【DUCATI MONSTER 797/+ 試乗】新世代にはもはやネオクラ!? 90年代、ドゥカティに新風を吹き込んだモンスター、スタイルも走りも原点回帰!!

持ち前のスポーティさのなかに扱いやすさも兼ね備える「スクランブラー」や「ディアベル」は現行ラインナップでは欠かせない存在ですが、かつてのドゥカティはスパルタンなスーパーバイク系ロードスポーツばかりで、走りを重視するライダーから圧倒的な支持を集める少しマニアックなブランドでした。高性能なことはいまも変わりませんが、フレンドリーさを世に知らしめたキッカケとなったのが「モンスター」です。最新モデルでは、原点回帰を感じずにはいられません。

REPORT●青木タカオ(AOKI Takao)

※2019年05月03日に掲載した記事を再編集したものです。
価格や諸元、カラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。

ジャストサイズと扱いやすく力強いエンジンで、キビキビ走る!!

ドゥカティ・モンスター900

 さて、走りは思うがままといった感じで、振り回せて乗れるのが好印象でした。写真を見てわかるとおり、サーキットで乗りましたが、あいにくの雨。レインの路面は、滑るのではないかと乗り手を緊張させて身体に余計な力が入りがちとなりますが、軽い車体とコントローラブルなエンジンのおかげで、リラックスしたまま気負わず自然体でライディングできるのでした。

 最高出力73PSは充分すぎるパワフルさで、スロットルレスポンスも鋭いのですが、スムーズで低回転域から粘り強くトルクを発揮してくれますし、デュアルインジェクターで制御を緻密化した吸気系が扱いやすさをもたらしています。実用回転域である4000〜8500rpmで最大出力の90%を発生し、どこからでも加速するピックアップの良さは、街乗りやワインディングでも大きな魅力となるでしょう。

ドゥカティ・モンスター900

 カヤバ製の倒立式フロントフォークとザックス製のリヤショックユニットがソフトによく動き、車体の挙動が把握しやすいのもマシンを操りやすいと感じさせる要因のひとつ。また、ヘッドパイプからシートレールまでを一体化した昔ながらのフレームは新開発されたもので、曲管を多用したトラスフレームはたしかな剛性の中にしなやかさが伴って、ライダーとの親和性を高めています。

 スリッパークラッチの標準装備によって、コーナー進入前のシフトダウンも大胆におこなえますし、細部を見てもブレンボ製のモノブロックラジアルマウントキャリパーがフロントに備わっているなど隙がありません。見た目だけでなく、制動力・タッチともに優れ、意のままにコントロールできる操作性が、雨のサーキットを苦にさせないのでした。

 スーパーバイク譲りの水冷Lツインを積む従来のモンスターは、高回転までブン回して余りあるハイパワーにドキドキしながら走る過激なマシンでしたが、空冷エンジンとオーソドックスなトラスフレームになったモンスター797/+は、意のままに動かす愉しさが味わえます。

ドゥカティ・モンスター900

 それとやはり、イタリアンブランドらしい精悍なスタイルに惹きつけられてなりません。少しバイクに詳しい人なら、すぐにわかるドゥカティ・モンスターの普遍的なカタチに惚れ惚れしてしまうのは筆者だけではないはずです。

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著者プロフィール

青木タカオ 近影

青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。最新バイク情報をビギナーの目線に絶えず立ち返…