人生初の二液式ウレタン塗装。全てが失敗だった。|エア&電動ガンで自家塗装 【自家塗装マイスターへの道・第2回】

レストアやカスタムを自分で行うなら、避けて通れないのが塗装作業。ところがこれが難しい。どれだけ設備や道具が揃っていても、テクニックがないと確実に失敗する。では、どのように作業すれば失敗せずに塗装することができるのだろうか、検証してみた。

REPORT●増田 満(MASUDA Mitsuru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)、増田 満(MASUDA Mitsuru)
取材協力●レンタルガレージ&ピット スペースワン(神奈川県厚木市中依知540/050-7122-0987)

私が下手なのか、機材が悪いのか。失敗から学んだこと

電動スプレーガンで塗装してみる。

過去に何台も不動バイクを復活させてきた経験があるものの、塗装は大の苦手である。缶スプレーで何度もチャレンジしてきたが、成功と呼べる経験は1度くらいしかない。プロによる塗装作業を見ていると、ガンを吹くタイミングや距離、上下左右に振る間隔などが重要なのだろうと察しはつく。見よう見真似で試してみるも、そううまくはいかない。せっかちな性格が災いしているのだろう。不動だったホンダCB125を路上復帰させたはいいが、前回の記事で紹介したようにサイドカバーの塗装で大失敗してしまった。

予想できないタイミングで塗料が濃く出てしまう。

前回の敗因は下地作りがテキトーだったこと。電動ガンでプラサフを吹いたものの、ガンから吹き出る塗料の量が調節できず、ダマダマになって吹き出てしまった。乾燥後にしっかり表面をペーパーで平らにすれば良かったのだが、ズボラでせっかちな性格ゆえほどほどの作業で切り上げてしまった。その上から本塗装したものだから、下地の凹凸通りに塗装されてしまい、クレーターのような仕上がりになった。ここで学んだことは、どれだけ手軽な金額で買えるからといって、吹き出る量を調整できない電動ガンを使うべきでなかった。次に丁寧なペーパーがけをせず凹凸が残ったままの下地へ塗装してしまったことが挙げられる。

前回の失敗を反芻してみるため、電動ガンがどこまでダメなのか再検証してみた。

今回用意したのはスクーター用のカウル。新品なので下地が悪い!なんて言い訳はできない。これを電動ガンで塗装してみたところ、下写真のような仕上がりになった。

う〜ん、これはひどい。やはり吹き出る塗料を調整できず、少ししか出ないと思っていたら突然ブブッと大量に吹き出る。均一な量をスプレーできないものだから、いくらガンを上下左右に振ったところで解決しない。おまけに前回プラサフを吹いた後、シンナーでタンクとガン内部を洗浄したものの、洗浄し切れない場所があったようで、塗料の中に白い塊が含まれてスプレーされた(これは機材の手入れ慣れていない私のせいかもあるかもだが)。いやはや、お手上げである。

ここで得た結論として「素人であればあるほど道具は良いものを使え!」ということだ。たしかに電動ガンはそれ1つで1万円以下。コンプレッサーなども必要なく初期投資はリーズナブルであるが、ビギナーには綺麗に仕上げられるほどの技術はない、ということがわかった。

急にブブッと吹き出すので、コントロールしきれず垂れまくりになってしまった。
なんだ、この白い塊は!

果たして、初心者にエアガンを使いこなせるか

エアガンに持ち替えて再チャレンジ!

気を取り直してエアガンによるスプレー技術を磨こう。スクーター用カウルの残りを今度はエアガンで塗装してみることにした。前回失敗した経験があるので、できるだけ丁寧にガンを振り回したい。エアガンの使い方の基本として、ノズルを引いて塗料が吹き出てきたら、即座に上下左右にガンを振ること。一か所だけ長くスプレーすると、どうしても塗料が厚くなる。別の面を同じ厚みで塗ることは技術的に不可能なので、全体を均一な厚みで塗っていく。さらに一度のスプレーで済ませるのではなく、何度か塗り重ねる手間をかけること。最初は塗料がまばらにカウルへ載っていくが、ここで焦らず別の面も同じようにスプレーする。次にも同じことを繰り返し、次第に塗料が厚みを増していくのが理想だ。

