レンタルガレージで自家塗装! 2液ウレタン塗装に挑戦したら……失敗したお話。【自家塗装マイスターへの道・第1回】

バイクのレストアやカスタムで話題になることが多い自家塗装。自分で愛車の塗装ができれば楽しみ方は何倍にも膨らむことだろう。ただ、塗装には設備や道具、知識が不可欠。そこで今回は編集部の山田が仕入れてきた情報をもとに、缶スプレー塗装すら失敗する増田と二人で作業してみることにした。はてさて、結果はいかに?

REPORT●増田 満(MASUDA Mitsuru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)、増田 満(MASUDA Mitsuru)
取材協力●レンタルガレージ&ピット スペースワン(神奈川県厚木市中依知540/050-7122-0987))

古いホンダCB125の部品を塗ってみたけれど……

今回の素材は増田が所有するホンダCB125K5。

誰もが試してみたいと考えたことがある修理技術の一つが塗装ではないだろうか。本格的なレストアやカスタムをするほどでもないが、「自分で塗装ができたらもっと愛車を良い状態にできるのに」、そう考えたことはないだろうか。これまで何台もカスタム車やレストア車を取材してきたが、多くの場合オーナー自ら塗装をして仕上げた個体と巡り合った。その度に感心してしまう筆者は、これが大の塗装下手。ポンコツ大好き・不動車マニアな性格ゆえ、これまで何台も自分でメンテしたりレストアしてバイクを仕上げてきたが、塗装だけは敬遠してきた。というのも過去に何度も缶スプレーで挑戦したのだが、いずれも失敗に終わっているからだ。今回素材にした1971年製のホンダCB125にしても、自ら分解してフレームから仕上げてた愛着ある1台。フレームにはサビを転換する効果の高いPOR15という塗料を刷毛塗りしているが、タンクやサイドカバーなどの塗装は入手時のまま。塗装下手なことがアレルギーにすらなっているのだ。

サイドカバーだけK6以降のものがついていたのだ。

入手したCB125で気に入らない点がある。この個体はK5型なのにK6以降の黒いサイドカバーがついていることだ。本来ならタンクと同色のサイドカバーが付くはずなのに、おそらく過去に割ってしまい代用してあるのだろう。細かいことは気にしないタチだが、ここだけは懸案だった。古いし数が少ないバイクゆえ、純正を探しても見つかったことがない。だったら黒いサイドカバーをタンクと同じ色に塗ってしまえば良いのではないか。そう考えていたところ、編集部の山田から願ってもない提案が。「今度レンタルガレージを使って塗装をやってみようと思うんですよ」と。これは一口乗らない手はない!

塗装のための準備作業

再塗装するならデカールなどを剥がしてから作業しなければならない。
デカールを剥がして表面をペーパーで研いだ状態。

というわけで編集部山田から作業日の連絡があるのを待っている間にサイドカバーの準備を進めた。黒いサイドカバーは樹脂のままで塗装をしてあるわけではない。そこでデカールなどを剥がして表面を荒らしておくのだ。軽くスコッチブライトなどで表面を削ったたら800番程度のペーパーをかけてならしておいた。これでいつでも電話が来ても万全だ。

レンタルガレージで作業開始!

塗装の前にサイドカバー表面を脱脂する。

今回お邪魔したのは神奈川県厚木市にあるレンタルガレージ&ピット スペースワンさん。4輪乗用車が1台入るガレージにはハンドツールのほかエアコンプレッサーが常備されていて、1メートルのピットまで掘ってあるから大抵の作業はこなせる。おまけに塗装をしても構わないというのがポイント。自家塗装するといっても自宅でやるとなると周囲に塗料や匂いが拡散しないように養生しなければならないし、どうやっても匂いは漏れるから近所迷惑甚だしい。でもレンタルガレージなら気兼ねなく作業できるというもの。レンタル料金や工具の種類などは直接問い合わせてほしい。

下地になるプラサフの乗りを良くする密着塗装をする。

ガレージで待ち合わせた編集部の山田はプロショップで塗装の勉強をしてきたそうで頼り甲斐がある。プロ直伝の知識を聞いていると2液ウレタン塗料といっても素人が塗装可能、と思えてきた。塗装知識だけでなく下地になるプラサフや密着材など一通りの材料を揃えてくれたので、吾輩はサイドカバーを持参するだけで良かった。細かいことを気にしない筆者に比べ、山田は研究熱心かつ細心の注意と配慮を配る性格。そのためいきなりプラサフを吹こうとすると「脱脂と密着材をスプレーしてください!」と注意が飛ぶ。まずシリコンオフで表面を脱脂してから、ミッチャクロンというスプレータイプの密着材を塗布。これで準備が整った!

電動ガンで下地を塗装してみた

プラサフは実験の意味もあり電動ガンで吹いてみることにした。

おまけに山田はエアガンを使うだけでなく「お手軽にできそうな電動ガンも用意しました」と準備万端。この電動ガンはホームセンターやネット通販により数千円で買えるもの。自家塗装入門には最適と思える商品で、さすがに配慮と気配りの人である。ズボラな吾輩も少しは勉強せねば…。それでは早速、電動ガンでプラサフを吹いてみよう。と、その前にプラサフとは何か? 正式にはプライマーサフェーサーと呼ぶ下地塗料のことで、表面の凹凸を埋めるサフェーサーと塗料の密着性を高めるプライマーを合わせたもの。いきなり塗料を塗るのではなく下地を作ることで塗装自体を長持ちさせることができるのだ。またサビの防止にもなるので必要不可欠といっていい。

吹き始めが微妙なら吹き出たプラサフも均一ではないように見える。
下地塗装が終わったサイドカバー。
近付くとシボのような凹凸が散見。結論から言うと、この凹凸をやすり掛けできれいにならすのが正解だったのだが、これをサボって大変な目に!

