ヤマハ シグナスXでガス欠するまで走ってみた。|東海道ガス欠チャレンジ [Part03]

青い通勤特急、ヤマハ シグナスXはガソリン満タンでどこまでイケる? 東京・日本橋から京都をめざす東海道ガス欠チャレンジ第2弾![インプレ]

ラッシュアワーの快速キング、ヤマハ シグナス。ヘタレAFO RIDERタカハシは、このマシンで東京・日本橋から京都を目指し、満タンきっちり使い切りの東海道ワンウェイ・アタックに臨んだが、旧型シグナスXだけじゃつまらない。せっかくなので、妄想と推測だけで書いたオキテ破りの新型シグナス グリファス(バーチャル)実走インプレをついでに開陳!!

REPORT●AFO RIDER タカハシ(AFO RIDER Takahashi)
PHOTO●高橋克也(KATSUYA Takahashi)
ILLUSTRATION●高橋克也(KATSUYA Takahashi)

■新型シグナス グリファス妄走インプレ!

東海道/ヤマハ/シグナスX/ガス欠
シグナスXは空冷4ストローク124ccエンジンを搭載したスクーター。全長1890mm、車両重量119kg、最高出力は9.8PSだ。

タカハシと共に東海道を激走したシグナスXは、機敏な走りで通勤ライダーに人気のマシン。どの回転域からでもグイグイ前に出るエンジンのおかげで、すべてが俊敏・軽快だ。ガツンとインパクトがあるとかじゃないが、回転が上がるにつれてボワーンとゆるく盛り上がる遊園地っぽいエンジンもなかなか楽しい。

だがその反面、サスは硬くてライポジもぐっと前傾寄りの典型的な短距離ランナー。燃費もさほどよくないから、100kmオーバーのツーリングには今一歩の感も否めなかった。

シグナスXは、新型シグナス グリファスに

東海道/ヤマハ/シグナスX/ガス欠
シグナスXのキリッとシャープな直線的デザインは、このアングルが特にかっこいい。いっぽう新型グリファスは、わずかに丸みを感じさせるボディデザインになった。

さてそのシグナスXは、業界界隈では、ずいぶん前から新型が出ると噂されていたマシンだ。そしておおかたの予想通り、2021年12月に新型シグナスが発売された。すでにいくものインプレがあちこちのメディアに掲載されている。

東海道/ヤマハ/シグナスX/ガス欠
ふだん使いのお気楽スクーターとは思えない、メカニカルで精悍なツラ構えは新型グリファスにも受け継がれた。でもメカっぽさだけで評価すれば、むしろ旧型Xのほうが上?

新型が出るのがわかってたのに、わざわざタカハシが旧型で東海道を走った理由はただひとつ。貴重な新車情報は、権威ある有名ライターさんが、腕によりをかけて素晴らしい記事を書きあげるために取っておくことになってるからだ。
編集部にしたって、バイクメーカーにしたって、虎の子の新車情報をカスカス空脳AFOライダーなんぞに書き散らかさせるわけにはいかない。それはタカハシ自身も重々わかってるものの、なんでオレだけ旧型なんだよ! と、ムカつくのもまた人情だろう。

憧れのシグナス グリファス

東海道/ヤマハ/シグナス グリファス/ガス欠/イラスト/AFOライダー/タカハシ
新型シグナス グリファスは、新たに水冷4ストローク124ccエンジンを搭載した。最高出力は12PS、全長1935mm、車両重量125kgだ。

そこで今回は、旧型シグナスことシグナスXの東海道ロングライドで得た貴重な体感情報を、カタログを熟読して得た新型のスペックと徹底比較。その差分を体内演算し、一度も乗ったことのない新型シグナス グリファスのバーチャル体感インプレ記事を書くことにしたのである!(←ほぼ反則……)

でも、なにしろ妄想インプレだから、リアル現車とは別モノの記事になっちゃう可能性もある。もしどうしても本当のことが知りたいなら、いますぐこのブラウザを閉じ、マトモな有名ライターさんたちが書いたマトモな試乗記を読むといいだろう。

プラス2.2PSのパワーと6Kgの重量アップ

東海道/ヤマハ/シグナスX/ガス欠
シグナスXは最高出力9.8PS、新型グリファスは12PS。エンジンは空冷から水冷に進化した。

シグナスXの車両重量は119kg、そして新型シグナス グリファスは125kgと6kg重くなった。そのかわり最高出力は9.8PSから12PSへとアップ。パワーウエイト・レシオは、シグナスXの12.14kg/PSから、シグナス グリファスの10.42kg/PSへと向上した。つまり計算上は、もし車重そのままで11.4PSのエンジンを積んだシグナスXがあれば、新型シグナス同等の動力性能をもつことになるわけだ。

