マイナス25度|ロイヤルエンフィールドの「南極走破破プロジェクト」新型ヒマラヤが28日間かけて走破

ロイヤルエンフィールドは、新型の「ヒマラヤ」2台を使った南極走行プロジェクト「90°SOUTH - Quest for the Pole」において、28日間かけて極寒の南極大陸を走破。2021年12月16日に見事、南極点に到達した。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
写真左)南極大陸の南極点に到達した、新型ヒマラヤと走行チーム。 写真右)今回の南極点到達の走行ルート。

 現存するバイクメーカーの中では、世界最古といわれるバイクブランド・ロイヤルエンフィールドは、アドベンチャー仕様のNEWモデル「ヒマラヤ」を用い、南極点を目指すプロジェクト「90° SOUTH – Quest for the Pole」を敢行。2021年12月16日に無事成功させ、バイクを使った南極点制覇の歴史に名を刻んだ。

 この挑戦は、ロイヤルエンフィールドのビジョンである「Pure Motorcycling(純粋なモーターサイクリング)」へのコミットメントを改めて表明するとともに、これまでモーターサイクルの歴史を作り上げてきた、ライダーや冒険家たちへの敬意を表したトリビュートプロジェクト。

 ロイヤルエンフィールドのライド&コミュニティ部門リーダー・Santhosh Vijay Kumar氏と、製品開発部門のシニアエンジニア・Dean Coxson氏の2名は、2021年11月26日に南アフリカのケープタウンを出発。まずは南極のノボ(Novo)に到着した後、4日間の高所順応、物資の積み込み、装備やモーターサイクルのチェックを実施。ノボから9日間かけ、チームは気温マイナス30〜マイナス25度、風速60km/h(約16.6m/s)という極限の気候条件の中、ロス棚氷に向かって3,200kmの距離を走破した。

 南極大陸の最南端に位置するロス棚氷は、当初、南極点を目指す2名のライダーたちの出発地点として指定されていた。しかし予期せぬ暴風雪が発生したため、南緯86度ではなく、急遽87度からスタートするコースに変更。道路の寸断や迂回といった緊急事態も乗り越え、チームは2021年12月16日に無事、南極点に到達。バイクを使った冒険史に、新たな歴史を刻み込んだ。なお、現在、チームは南極大陸西部のユニオン氷河に向かっており、そこからチリのプンタ・アレーナスへ飛び立つ予定。

 超過酷な南極を走破するため、2台のヒマラヤは独自にカスタマイズ(雪上を走るためのタイヤへの変更、オルタネーター(発電機)の強化など)。バイクにとっては極限ともいえる南極の環境下で、雪上や氷上を走行できるよう、各部の機能もアップされた。

 今回のプロジェクトでは、ブランドが掲げる「#LeaveEveryPlaceBetter(あらゆる場所をより良くする)」というイニシアチブに基づき、圧雪されたコースを走行することで、モーターサイクルと雪の抵抗を減らし、排出ガスを極限まで抑制。また、チームは人間の排泄物を含む、すべての廃棄物を持ち帰り、適切に処理するなど、環境面もとことん配慮された。

●今回のプロジェクトに関する動画集は下記をチェック
https://www.youtube.com/watch?v=M3eJeMZBqkQ&list=PLT1BEDU54E1ThNsiclmYwUjJjz9voSLkx

南極を走破したロイヤルエンフィールドのアドベンチャーモデル「ヒマラヤ」とは?

2022年モデルとなる新型のヒマラヤ。
前モデルをベースに、新型は各部をバージョンアップ。
アドベンチャーモデルのヒマラヤは、空冷4スト単気筒SOHC 2バルブ411ccエンジンを搭載。

 Himalayan(ヒマラヤ)は、2016年に誕⽣(国内では正規代理店のピーシーアイより、2020年に発売)した、走行シーンを選ばない、オンロード&オフロードの両方に適応するデュアルパーパスモデル。ロイヤルエンフィールドが50年以上に渡ってヒマラヤ⼭脈を⾛破してきた経験からインスピレーションを得た、シンプルで⾼性能な「どこにでも⾏ける」をコンセプトに開発された。

 今回、南極を走破した新型のヒマラヤは、

1:前モデルに搭載の空冷4スト単気筒SOHC 2バルブ411ccエンジンを、排ガス規制のユーロ5に適合

2:手持ちのスマホのグーグルマップ+独自のアプリを用い、ヒマラヤに装備された専用ナビゲーションシステムに表示する「Tripper(トリッパ―)」を標準装備。スマートフォンにロイヤルエンフィールドのアプリをインストールし、バイクをペアリングするだけで使⽤可能

3:ABSは「オフロード走行モード」に切り替えることで(スイッチ1つで切り替えOK)、後輪のABSがオフになり、積極的な走りとオフロード走行時の操作性を向上

 その他、新しいカラーリング、金属製の平面プレートを採用した新設計のリアキャリア、長時間走行でも疲れにくい快適な座り心地を実現したシートなど、より多機能で汎⽤性の⾼いアドベンチャーツアラーとしてアップグレードされた。詳しくは下記をチェック!

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