伝説の“並列6気筒ツアラー”ホンダCBX1000 INTEGRA(インテグラ)ベースの“RCM-688”【東京モーターサイクルショー2025】

ビッグバイクをメインにカスタム&チューニングを手掛ける「サンクチュアリー(SANCTUARY)」。同社が展開する『RCM(Radical Construction Manufacture)』によりフルオーダーメイドで製作されたコンプリートマシン「RCM-688」。ベース車両は伝説の並列6気筒ツアラー・ホンダCBX1000 INTEGRA(インテグラ)。マフラーはナイトロレーシングのフルチタン。
2025年3月28日(金)~30日(日)の3日間、東京ビッグサイトにて開催された国内最大級のモーターサイクルイベント「第52回 東京モーターサイクルショー」。写真は「SPHERE LIGHT(スフィアライト)」ブースに展示された、ホンダの並列6気筒ツアラー・CBX1000のRCM-688(シリアルナンバー:688)。
PHOTO/REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
SPHERE LIGHT(スフィアライト) https://www.sphere-light.com/
サンクチュアリー(SANCTUARY) https://www.ac-sanctuary.co.jp/

ベース車両:ホンダ CBX1000 INTEGRA(インテグラ)

ホンダCBX1000(正式なモデル名はCBX)は、1979年(昭和54年)に登場。空冷4ストローク車としての“究極の姿”を追求した、GPレーサーと同様の空冷4ストローク並列6気筒DOHC 4バルブエンジンを搭載。排気量は1047cc。最高出力は105ps/9000rpm、最高トルクは8.6kg-m/8000rpm。ミッションは5速リターン。CBX1000の6気筒エンジンの存在感があまりにも大きく、発売当時は一部で「車体にエンジンを搭載」ではなく、「エンジンに車体を搭載」とも言われた。

CBX1000の原点は、1964年から投入されたGP250ccクラスのホンダワークスマシン、「3RC164」「RC165」「RC166」。2RC164は4気筒だったが、ヤマハの2スト勢に対抗すべく、6気筒の3RC164を投入。その後、6気筒ワークスマシンはRC165やRC166へと進化した。

1966年、RC166は世界GPで10戦全勝、マン島TTで優勝という圧倒的な強さを誇り、1967年も世界GPでタイトルを獲得。その後、強すぎる6気筒はレギュレーションで禁止となった。

GP250ccクラスのホンダワークスマシン、RC166。空冷4ストローク並列6気筒DOHC 4バルブ249.42ccエンジン搭載。最高出力:オーバー60ps / 18,000rpm 最高速度:オーバー240km/h 車両重量:112kg 変速機:7段変速

圧倒的な強さを誇ったワークスマシン「RC166」の血統を受け継ぐ、“隠れたレーサーレプリカ”とも呼ぶべきCBX1000は、1978年(昭和53年)にリリースされた、水冷4ストローク並列6気筒DOHC 2バルブ1286ccエンジン搭載のカワサキZ1300と同様、“市販車では珍しい、ド迫力の6気筒エンジン車”として現在でもリスペクト。程度の良い車両は、超お宝モデルとして非常に高額な値段で取引されている。

CBX1000は欧米で販売。アメリカ仕様は大型ハンドルを装備したアップライトなポジション。ヨーロッパ仕様はハンドル位置が低く、ステップ位置を後退させた“ヨーロピアンスタイル”に設定。1981年(昭和56年)は大型カウルを装備し、リアサスをプロリンク化したツアラーモデル「CBX1000 INTEGRA(インテグラ)」の名称で発売された。

ホンダ CBX1000 INTEGRA(インテグラ)……サンクチュアリーのRCMで製作されたコンプリートマシン(シリアルナンバー:RCM-688)

台湾の大型バイクショップ「CH MOTO」より製作依頼を受け、台湾のユーザーから指定された仕様を具現化したホンダ CBX1000 INTEGRA(インテグラ)改。
マフラーはナイトロレーシングのフルチタン。サイレンサー部はツアラー車ならではの左右2本出し仕様に設計。
複数のピースをつなぎ合わせて6本のエキゾーストパイプをバランスよくレイアウト。
車体の下に鏡を敷き、美しいエキパイの取り回しを披露。

ビッグバイクをメインにカスタム&チューニングを手掛ける「サンクチュアリー(SANCTUARY)」。同社が展開する『RCM(Radical Construction Manufacture)』は、2000年よりスタートしたフルオーダーメイドのコンプリートマシン製作システムだ。

RCMの対象は国産の大型オンロードモデルがメイン。カワサキの空冷Z系、カワサキNinja各種、カワサキゼファー、スズキKATANA、ホンダCB-Fなどのビンテージモデルを中心に、独自の手法でレストア&チューニング。

サンクチュアリーが製作するオリジナルコンプリートマシン『RCM』は、部品を交換しただけの車輌とは一線を画すのがポイント。要となるフレームは、修正後に補強。またシャシー寸法に併せた専用加工を実施。

