毎回驚くようなレア車両が展示されるモンキーミーティング。3年前の前回ではモンキー工場早矢仕が5セットほど販売したとされるフルカウル仕様が登場して記事にしている。ところが2022年4月27日に開催された第13回モンキーミーティングの会場には、さらに驚く早矢仕の外装を装着したモンキーが現れた。まずは前回の写真のフルカウル仕様と見比べていただきたい。まったく形状が違うとわかることだろう。燃料タンクがフルカウル仕様は平べったいことに対し、今回のものだと台形のように上へ盛り上がった形状になっているのだ。またシートカウルも形状が異なり、フルカウル仕様と比べるとリヤショック周囲のデザインが別物になっている。またシートスポンジを貼る部分に丸みが与えられ、より成熟した印象になっているのだ。
フルカウル仕様はレース専用に設計されたようだが、こちらの外装仕様は灯火類を装着した写真が当時の雑誌広告などでも確認できることから、街乗り仕様としても考慮されていたようだ。ただ、この形状の燃料タンクとフルカウルを組み合わせた写真も確認できることから、前回紹介したデザインと完全に別バージョンだと言い切れないかもしれない。当時のパーツメーカーが製作したものなので、どれが正解という答えはないのだろう。このモンキーを展示したオーナーの萩原浩さんは数年前に早矢仕の外装を探していたところ、タンクとシートカウルを装着したレストアベース車を発見。ほぼ即決するように入手して、別に揃えていた当時の部品と組み合わせてこの形に完成させたそうだ。
サイドカバーだけ早矢仕ではないものの、これだけ良い状態で残っていたのは奇跡的なことだろう。この形状の外装キットも5セットが発売されたという情報があり、フルカウル仕様と合わせると10セット前後の早矢仕外装が存在した可能性がある。現在どれだけの早矢仕外装が残っているのかは不明なものの、もしかするとまだまだ残っているのかもしれない。来年以降もモンキーミーティングが開催されれば、遭遇する可能性もあるわけだ。さらなる発掘を期待しよう。
オーナーの萩原さんは乗りもの館やイノウエなどのパーツも収集しており、この早矢仕外装のモンキーにも当時モノのパーツがふんだんに装着されている。106ccにボアアップされたエンジンはSP武川の初期スペシャルクラッチ5速が組み合わされていて、キャブレターはインテークごと早矢仕φ22mmにされている。オイルクーラーも早矢仕製だというから、さぞ探し出すことに苦労されたことだろう。またエンジンに使われているカバー類はJRPで統一しつつ、マフラーには貴重なマキシム製を装備している。
足回りにもこだわりが発揮されていて、フロントフォークとブレーキパネルはJRP製で固めた。ホイールは乗りもの館のアルミでダンロップTT100タイヤを履いている。リヤショックはコニなのだが、こちらは当時モノというわけではなく今でも探せば手に入るものだそうだ。当時風のデザインなので違和感がないが、探し出すにはちょっとしたコツが必要かもしれない。
モンキーのカスタムはオーナーの数だけあると言われるくらい数多く奥深い。このような当時モノにこだわって組み上げる楽しみ方は、少数ながら完成した喜びはひとしおだろう。ただ、古いモンキーの中古車価格は高騰しているし、当時のパーツも数が少ないため高額になることが多いが、男のロマンたっぷりの世界なのである。