ガンを上下左右に振りながら塗装を重ねていく。

またガンと対象物は15センチから20センチほど離してスプレーすること。あまりに近い位置でスプレーすると、これまたダマになりがちで全体を均一に塗ることが難しくなる。上写真を撮っている間は作業に熱中してしまい、ついつい距離が近くなっていることがわかる。近づけば近づくほど、簡単に色が載ってくれるから(撮影中、カメラマンに「近すぎです」と指摘された)だ。もっとガンを離れた場所からスプレーするのが理想で、せっかちな性格だとすぐ近づきたくなってしまう。とはいえ、カウルの凹凸部や曲がった内側まで塗るには、どうしてもガンを近づけなければならないこともある。このような場合はガンを振るスピードを早めにして、一か所にまとめてスプレーしないように気をつけたい。

なんとか塗りあがった!
かなり気を遣ったつもりだが、数カ所で塗料が垂れてしまった。

1度目の失敗を糧に何とかヘッドライトカウルを塗装してみた結果が上写真。凹凸だらけの下地がないだけに塗装技術がそのまま反映されたわけだが、遠目に見れば悪くないと思えるレベルにはなってくれた。ただ近寄ると厚めにスプレーしてしまった場所で塗料が垂れていることがわかる。垂れた部分を観察するとわかりやすいのだが、塗料は垂れる直前くらいが一番いいとされていることを実感できる。垂れた周囲の発色は明らかに良く、垂れていないものの塗装が薄いと感じる部分だと発色がよろしくない。かといって狙って垂らしたわけではないので、垂れる直前の技術など当然、持ち合わせているわけもない。こればかりは経験を重ねるしかないのだろう。

クリア塗装まで進めてみる

シンナーを流してタンク内を洗浄したらガン内部まで洗浄する。
塗装をがっちりガードするため、クリア膜を施そう。

塗装の仕上がり具合を左右するのがクリア塗装だ。色をつけた面に上からスプレーすることで発色をさらに良くしてくれるだけでなく、塗装自体の強度を引き上げてくれる効果もある。初心者が注意すべきこととしては、クリア塗装に移る前にする前にエアガンの洗浄をしっかり行うことがある。先の電動ガンで大失敗となったカウル塗装を見ればわかるように、前回使用した塗料が少しでも内部に残っていると、塊のようになって吹き出ることがある。エアガンのタンクはもとより、ガン内部までシンナーで洗浄しよう。ガン内部はタンクにシンナーを入れ、スプレーする容量でシンナーを噴出させる。この作業を何度か繰り返して、ガンから出るシンナーが無色になったことを確かめよう。

塗装したカウルにクリアをスプレーする。
見事にツヤができた!
乾燥させると縮んでしまった。

クリアを塗装する場合も、色つけ塗装と同じ要領で進めたい。ガンから対象物は15センチから20センチほど離して、ノズルと引く間はガンを上下左右に振り続ける。一か所に集中してスプレーしないよう心がけるのだ。色つけと同じく、クリアも何度かスプレーして厚みを徐々に増やしていこう。当然のように厚ければ厚いほど発色・耐久性ともに向上する。以上を心がけてクリア塗装をした結果、なんとか満足できる仕上がりになってくれた。小躍りするように喜んでいたが、しばらく時間を置くとヌカ喜びだったと気が付く。塗装が乾燥してきたところ、クリア表面が縮んでシワのような状態になってしまったのだ。これは恐らく色つけ塗装が乾燥し切る前にクリアを塗装してしまったことが原因だろう。色つけとクリアで別の層を形成しているから、乾燥するスピードが異なり悪さをしてしまったと考えるのが妥当だ。ここでもう一つポイントを学んだ。塗料が十分に乾燥してから上塗りをすることが重要なのだ。さて、次はいつ作業できるか不明だが、これで自家塗装マイスターへ一歩近づけた、ような気がする。

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著者プロフィール

増田満 近影

増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…