エンジンは細部までフルオーバーホールを施した後に搭載。足周りは高精度に仕上げた上で、現行のハイスペックなアイテム群を採用。電装系・吸排気系・ポジション系・ボディパーツと、すべてのセクションにおいて妥協を許さない工程で製作されている。

車両完成後は、200~300kmに渡るロードテスト走行を敢行。旧車カスタムマシンにありがちな問題点をトラブルシューティングして納車するという、徹底した体制を実施しているのがポイントだ。

写真はカウル付きの並列6気筒エンジン搭載モデル・ホンダ CBX1000 INTEGRA(インテグラ)をベースに、RCMの688番目のマシンとしてカスタマイズされた「RCM-688」。台湾の大型バイクショップ「CH MOTO」より製作依頼を受け、台湾のユーザーから指定された仕様を具現化。下記の通り、外装、エンジン、足周りをトータルにカスタマイズ。

カスタムメニュー&導入パーツ

ピストンキャリロ Φ67
シリンダーDiNx シリンダーボーリング&ホーニング/ブロック上下面研磨
バルブノーマル
シリンダーヘッドオーバーサイズバルブガイド/シートリングカット
カムシャフトノーマル
クランクシャフトDiNx ダイナミックバランス/ジャーナルラッピング
コンロッドARP コンロッドボルト&ナット
クラッチハウジングダンパー交換リビルド
エンジン塗装フルガンコート(ブラック)
キャブレターケイヒン FCR Φ33/エアファンネル仕様
マフラーナイトロレーシング ウェルドラフト 3DチタンEX フルオーダーメイド+グレネードチタンVⅢサイレンサー左右出し
オイルクーラーナイトロレーシング 11インチ12Row ラウンドオイルクーラー
フレームダミーエンジン搭載 レーザー測定 修正ストレッチ済み
オリジナルフレーム補強8個所
リアモノショック→ツインショック仕様に変更
ブラック パウダーコーティング
前後ホイールO・Zレーシング GASS RS-A ZRX1200用
前3.50-17/後6.00-17
フロントフォークオーリンズ 倒立E×Mパッケージ(21FF5200ゴールド倒立フォーク レングス800mm・バネレート0.85N/mm)
前後タイヤピレリ ディアブロ ロッソ クワトロ
前:120/70-17/後:190/50-17
前後ディスクローター前:サンスター RCMコンセプトプレミアム Φ320
後:サンスター Φ250
前後キャリパー前:ブレンボ CNC ラジアルマウント GP4-RX
後:ブレンボ CNC 2P
マスターシリンダーブレーキ:ブレンボ CNC ラジアルポンプ Φ19
クラッチ:コーケン ブレンボスタイルクラッチレバー
ブレーキホースAllegri ショルトシステム
ハンドルバーデイトナ RCMコンセプト ハンドルバー&グリップエンド
ステアリングステムSCULPTURE 倒立E×パッケージ専用ステムKIT
スイングアームSCULPTURE ワイドスイングアーム+ブロックピーススタビライザー&レーシングスタンドフック
ピボットシャフトSCULPTURE クロモリ中空ピボットシャフト
リアショックオーリンズ ブラックライン
ドライブチェーンEK530RCM
フェンダーワンオフ アルミインナーフェンダー&フェンダーレスKIT
シートオリジナルシート 肉抜き&レザー張り替え
ステップナイトロレーシング CB-F用+ワンオフメインプレート
メーターSTACK ST700SR 油温&電圧
オリジナルワンオフ3連メーターパネル
電装系ジェイズ メインハーネスを筆頭に全ハーネス交換
ASウオタニ SP-Ⅱ
左右ZXタイプハンドルスイッチ
デイトナのRCMコンセプトハンドルバー&グリップエンドを採用。
オリジナルワンオフの3連メーターパネルにスピードメーターとタコメーター、STACK ST700SR 油温&電圧をレイアウト。
メーター下にはゴールドカラーのRCM認証プレートを配置。認証番号(制作された順番)は688。
外装類は白・赤・青を基調にした妖艶なカラーリングにペイント。
リアショックはオーリンズのリザーブタンク付きツインショックを導入。マフラーは3 in 1×2セットの左右2本出し。
ステップはナイトロレーシングのCB-F用+ワンオフメインプレートを組み合わせ。
前後ホイールはO・ZレーシングのGASS RS-A ZRX1200用17インチ。サイズは前3.50-17/後6.00-17。
フロントディスクブレーキはブレンボのCNCラジアルマウントGP4-RXキャリパー+サンスターRCMコンセプトプレミアムΦ320を組み合わせ。
吸気系は4スト用レーシングキャブレターのケイヒンFCRΦ33を6連装し、吸気性に優れたエアファンネル仕様に設定。
スイングアームはSCULPTUREワイドスイングアーム+ブロックピーススタビライザーにレーシングスタンドフックを導入。

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