具体的な製品は未発表ながらテスト段階では、郊外をエンジンで走り、市街地をEVで駆け抜けるハイブリッド車両の開発が進められているもよう。
また水素燃料やバイオ燃料で走るエンジンも開発中。未来の内燃機関に対する期待値の高さも見逃せない物があるわけだ。
この他先進技術を積極導入。既にスタートしているスマホとの連携はもちろん、クラウドとの連携等も。そして安全運転支援装置等の投入拡大も直ぐ目前に迫っている。バイクに乗る(扱う)ライダーの楽しみには、まだまだ大きな広がりが期待できそう。
また、イタリアの名門、プレミアムブランドとして代表的存在のBimotaへ出資している等、成長路線への協業や提携にも注力していくそう。ちなみに人気上昇中のオフロード四駆の開発と生産は台湾のKYMCOである。
現在、カワサキの製造拠点はグローバルで10ヶ国、資本や業務提携が2ヶ国に及んでいる。
今後はさらに、持続的な成長路線へ向けて、マーケットに応じた協業や提携にも注力して行く模様。コロナ禍で急成長したオフロード四駆やターフビジネスと呼ばれる、乗用芝刈り機ニーズの市場規模拡大も合わせると、会見当初に驚かされた1兆円産業への道も、あながちオーバーな表現ではないのかもしれない。
いずれにせよ同社の主力事業であるバイクのバリエーション展開と躍進ぶりには、今後も注目していきたい。
持続的成長路線へ
提携企業との連携も深めつつ、各事業展開を拡大するビジョンが立ち上げられている。
最後に(まとめ)
主力市場での手腕が期待されるお二人。
質疑応答
一般新聞記者や証券アナリスト系からの質問が多数を占めた。