250cc、アンダー45万円のコスパ系バイク|スズキ・ジクサー250で約280km走った感想。

一足先に発売されたジクサーSF250に続き、ネイキッドモデルのジクサー250がその2か月後となる6月17日に新発売された。両車とも、基本的には共通のモデルだが、フルオープンのスタンダードスポーツ・クォーターとして、より多くのユーザーに親しみやすい存在である。

REPORT⚫️近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO⚫️山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力⚫️株式会社 スズキ

※2020年8月29日に掲載した記事を再編集したものです。
価格やカラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。
スズキ・ジクサー250
スズキ・ジクサー250
マットブラックメタリックNo.2

スズキ・ジグサー250…….448,800円

スズキ・ジクサー250
マットプラチナシルバーメタリックNo.2/マットブラックメタリックNo.2
スズキ・ジクサー250
スズキ・ジクサー250
スズキ・ジクサー250
スズキ・ジクサー250
スズキ・ジクサー250

 ジクサーは今春の話題をさらったスズキの新型クォータースポーツ。フルカウルモデルのジクサーSF250は4月24日に先行発売され、当モーターファン バイクスでもすでに記事化済みだが、ジクサー250は6月17日の発売。試乗撮影できる広報車両は7月下旬に用意されてようやく試乗機会が訪れた。
 単純に言うとジクサー250はジクサーSF250のカウルを剥ぎ取った文字通りネイキッドモデルである。つまり車体、エンジン、サスペンション等の基本部分は全て共通。
 ジクサーSF250のセパレートハンドルがパイプバーハンドルに変更されるに伴い、ステアリングのトップブリッジを変更、採用メーターは共通ながらヘッドランプやバックミラーも含めてマウント方法がオジリナルの物に設計変更されている。
 タンク下車体側面の両カバーは、前方にせり出しシュラウドの様。オイルクーラーへの冷却風を積極導入するイメージだ。またエンジン下にはシャープなデザインのアンダーカバーが標準装備された。車両装備重量はジクサーSF250比較で4kgダウンの154kg。
 見た目はジクサー150とほとんど共通。ホイールと搭載エンジン、マフラー等が異なり、カラーリングの違いもあってか、250はそれなりに重厚感が漂う。
 諸元比較でも各部の150との寸法差は5~10mm程度に過ぎず、最小回転半径も2.6mで共通。大きな違いは150の装備重量が139kgとかなり軽い事ぐらいだろう。

 ダイヤモンド式フレームを採用した車体は基本的にジクサー150と同じだが、新開発された油冷エンジンの搭載に伴い、フレームは250専用に手直しされて剛性向上を果たしている。メインフレーム部の板厚は150より0.3mm厚い。スイングアームも別物が採用され、角断面パイプの太さは150の30×50mmに対して250は30×60mmとなり、捩じり剛性向上が図られた。
 また前後サスペンションやブレーキもサイズアップ。ABSも前後共に作動する2チャンネル式を装備。タイヤもワンサイズ太いラジアルタイヤが選択されている。
 専用新規開発されたSEP(スズキ・エコ・パフォーマンス)エンジンは、ボア・ストロークが76×54.9mmというショートストロークタイプのSOHC4バルブを採用。ジクサーSF250の解説と重複するので詳細は割愛するが、ロングストロークタイプの150と比較すると、プラス1,000rpmは良く回る高回転高出力型の出力特性を加味して開発されたのが特徴である。
 圧縮比は150の9.8対1に対して250は10.7対1と、そこそこ高めに設定され、排気量の拡大と高性能の安定発揮を追求して確かな冷却性能確保を目指した結果が新方式の油冷となるSOCS(スズキ・オイル・クーリング・システム)の採用に帰結したと言う。冷却ファン付きのオイルクーラーを備えて燃焼室周辺に独自のオイル通路を設けることで要所を冷却する。空冷の様な冷却フィンは持たず、コンパクトな仕上がりも特徴である。