ところが最初のミスはこの電動ガンにあった。プラサフをガンの下にある容器へ移しコンセントを差し込んでノズルを引くだけなのだが、なぜかなかなかプラサフが吹き出てくれない。「?」と思いつつノズルを引く力を強くすると突然のように「ブッファ〜」とプラサフが吹き出た。そんな大量に出なくても良いし、どうも吹き出る間隔にムラがあるため塗料が均一に出ていない。泣きそうになりながらノズルへの入力を調整しようとするも時すでに遅し。塗り終わったサイドカバーは写真のように見事な凹凸ができてしまった。ここで作業者を交代して山田が自分の塗装作業をすることになり、その間に凹凸だらけのサイドカバーをペーパーで削って表面を平らにすることにした。

2液ウレタン塗料で好みの色を作る!

いよいよ2液ウレタン塗料を調色する。

ズボラなうえに面倒臭がりな性格ゆえ、ペーパーでシコシコ表面を削る作業は「ほどほど」にして終了。というか、レンタルガレージを借りている時間には限りがあり、山田の作業具合との兼ね合いで進めなければならないためでもある。続いては2液ウレタン塗料を何色か使って好みの色に調整しなければならない。目指すのは少々ヤレたCB125と同じブルーメタリックだが、ズボラなのでしっかり合っていなくても気にはならない。程よく薄いブルーメタリックならOKとしたい。ところがこの調色作業が難しい。プロにご意見頂戴してきた山田のアドバイスで青に白を混ぜて淡いブルーを作りたいのだが、そう簡単には思った色味にならない。ただ、ここで他の色を加えてみたりすると後戻りできなくなりそうな気がする。調色作業を始めて20分ほど経っただろうか。これ以上やっても無理! と見切りをつけてメタリック塗料を配合。CB125のタンクに比べて随分と濃いブルーになってしまったが、止むを得ない。

色味に納得できたら硬化剤を配合する。

2液ウレタン塗料は1液と比べて耐久性に優れ配色も鮮やか。自動車なら2輪4輪問わず理想の塗料だ。ただし、2液塗料の場合、そのままスプレーしても硬まらないので硬化剤を塗料自体に含ませなければならない。硬化剤を入れてしてしまうと保存がきかない。基本的には1度に全て使いきらなければならないのだ。その一方で焦りも禁物。一度に厚塗りするのではなく、何度か重ね塗りして仕上げていく。

ペーパーで削った下地。サフェーサーがなかなか硬く、研磨に手こずった。この表面を脱脂する。

エアガンで本格自家塗装にチャレンジ!

本塗装はエアガンで吹き付けることにしたのだが、作業を見ていた編集部山田は「腕の振り方が驚くほどぎこちないですね」とのこと。

引き続き電動スプレーでの作業を行うのは危険(素人には尚更)と判断し、ここからはエアー式のスプレーガンで、本塗りに入ろう。まずプラサフで仕上げた表面を脱脂して密着材を塗布するのは先ほどの工程と一緒。その上で調色した2液塗料をガンのタンクに入れて塗装作業開始だ。先ほどプラサフを吹いて後悔したので、今回はしっかりエアガンを使って吹くことにする。するとどうだろう、先ほどの電動ガンに比べて作業性がすこぶる良い。当たり前のことだが、やはり自家塗装するならしっかりしたエアガンとコンプレッサーが必要だと痛感した。何しろノズルを引くと塗料が細かい霧となって噴射され(電動スプレーは霧というより雨粒)、サイドカバーの表面に均一に塗料が載っていく。ここで初心に帰って何度も重ね塗りをすることを思い返せばよかったのだが、根がズボラでせっかちときているので楽しさのあまり一度に厚塗りしてしまう。だが、塗料が垂れたのは想定範囲内で、なんとか塗装することができた(自画自賛)。これは楽しい!

遠目に見ればしっかり塗れているように思えるのだが…。
月面のように凹凸だらけになってしまった!

ところが乾燥させてすぐ失敗に気が付く。ブルーメタリックがマダラになってきたのだ。これはなんとしたことか! よくよく見ればプラサフが丁寧にならされていなかったことが原因で、表面が月面クレーターならぬ凹凸だらけになっていたのだ。力いっぱい削ったので、「この程度で十分かな」と思っていたのだが(平らに見えていたし)……。なんという失態…。このままクリアを吹いたところで元の木阿弥。その後、ペーパーで削ってみたものの、さすがは2液ウレタンとあってか、塗膜が硬く平らになってくれそうもない。これはイチからやり直しにすべきだろう。というわけで自家塗装チャレンジは初回にして大失敗に終わってしまったのだ。いずれリベンジ編をお届けするつもりだ。

著者プロフィール

増田満 近影

増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…