【軽自動車よりかなり小さい】普通自動車免許で乗れる|ヨドバシカメラで販売中のEVトゥクトゥクにさっそく乗ってみた。

大手家電量販店のヨドバシカメラで発売中の電動三輪車「EV-TUKTUK(トゥクトゥク)」。ヨドバシカメラのECサイト「ヨドバシ・ドット・コム」でも注文・購入できる話題のEV-TUKTUKは、様々なEVモデルを展開する「ビークルファン(本社:東京都江戸川区)」がリリース。今回、発売元であるビークルファンのショールルームへ伺うとともに、EV-TUKTUKの試乗を敢行した。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shyunsuke)
取材協力●ビークルファン http://www.vehiclefun.net/

ビークルファン EV-TUKTUK(トゥクトゥク)……77万円(10%消費税込) ※納車パック込みの価格

乗車定員は前1名(運転者)+リアシート2名の合計3名。
ボディサイズは全長×全幅×全高:2010mm×995mm×1600mm。車体重量は212㎏(バッテリー含む)。
ホイールサイズは前後とも12インチ。タイヤサイズはフロント120/70-12、リア125/65-12。

普通自動車免許で運転OK!シートベルトを装備し、ヘルメット着用義務もなし

 写真はビークルファンがリリースする、運転席1名+リアに2人乗りの座席を設けた電動三輪車「EV-TUK TUK(トゥクトゥク)」。トゥクトゥクとは東南アジアのタイで活躍する、バイク形態の三輪タクシーのこと。名称の由来はエンジン音から。

 EV-TUK TUKはその名の通り、タイの三輪タクシーであるトゥクトゥクのスタイルを踏襲したモデル。ホンダの実用スリーター・ジャイロキャノピー(車重139kg)のような、大きなルーフ(屋根)、大型フロントスクリーン、フロントワイパーを導入するなど、雨風に強い仕様に設計されているのがポイントだ。

 発売元のビークルファンは2009年に創業し、2018年に法人化された、電気自動車・電動三輪車・電動バイク・電動キックボードなど、様々なEVコミューターをリリースする新進のベンチャー企業。創業者&代表の松原達郎氏は、元々国内の大手ハウスメーカーに勤務。中国に出張中、上海や北京の市街地を走っている電動スクーターや電動キックボードを見て、「日本でも静かで環境に優しい電動バイクを普及させたい」と思い、独立してビークルファンを立ち上げた。

 両側に自動車のようなドアのないEV-TUK TUKは、側車付軽二輪(いわゆるサイドカー)の扱いとなるため、二輪免許ではなく、普通自動車免許で運転OK。また法律上、ヘルメットの着用義務もなし。

軽自動車よりも、維持費は大幅に節約可能

 軽自動車に必要な2年に一度(新車購入時は3年後)の車検は不要。重量税は4900円。自賠責保険は3年間で1万1960円。警察署に申請する車庫証明は不要となる。

 EV-TUK TUKの車両本体価格は66万円(10%消費税込)。納車までに必要な、ナンバープレート取得・自賠責保険(3年)・重量税・1年補償・納車費用・送料が1セットになった「納車パック(関東地区は14万5000円・10%消費税込)」ありの場合は、77万円(10%消費税込)とお買い得となる。お得と言われる軽自動車よりも、車体価格や維持費が大幅に抑えられるのが特徴だ。

見た目以上にコンパクト。バックモニターを備えた、便利なバック走行機能も導入済み!

身長173cmの筆者が着座したところ。EV-TUK TUKは運転席がバンクしない(左右に傾かない)直立型のため、停車時、地面に足を着く必要がない。
全幅は995mmのコンパクトサイズ(軽自動車の全幅は1480mm以下に規定)。駐車スペースをとらず、狭い道の走行も非常に楽。

 EV-TUK TUKの全長は、ビッグバイク並の2010mm。とはいえ、肉眼で実車を見てみると非常にコンパクトなイメージ。これは前後12インチの小径ホイールや、余裕のある前後シート周りや頭上のスペースによる影響も大きい。

 重量は212㎏(バッテリー含む)で、バイクでいうならば400cc〜600ccクラスに相当する=まずまず軽い、と言えるだろう。実際にEV-TUK TUKを押し歩いてみると、実際に軽い。これはバランスの良い車体構成と、小回りの効く12インチの小径ホイールがもたらすものだと思われる。

 EV-TUK TUKは右グリップ側のスイッチを切り替え、スロットルを開けるとリバース走行(バック走行)も可能。リバース走行時には、デジタルメーターの主要画面がバックモニターに切り替わり、大きく表示。運転に慣れない人にとってこの機能は、嬉しいシステムだろう。

右スイッチボックスに設置された縦長のスイッチ操作でリバース走行(バック走行)も可能。D→前進、N→ニュートラル、R→後退。各走行はバイクと同じく、右スロットルで操作する。

