
シックでおしゃれなセラミックアイボリーは日本限定の特別色
クロスプレーン・コンセプトに基づいて開発された水冷直列3気筒888㏄エンジンを、軽量なアルミフレームに搭載したスポーツヘリテージモデルXSR900ABSが2025年型となって登場しました。従来からのコンセプトであるThe Expert of Equestrian(伝統馬術のエキスパート)を踏襲しつつ、さらに高品質で高い走行性を実現させているとのことです。
プレス発表会ではまず、プロジェクトリーダー橋本氏、プロジェクトチーフ野原氏、そしてデザインを担当したGKダイナミックスの清水氏、木下氏、福吉氏らによる解説が行われました。説明で強く印象に残ったのは、ユーザーの意見に耳を傾けながら、細部に至るまで徹底してこだわったという点です。
見た目の第一印象を決定づけるカラーデザインに関してはすべて新色を採用していて、随所にレッドをあしらったスポーティなシルキーホワイト、落ち着いたブラックメタリックX、そしてシックでおしゃれなセラミックアイボリーの3カラーとなりました。しかもこれらはフロントフォークやホイールの色がそれぞれに異なっていて、中でもアイボリーカラーのモデルはカシマコートブラウンのフォークやブラウンのシートを採用するなど特別感のあるものに仕立て上げています。加えてこのアイボリーは日本限定カラーで、2025年9月30日までの受注期間限定車となっているのです。僕もそうですが、「限定」というものに食指を動かされる人は多いと思うので、一段と魅力をアップさせたんじゃないかと思います。
新たに採用した装備や機能、さらに変更した装備などは多岐に渡っていて、文字どおり大きく進化しているのが特徴です。
エンジンにはYRC(ヤマハライドコントロール)が搭載されました。エンジンの出力特性や各種電子制御の介入度を選択できるモード機能を備えたことで、ファンライドとセイフティライド性能をアップしています。具体的には、プリセットされた3種のパターン(SPORT/STREET/RAIN)の他、2種のカスタマイズ枠(CUSTOM1/2)が設けられ、あらゆる走行シーンに対応できるものとしています。モード切り替えに関しては、新たに採用された多機能ハンドルスイッチによって操作するシステムとなっています。また、ライダーが設定した任意の速度をオーバーしないようにエンジン出力を制限するYVSL(ヤマハバリアブルスピードリミッター)も採用。速度調整をアシストし、アクセル操作の負担が軽減されることで快適な走行をサポートします。
これら各機能は5インチフルカラーTFTディスプレイの表示で確認できます。しかもこのディスプレイは、スマートフォンにY-Connectをインストールし車両とペアリングすることで、電話着信やメール受信、音楽、ボリューム操作、天気予報などのスマートフォン情報の表示もできるようになっています。それだけではありません。専用アプリ「Garmin StreetCross」をスマートフォンにインストールし車両とペアリングすると、ナビゲーション機能が利用可能となるのです。どんどん便利になっていきますね。
ほかにも、アップ、ダウンに対応したクイックシフターが標準装備され、ステップもラバー装着タイプへと変更されています。
車両挙動を制御する6軸IMUを搭載。IMUからの情報を車両側にフィードバックするECUには、TCS(トラクションコントロールシステム)、SCS(スライドコントロールシステム)、LIF (リフトコントロールシステム) 、BC(ブレーキコントロール)が搭載。個々の制御は相互に連動して運転操作を支援してくれるのです。各システムとも介入レベル調整および、オン/オフ設定ができるようにもなっています。要するに、最新の電子制御システムがフルに導入されているわけです。
足回りも変更されています。Φ41㎜フルアジャスタブル倒立フロントフォークはセッティングを見直し、リアサスペンションはKYB製の別体式サブタンク装備のフルアジャスタブルモノショックを搭載。さらに24段階にプリロード調整できるアジャスターはリモート調整式で操作を容易にしています。タイヤは同じブリヂストン製バトラックスハイパースポーツながら、従来のS22からS23へと変更しています。
変更箇所はまだまだあります。ブラックアルマイトのハンドルは形状を変更。メーターブラケットも新作としています。ヘッドライト裏にはUSB TypeC電源ソケットを装備。形状変更したクラッチレバーはアジャスター機構を装備。燃料タンクキャップはブラック仕上げとし、シートはクッション性を向上させ、座り心地を改善するなど、まあ痒い所に手が届くような改良がなされているのです。
発表会場には新型XSR900ABSのカスタマイズモデルも2タイプ展示されていました。もちろんこれらは市販車ではなくカスタマイズのひとつの提案として仕上げられたものですが、XSR900の楽しみ方をさらに広げてくれる提案として、見どころが多いと思いました。
XSR900ABSは2025年4月14日発売。メーカー希望小売価格(税込)は、ホワイトとブラックが1320,000円、アイボリーが1353,000円。なお日本限定のアイボリーカラーモデルは、大阪、東京、名古屋の各モーターサイクルショーでも展示される予定だそうです。