東海道/ヤマハ/シグナスX/ガス欠
シグナスXのインパネまわり。実用性一点張りのシンプル設計だが、過不足なく機能して、じつはひじょうに使いやすい。

旧型のシグナスXだって、停止状態から全開加速すれば、ほんの5~6秒で60km/hの法定速度に達する加速力と、市街地をぎゅんぎゅん走れる運動性を誇る俊足マシンだ。だがヤマハBLUE COREエンジンを搭載した新型シグナス グリファスは、これを大きく上回るパフォーマンスを発揮する。水冷エンジンのカチッと緻密な回転フィールもあいまって、じつに小気味よい加速感が味わえる(はずだ。妄想だけど)。

ABSとUBSの安心感

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写真のシグナスXも、写真のないシグナス グリファスも、ブレーキはどちらも同じ前後油圧式シングルディスク方式。ただし新型にはABSと前後連動ブレーキが付いている。

シグナスXのブレーキは、両輪をフルに使えばなかなか強烈なストッピングパワーをもっている。一般的なスポーツバイクと比べると、握り始めにふわつくものの、気軽な市街地ライディングには、むしろほどよい設定だ。
ただしABSがないため、手加減ナシの全力でリアブレーキ・レバーを締め上げると、ロックしてるんだかしてないんだか、スキール音すらまったくしないまま、リアがニョロニョロと左右によじれる超ブキミな挙動を示す。

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シグナスXのリアまわり。リアの懸架方式は新型も変わらずコンサバ安定系ユニットスイング式だ。

だが新型シグナス グリファスにはABSがある! おまけにリアブレーキ・レバーを握れば、フロントが同時にほどよくかかる連動ブレーキUBS(ユニファイド・ブレーキシステム←無理に和訳すると「一体化制動装置系」)もある!
ブレーキタッチとかABSのキックバック・フィーリングとかの細かいところは(なにしろまだ乗ったことないんで)ムニャムニャで許してほしいが、少なくともABSがついている以上、思いきりレバーを握り込んでも簡単にロックしないことだけは保証してもよさそうだ。

新型シグナス グリファスは東海道をどこまで走る?

東海道/ヤマハ/シグナスX/ガス欠
シグナスXの給油口はインパネ下の左側についている。シートをあけなくても給油できるのがありがたい。

旧型シグナスXの燃費はWMTCモード燃費(クラス1)で37.3km/L。対する新型シグナス グリファスは44.5km/lと、約20%も燃費をのばした。ただしタンク容量は旧型の6.5Lから6.1Lに縮小されたから、残念ながらワンタンクの航続距離はそこまでのびない。

東海道/ヤマハ/シグナスX/ガス欠
ケレン味たっぷり、メカメカしくてどこか四輪っぽいシグナスXのリアビュー。このデザインコンセプトは新型グリファスにも引き継がれている。

日本橋から走り出したシグナスXがたどり着いたのは187.5km先の田子の浦港だった。タカハシは、このたびシグナス グリファスでの妄想実走にあたり、激太りも寄り道もシグナルGPも避け、多少は道に迷いながらも旧型とまったく同じカンジを維持して走り続けたため、日本橋から211.2km先の静岡県島田市にたどり着くことに成功。島田名物 元祖清水屋の小饅頭をたらふく食べることができた(らいいなと願っている)のだ!

シグナス グリファスの欠点とは

東海道/ヤマハ/シグナスX/ガス欠
2003年のデビューからシグナス グリファスへのバトンタッチまでの18年間、スーツ姿の働く男たちをこの小さなステップボードに乗せ、シグナスXはひたすら街を走り続けた。

ところで一見いいことずくめに思える新型シグナス グリファスにも、たったひとつ重大な欠点があることを忘れてはいけない。我々モータージャーナリストに課せられた重い使命として、万難を排し、血の涙を流し、耐えがたきを耐え、しのびがたきをしのび、それだけはここにはっきり書いておこう。

新型シグナス グリファス唯一の欠点、それは「名前が長い」ということだ。

シグナスXに比べると英文で6文字も長い!! しかもちょっと賢い幼稚園児なら覚えられる「X」に比べると「GRYPHUS」なんて読みにくい名前、東大生でもまず覚えられるハズがない。AFOなタカハシは本稿中で数十回も書きまちがえたばかりか、原稿を書き終わりかけている今となってもまだ車名に確信がもてないほどだ。

せめて中学生でも覚えられる「シグナス グラタン」とかの親しみやすく印象深い名前にしておけば、新型車の認知度はさらに高まり、間違いなく歴史的ビッグセールスを記録したことだろう。ヤマハは今すぐグリファスの名を「グラタン」に変え、360度全方位的に完璧なスクーターとして、ガツンと売り出し直してみてはどうだろう。(←いやアカンやろ)

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東海道ガス欠チャレンジ/ヤマハ シグナス グリファス(だったとすればここまで行けたハズという妄想版)/日本橋~島田

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著者プロフィール

AFO RIDER タカハシ 近影

AFO RIDER タカハシ

イラストレーター、カメラマン、ライター、ムービークリエイターなど、世間をあざむく幾つもの顔をもつが…