 全幅は995mm。ホンダ・ゴールドウィングが905mmとすると、そのサイズ感の想像がしやすいだろうか。実際に着座してみると、足元や頭上などの窮屈感はまったくなし。屋根付きの原付スリーター「ホンダ ジャイロキャノピー(全長1895mm、車両重量139kg)」に比べると、開放感は数ランク上だと感じる。

 ホンダ ジャイロキャノピーは運転席がバンクする(左右に傾く)タイプだが、EV-TUK TUKは運転席がバンクしない直立型で、自動車のようにハンドルを切ってまがる。運転席のシートは、背もたれ付きでまるで自動車のような着座感。

写真のホンダ ジャイロキャノピーは運転席がバンクする(左右に傾く)しくみ。
ジャイロキャノピーのルーフは運転席のみカバーしているため、前後が短い。また、原付のためにヘルメット着用義務があるため、屋根の位置が高い=重心が高いのが特徴。

最高速度は40km/h。近隣への買い物や子供の送り迎えなどに最適

 EV-TUK TUKの最高速度は40km/hに設定され、最大乗車人数は3名。まずは1名乗車の状態で、街中を走行してみる。住宅街や左右1車線の道路ならば、交通の流れに乗ってスムーズに走行可能。一桁国道やバイパスのような流れの速い道では、最高速度の面からかなり心もとない。
 スタート時、スロットルを急激に開けても、スポーツEV車のような、攻撃的な加速はしない。具体的には、ワンクッション置いてから、徐々に加速していくイメージ。これは高齢者・女性。ビギナーの乗車も想定し、あえてセッティングされた、電動モデルだからこそ低コストでできる“安全装置”だ。

 驚くほど小回りが効くことも特徴の一つ。狭い道路でのUターンも、簡単に、しかも安定してクイックなターンが可能だ。入り組んだ狭い路地はもちろん、路上駐車&停車のクルマの横をスルーする時などは、全幅995mmのコンパクトな車体が本領を発揮する。

 運転席がバンクしない(左右に傾かない)直立型のため、停車時、バイクのように地面に足を着く必要がない。筆者的にはバイクを自分で支えるという行為から解放されるため、精神的にも肉体的にも非常にラクだった。

車両価格も維持費も軽自動車より格安!高齢者&子育て世代に超オススメなワケは?

 ネックとなるのは、スピードが乗りやすい2車線以上の幹線道路の走行。最高速度40km/hのEV-TUK TUKで走行するには、30km/h制限の原付一種(50cc)で走る時のようなストレスを感じざるをえない。その点を、ビークルファン代表の松原氏に伺ってみると、

「EV-TUK TUKのコーナリングは方法は、車体と体を傾けてバンクさせるのではなく、サイドカーのようにハンドルを切って曲がるタイプ。バイクに乗り慣れている方は、コツを掴むまでにやや時間がかかるかもしれません。EV-TUK TUKは、コーナリング時の横転防止などの観点から、あえて40km/hに抑制しています」

 EV-TUK TUKは、電動アシスト自転車以上・軽自動車未満を目指し、近隣への買い物や子供の送り迎えなど、近場移動の足として設計。また、現在問題になっている高齢者による事故や、免許返納問題の解決も視野に入れている。


「年齢的に自動車の運転は不安だが、日々の買い物など自動車がないと不便」
「軽自動車は経済的に敷居が高い」
「電動アシスト自転車は前後に子供が乗せられるけれど、雨や風がつらい……」

 EV-TUK TUKは、そんな高齢層や子育て世代に適した1台といえよう。

リアシートは2人乗り(シートベルト装備)。大きな荷物の運搬にも最適だ。
写真はアームレストを下げたところ。

大型ルーフ&フロントスクリーン等で風も大幅に抑制。広い座席空間で運転も楽々

 ワイパー付きの大型フロントスクリーンは、寒くて冷たい北風(取材当日の気温は4℃)をシャットアウト。オプションの雨避けサイドシートを設置すると、保温性や防風性はさらに高まる(下記参照)。

 フロントにはスポーツバイクにも採用の正立型フォークを導入。乗り心地はやや硬めで、前後とも12インチの小径ホイールを採用しているせいか、凹凸路走行時は振動が伝わってくるが、苦痛に感じるほどのレベルではない。ポジションはナチュラルで、シートの座り心地も快適なため、30分を超える長距離走行も、まったく苦にならない。

 次に筆者はリアシートへ座り、運転してもらう。リアシートは男性1名ならば快適に座れるが、身長170cm・体重60kgを超える男性2名の場合は、ややキツイかも。ただし小さな子供2名、もしくは小柄な女性2名ならば、問題はなさそうだ。

