行動半径の広がりが様々な感動をもたらしてくれる。

「これなら誰でも乗れる」|スズキ・レッツは、親しみやすさが自慢の超実用お買い物スクーターだ!

初代レッツ(2ストロークエンジン)は1996年に登場。中でもバリエーションモデルのレッツⅡは、他社を出し抜き10万円を切る廉価設定で話題を巻いたと記憶している。デビューのタイミングとしてはセピアの後継と言われたが、レッツⅡの位置づけとしては、それ以前の薔薇や蘭の後を担うシンプルなエントリーモデルとも言えた。2018年12月21日に発表された今回の新型も価格は同社製品中最廉価なのである。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

※2019年03月04日に掲載した記事を再編集したものです。
価格やカラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。

スズキ・レッツ……163,080円(消費税込み)

 正直言ってゼロハンスクーターの試乗は久しぶりのことだったが、改めてその気軽な乗り味がとても楽しく思えたのが実に印象的だった。車重は装備重量で70kg、このクラストップレベルの軽量ぶりだ。全高は1000mmを切り、全長やホイールベースも小さめ。大きな差ではないもののライバル達と比較するとシート高も唯一700mm を切り、全体的な車体サイズはミニマムレベルにある。
 ハンドルを握りセンタースタンドを下ろした時、クルリと反対側に向ける等車体を取り回す時の手応えは本当に軽い。スタンドを立てる時も車体を持ち上げる程の意識する事はなく簡単に掛けられる。シート脇の左側には丁寧に右手を添えられるグリップが設けられているがそれも必要ない程に扱いは軽々だ。2輪車に初めて乗る人でも、腕力に乏しい小柄な女性でも不安なく乗り始めることができる事は請け合いである。

 もっぱら気楽な足代わりと割り切るのなら軽い乗り味とコンパクトな車体サイズは大きな魅力となる。家の軒下や駐輪場からの出し入れも楽だし、さほど大きなスペースも必要としない。つまり普段使いする上でのストレスが少ないのである。
 今回実用燃費率の計測は叶わなかったが定地燃費は66km/L。モード燃費率で53.4km/L。燃費率は使い方で大きく左右されるものだが大雑把に実用でも1Lで40~50Kmは走りそう。ちなみに燃料タンク容量は4.8Lあるので、一度満タンにすると200km近くかそれ以上走れてしまう。隣町程度への買い物利用ならおそらく1カ月以上は賄えてしまうだろう。

自転車感覚の気軽な乗り味が楽しい!

 跨がるとフラットなフロアに膝を揃えて乗れる行儀の良いライディングポジションが特徴。コンパクトな車体の割に窮屈な印象はない。右手のスロットルを開けると穏やかながらもそれなりに不足の無いトルク感で立ち上がる。極めて軽かった操舵フィーリングも加速と共に安定感が伴うようになり、快適に走れた。
 減速時も4ストロークエンジン独特のエンジンブレーキが良く利く。アクセルを戻すだけで程よい減速感があり12~13km/hまでは十分頼れる。

 それ以下では自動遠心クラッチが切れるのでスーッと転がるから前後ブレーキを使えば良い。加速感もストレスは感じなかったが、軽量故に減速操作も不安なくスパッと止められる。全体的に軽々と扱える軽快な走りが気持ち良い。

 日常的に使う近場の足として割り切るなら、若干前傾斜ながらもフラットスペースが広いフロアは、荷物の運搬にも好都合。例えばフロントインナーカウルにある荷掛けフックを活用すれば、大きな荷物だって邪魔にならず、楽に運べてしまう使い勝手の良さは自転車の比ではないのである。家から数km程度の快適移動道具としての活用がお勧めであり、その軽快な使い心地が魅力である。

ディテール解説

ドラムブレーキはシングルカムのリーディングトレーリング式。装着タイヤは台湾製DURO D-39チューブレスの10インチサイズだ。
ステップフロアは若干前下がりの傾斜がある。フロアはフラット面が広くデザインされているのが特徴。
SEP(スズキ・エコ・パフォーマンス)エンジンは燃焼効率と低フリクションが追求されている。もちろん低燃費性能に貢献。
排気は細く長いエキゾーストパイプで導かれ、右サイドマフラーへ。後輪のスチールホイールは左側の片側で支持されている。
中央には簡単なコンビニフックを装備。フロントインナーラックの許容重量は1.5kg。ペットボトル飲料等、使い勝手の自由度は高い。
シンプルにデザインされたホワイトのメーターパネル。アナログ表示の速度計と燃料計のコンビネーションで、オドメーターもドラム式。30km/hで点灯する速度警告灯はあるが、ウインカーのパイロットランプは無い。
シート下の収納スペースはご覧の通り。最大許容荷重は10kgと明記されている。底面にはヘルメットの収納方法を示す図が描かれていた。
いつものジェット型(SHOEI J-FORCE Ⅳ)を収納した所。この向きで横に寝かせるのがポイントだ。写真左に見える丸いキャップは燃料給油口。ガソリンタンクは4.8L容量もある。
縦に連ねられたハンドル左側のスイッチ。上から順にヘッドライトの光軸を切り替えるディマースイッチ、プッシュキャンセル式のウインカースイッチ、そして丸い押しボタンがホーンスイッチだ。
スイッチ周りはいたってシンプル。ハンドル右側はエンジン始動用のセル(スターター)ボタンのみ。キーをONにし、ブレーキレバーを握ったままこのボタンを押せばエンジンは簡単に目覚めてくれる。
日常使いに頼もしい、重さ3kgを許容するリヤキャリアが標準装備。

足つき性チェック(ライダー身長170cm/52kg)

シート高は695mm。おまけに車体は70kgと軽く、小柄な人でも安心して扱える。ご覧の通り、両足は地面にベッタリ。膝にも大きな余裕がある。

主要諸元

型式 2BH-CA4AA
全長 / 全幅 / 全高 1,660mm / 615mm / 995mm
軸間距離 / 最低地上高 1,150mm / 105mm
シート高 695mm
装備重量  70kg
燃料消費率  国土交通省届出値:
 定地燃費値 66.0km/L(30km/h)1名乗車時
 WMTCモード値  53.4km/L(クラス1)1名乗車時
最小回転半径 1.8m
エンジン型式 / 弁方式 A409・強制空冷・4サイクル・単気筒 / SOHC・2バルブ
総排気量 49cm3
最高出力  2.7kW〔3.7PS〕/ 8,500rpm
最大トルク  3.4N・m〔0.35kgf・m〕/ 7,000rpm
燃料供給装置 フューエルインジェクションシステム
始動方式 キック・セルフ併用式
潤滑油容量 0.8L
燃料タンク容量 4.8L
クラッチ形式 乾式自動遠心シュータイプ
変速機形式 Vベルト無段変速
フレーム形式 アンダーボーン
ブレーキ形式(前 / 後) 機械式リーディングトレーリング
タイヤサイズ(前 / 後) 80/90-10 35J
乗車定員 1名
排出ガス基準 平成28年国内排出ガス基準に対応

著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…