乗り手を選ばない気軽に乗れる相棒感覚がイイ。

 試乗車に跨がった瞬間、ジクサーSF250よりは軽快感に勝るフィーリングを覚えた。それはおそらくライディングポジションの微妙な違いとハンドル幅が広いことから由来した感覚だと思う。僅差ではあるが、アップハンドルを握る姿勢はジクサーSF250よりも上体が起きている。そしてハンドル幅はジクサーSF250の740mmに対してジクサー250は65mmもワイドな805mmある。

スズキ・ジクサー250

気分的な違いも含めて誤解を恐れず大胆に表現すれば、ジクサーSF250は高速向き、ジクサー250は市街地向きと言える違いがそこに見出すことができる。
 バイクを取り(押し)回す時の感覚もジクサーSF250はしっとりとやや緩慢な動き方をする。対するジクサー250は操舵が軽く、比較的クィックに軽々動かせるのである。
 装備重量の差は4kgに過ぎないが、シートに跨がって車体を引き起こす動作もジクサー250の方がいくらか軽快に感じられたわけだ。
 走り初めてもこの違いは乗り味を微妙に左右している様で、狭い場所でUターンを決める時も自由自在になる感覚がある。足つき性は同じなのに、跨がったまま車両を後退させる動作もジクサーSF250より楽に扱えた。いずれにしても僅差ではあるが、ネイキッドならではのフレンドリーさに魅力を覚えた。
 ちなみにジクサーSF250との価格差は税込みで33,000円也。これは大きな悩み所になると思えるが、休日のロングツーリングを優先するか、普段の足代わりを優先するかで判断すれば良いだろう。

 今回、撮影&試乗とは別に市街地走行や郊外へのプチツーリングにも使いおよそ280kmを走行した。ツーリングや市街地では酷暑中の渋滞に頻繁に遭遇し、冷却ファンが回ることもある悪条件が重なったが、トータル燃費率は35.5km/Lをマーク。既にジクサーSF250でも証明されているが、ジクサー250の実用燃費性能はなかなか優れていると思う。
 発進時等、2,000rpm未満では流石にトルクが弱めだが、それ以上では十分に頼り甲斐のあるスロットルレスポンスを発揮。実用域と絶妙にマッチする中低速域のトルクが太く、幅広い回転域で実に扱いやすい。
 特に3,000rpm付近で流す時の走りはとても快適。6速トップギヤなら速度は44km/h程度。柔軟な出力特性を活用して郊外を快走するのはなかなか気分が良い。
 元気良く走らせる時は7,000〜8,000rpmでシフトアップ。9,000rpmを超える領域まで綺麗に伸びる吹き上がりも心地良い。高速クルージング時も気になる不快な振動がないので、快適に走れる。ちなみにローギヤで5,000rpm回した時のスピードは25km/h。6速トップギヤ100㎞/hクルージング時のエンジン回転数は6,700rpmあたり(メーター表示は6,500rpm)だ。
 直進安定性もしっかりしているし、ワインディングロードでの旋回性能も侮れない。それ以前に操縦性も素直で扱いやすいので、初心者でも手強さを感じることなく自然と徐々に慣れていけるのが良い。

 フレンドリーな乗り味を満喫しながら走っていると、2つだけ気になる所があった。 あくまで“欲を言えば”の話ではあるが、前後サスペンションのフットワークにもう一段階上質な作動性を望むこと。そしてもうひとつはシフトタッチがよりスムーズになってほしいと。これらの改善でジクサー250はよりパーフェクトなものへ近づくことだろう。
 それにしても、このジクサー250は十分にパワフルでかつ扱いやすく経済性に優れた油冷エンジンと、誰にでも親しみやすく楽しく走り込める素直な操縦性とのバランスの良い仕上がりは魅力的なことには違いがない。多くの250ccユーザーから市民権を得る、商品性の非常に高い1台なのである。

足つき性チェック(身長168cm)

スズキ・ジクサー250
スズキ・ジクサー250
スズキ・ジクサー250
スズキ・ジクサー250
パイプバー・アップハンドルの装着で、上体の起きたごく自然な姿勢で乗れるライディングポジションが構築されている。足つき性は踵がかすかに浮く感じもあるが、両足はほぼベッタリと地面を捉える事ができる。シート高はジクサーSF250と同じ800mm。

著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…