 リアシート着座による走行は、視界も良く、乗り心地も良好。そういえば……筆者はインド旅行でトゥクトゥク(インドではオートリクシャー、もしくはリキシャとも呼ばれる)のリアシートに乗ったことがある。当時乗ったインドのオートリクシャーは、エンジン音がかなりやかましかった。今回乗った電動のEV-TUK TUKはエンジン音がないため、リアシート着座時も極めて快適。観光地や娯楽施設などでも、EV-TUK TUKは大いに活躍しそうだと感じた。

雨や北風もシャットアウト!大柄な男性2名が乗っても、余裕の走りと安全性を獲得

 車体重量212㎏(バッテリー含む)を動かす電動モーターは、最大出力1500W仕様。大人1名運転時はもちろん、同乗者を乗せた大人2名で乗車時でも、スムーズに走行してくれる。

 前後ブレーキはディスク式を採用し、低速時はもちろん、最高時速40km/hからのストッピングパワーも申し分なし。大人2名乗車時(運転者=筆者の体重60kg、同乗者の体重70kg)でも、“慣性の法則”による荷重を感じることなく(例えるならば、荷物を満載したトラックのブレーキが効きにくくなる現象)、ディスクブレーキならではの制動力の高さを発揮してくれた。

オプションの雨避けサイドシートを設置したところ。
雨避けサイドシートを収納したところ。

 コーナリングはバイクのように車体がバンクしない(傾かない)ため、ハンドルを切った状態で身体を内側にインする、いわゆるサイドカー乗りをすると走らせやすい。バイクともクルマとも違う、独特の乗り味のため、慣れるまではコーナリング手前でしっかりとブレーキングすることが重要だ。先述したが、EV-TUK TUKは驚くほど小回りが効くのが特徴。慣れてしまえば、面白いほどクイックにコーナリングできるはずだ(くれぐれもスピードの出し過ぎによる横転には要注意)。

 バッテリーは60V/45Ahで、充電は家庭用100V電源を利用するお手軽タイプ。航続距離は満充電時で、80kmプラスマイナス10km(走行条件により異なる)。

 ビークルファンでは、環境やお財布に優しいEV-TUK TUKを、高齢者や主婦層の足として、企業や自治体に提案し、普及させていく予定。また、観光地のホテルや旅館にも提案し、観光客や宿泊客がEV-TUK TUKや、他の電動モビリティで散策できるプランなどを企画中。

 加えて近い将来、電動モビリティにAI技術を取り入れ、高齢者や障害者が目的地まで利用できる自動運転車。また、GPS監視モニター付きのお買い物自動配達ロボットなどの開発も展開していく予定だ。

ビークルファン EV-TUKTUK(トゥクトゥク) 細部をチェック

各種ライトを装備したオシャレなイメージのフロントマスク。
コンパクトカーをイメージさせる、丸みを帯びた可愛いデザインのテール周り。
フロントのアルミキャストホイールは12インチに設定。タイヤサイズはフロント120/70-12。
リアのアルミキャストホイールは12インチ。リアのタイヤサイズは125/65-12。
自動車のようなサイドブレーキシステムを採用。
ハンドルカバー中央には各種スイッチをレイアウト。
メーターはデジタル表示型を採用。後退時にはバックモニターにもなる。
左ホルダーにはウインカー、ヘッドライトのHI&LOW、ハザード、ホーン(ホーンのみ現行型はスイッチを大型化)の各スイッチを装備。
左ボードのスイッチ部。
キーシリンダー部。
充電器接続部には小物入れも設置。写真はカバーを開けたところ。

ビークルファン EV-TUKTUK(トゥクトゥク) 主要諸元

全長×全幅×全高:2010mm×995mm×1600mm
車体重量:212㎏(バッテリー含む)
最大乗車人数:3人
最大出力:1500W
モーター:3相回生モーター(定格1000W)
バッテリー:60v/50Ah リチウムイオンバッテリー
電源:家庭用100V(フル充電/50円) ※新登場のロングレンジモデルはバッテリー容量が2倍となり、航続距離・バッテリー寿命が約2倍
バッテリー重量:22㎏
1充電当たり走行距離:80km±10km
最高速度:40km/h
ブレーキ:フロント…ディスク/リア…ディスク
ステアリング:ハンドル方式
サスペンション:油圧式(フロント/リア)
タイヤサイズ:フロント120/70-12/リア125/65-12
ドア:なし ※雨避けサイドシートは別途オプション
付属品:取り扱い説明書、専用リチウムイオンバッテリー用充電器 (PSE認証済)
付属保安器具:ヘッドライト、ウィンカー左右、ハザード、バックミラー、ブレーキテールランプ、 クラクション、ナンバーステー、ワイパー、バックモニター、Bluetooth搭載他
保証期間:購入日から1年間または3000km
※仕様は予告なく変更する場合あり
株式会社ビークルファン 東京都江戸川区松江3-12-14 VFビル1F
3人乗り電動トゥクトゥク【URBANIST TUKTUK】ご説明です。

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