変態とはある領域を突き抜け、もう何も思い残すことはないと豪語できるほどになった人へ対する称号だ。ゆえに「変態さん」と呼ばれても決して怒ってはいけない。無上の褒め言葉として受け取ってほしい。こんな説明をしなくても笑顔で「はい、変態です」と答えてくれるのが今回紹介する神津雄介さん。とある旧車イベントに70年代のダイハツ・ハイゼットで参加しているところを取材したのだが、4輪よりも2輪、しかも50年代から60年代にかけて作られた鉄スクーターが大好きな人だった。
話を聞けば聞くほど「これは変態の領域だ」と思わせる所有車の数々。そこで月刊モトチャンプに登場を願ったのが今から数年も前のこと。その神津さんから久しぶりに連絡が届いた。「アンティークショップを開いたので遊びにきませんか」との申し出に喜び勇んで出かけたのが、今回お邪魔したビンゴストアさんである。
そもそもバイクに限らず古いものが大好きで、フリーマーケットや蚤の市で興味のあるものが見つかれば買い漁っていた。神津さんはフリーランスの玩具デザイナーで、有名なフィギュアの試作や開発を数多くされてきた。ところが昨今おもちゃ業界も不況で時間に余裕ができた。そこでこれまで集めてきたアンティークの品々を販売するショップを開いてみようと思われたそうだ。
ショップを開店する前からインターネットでアンティーク品の売買を続けてきた神津さんだが、やはりショップを構えていないと不便なこともあるそうだ。例えば仕入れで、お店があると古い品を手放したいという人が自ら来店して買い取りを依頼してくれる。ところがショップを持たない個人だと、相手に警戒心を与えてしまうため思ったような仕入れができないケースもあるのだとか。
アンティークといっても江戸期や太平洋戦争前のものより昭和の時代にノスタルジーを感じるそうで、店頭に並んだ品々も昭和期に作られたモノが多く見受けられる。骨董とは違う、もう少しだけ新しいけれど古い品々。40〜60年ほど前だから本物の骨董マニアからすれば価値はないのかもしれない。けれど、昭和をリアルに体験していない世代にとっては見たこともない色使いやデザインだろう。若い世代が来店するのか尋ねてみると「そうでもありません。昭和の時代に幼少期を過ごした世代以上ですね」と、意外にも中高年の客が多いのだとか。
一方、バイクはどうなのかと聞けば「今でも別に倉庫があって、そちらにも在庫があります」と販売向け車両がまだまだ眠っているようだ。この日は店先に並べられるだけしか拝見できなかったが、それでも圧巻のラインナップ。店内にはそれらバイクたちの部品なども陳列されている。古いバイク、特に鉄スクーターが好きな人だったら一度は店内を覗いてみてほしい。カスタムの定番である「ボテ箱」だけでなく、古いアクセサリーなどもあるので変態に片足を突っ込んでいるような人なら興奮してしまうこと間違いなしだ。
ビンゴストアで販売中のバイクの詳細記事は近日中に公開予定です!!