スーパースポーツなのに! 「GSX-R1000R」は街乗りにも”意外と”活躍する秀才でした。

スズキ・スーパースーパースポーツのフラッグシップが「GSX-R1000R ABS」です。現行型は「THE KING OF SPORTBIKES」の称号を目標に開発され、今回試乗したトリトンブルーメタリックの車両はMotoGPマシンと同じ“エクスターカラー”で見るからに速そう。サーキットでなければ、面白くないのでしょうか。

REPORT●青木タカオ(AOKI Takao) PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

※2019年07月03日に掲載した記事を再編集したものです。
価格やカラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。

GSX-R1000R ABSディテール解説

スズキ・GSX-R1000R

しなやかなに動くSHOWAのBFF(Balance Free Frontfork)は、外部のチャンバーに減衰力を発生させるオリフィスを集中させてあります。ブレンボ製モノブロックラジアルマウントキャリパーと組み合わされる320mm径のディスクローターは、スプリング式フローティングピンマウントとTドライブフローティングマウントをそれぞれ5個ずつ組み合わせたハイブリッドマウント式です。

スズキ・GSX-R1000R

言うまでもなく、上半身が前傾となるライディングポジションとなりますが、セパレートハンドルは極端に低いという印象ではなく、80〜90年代のレーサーレプリカを思えば苦にならないレベルかもしれません。思い返せば、あの前傾姿勢でツーリングしていた人は珍しくなく、北海道などでも荷物満載のレーサーレプリカが当たり前のように走っていました。

スズキ・GSX-R1000R

軽量コンパクトなフル液晶ディスプレイは背景が黒のネガティブ表示で、6段階の輝度調整が可能。速度、タコメーター、ギヤポジションがまず目に入り、S-DMSやトラクションコントロールのモードもすぐわかります。表示機能は多く、ローンチコントロール、ラップタイム、燃料計、瞬間燃費計、平均燃費計、航続可能距離計、水温、外気温、時計、ETCを表示。インストルメントパネル上部にエンジンRPMインジケーターランプを配置し、これも見やすいです。

スズキ・GSX-R1000R
スズキ・GSX-R1000R

ハンドルスイッチも使いやすく、メーターディスプレイを見ながら左の上下ボタンを動かせば、ほとんどのことが直感的にできました。

スズキ・GSX-R1000R

アグレシッブなライディングに対応するよう、シートは動きやすいスリムな形状。先端が絞り込まれて、足着き性も良好な部類に入ります。なお、シート高はGSX-R1000=825mm、CBR1000RR=820mmm、ZX-10R=835mm、YZF-R1=855mmとなっています。

スズキ・GSX-R1000R

パッセンジャーシートはキーで取り外しできますが、スペースはほとんどありません。2019年式から標準装備されたETC2.0車載器は外観を損なわないフロントシート下に設置。シート裏にある工具でテールカウルを外さなければ車載器に手が届かないので、現実的にはカードは入れたままとなるでしょう。メーターパネル内のインジケーターで動作状態の確認ができますが、カードの期限はメモしておいた方が良さそうです。

スズキ・GSX-R1000R

アップ&ダウン対応の双方向クイックシフターは、クラッチやスロットル操作をせずにシフトチェンジできるのでサーキット以外でもありがたい。ダウン時にはプレートの圧力を下げるスリッパークラッチとして「スズキクラッチアシストシステム(SCAS)」が機能するので、思うがままです。

スズキ・GSX-R1000R

6スポークアルミキャストホイールにブリヂストン製BATTLAX RACING STREET RS11ラジアルタイヤをセット。大型マフラーカバーはエンド部をスラッシュカット形状にするとともに、サイレンサー本体をブラックアウトすることでスタイリッシュな印象を見る者に与えています。

スズキ・GSX-R1000R

内側を鋳造、外側をプレス成型とした軽量コンパクトで、スリムなアルミ製ツインスパーフレームを採用。角断面のアルミパイプ製スイングアームは、重量と剛性バランスを最適化し、高い運動性能を発揮します。

スズキ・GSX-R1000R

リヤブレーキは220mm径シングルディスクローターに1ピストンキャリパーの組み合わせ。IMUと連動する「モーショントラックブレーキシステム」を採用しますが、これは後輪のリフトを減らすことにより、立ち上がりの鋭い初期制動とより大きなブレーキングフォースをもたらします。

主要諸元

型式 2BL-DM11G
全長 / 全幅 / 全高 2,075mm / 705mm / 1,145mm
軸間距離 / 最低地上高 1,420mm / 130mm
シート高 825mm
装備重量 ※1 203kg
燃料消費率 ※2 国土交通省届出値:
 定地燃費値 ※3 22.1km/L(60km/h) 2名乗車時
 WMTCモード値 ※4 16.6km/L(クラス3、サブクラス3-2) 1名乗車時
最小回転半径 3.5m
エンジン型式 / 弁方式 DTA1・水冷・4サイクル・直列4気筒 / DOHC・4バルブ
総排気量 999cm3
内径×行程 / 圧縮比 76.0mm×55.1mm / 13.2
最高出力 ※5 145kW〈197PS〉 / 13,200rpm
最大トルク ※5 117N・m〈11.9kgf・m〉 / 10,800rpm
燃料供給装置 フューエルインジェクションシステム
始動方式 セルフ式
点火方式 フルトランジスタ式
潤滑方式 ウェットサンプ式
潤滑油容量 4.1L
燃料タンク容量 16L
クラッチ形式 湿式多板コイルスプリング
変速機形式 常時噛合式6段リターン
変速比
 1速 2.562
 2速 2.052
 3速 1.714
 4速 1.500
 5速 1.360
 6速 1.269
減速比(1次 / 2次) 1.652 / 2.647
フレーム形式 ダイヤモンド
キャスター / トレール 23°20′/ 95mm
ブレーキ形式(前 / 後) 油圧式ダブルディスク(ABS)/ 油圧式シングルディスク(ABS)
タイヤサイズ(前 / 後) 120/70ZR17M/C(58W)/ 190/55ZR17M/C(75W)
舵取り角左右 27°
乗車定員 2名
排出ガス基準 平成28年国内排出ガス規制に対応

※1:装備重量は、燃料・潤滑油・冷却水・バッテリー液を含む総重量となります。※2:燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります。※3:定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です。※4:WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。※5:エンジン出力表示は「PS/rpm」から「kW/rpm」へ、トルク表示は、「kgf・m/rpm」から「N・m/rpm」へ切り替わりました。〈 〉内は、旧単位での参考値です。●車体色はモニター表示のため、実物とは異なる場合があります。●仕様および装備は予告なく変更する場合があります。●掲載写真には、合成または特別に許可を得て撮影したものが含まれます。

テスター:青木タカオ

スズキ・GSX-R1000R

 バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。最新バイク情報をビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説し、休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持されている。
 現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアにて執筆中、バイク関連著書もある。

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著者プロフィール

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青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。最新バイク情報をビギナーの目線に絶えず立ち返…