CT125ハンターカブをマニュアルクラッチ化できるキット、その実力を試す! 【動画・モトチャンプTV】

カブシリーズ最大の特徴が自動遠心クラッチ。レバー操作が必要なく誰もが気軽に乗れる優れた機構だが、時にクラッチ操作をしたくなる場面もある。そこでSP武川から発売されているクラッチキットを装着するとどうなるのか、試してみた。

スーパーカブシリーズはクラッチレバーを操作しなくても変速が可能な自動遠心クラッチを備えている。配達時などで左手が使えるようにするため開発された優れた機構で、停車時にギアを入れてもエンストしないしスロットルを開けると即座にクラッチがつながり発進できる。カブ系最大の特徴でありロングツーリングでも左手が疲れないからラクに走り続けることができる。ただ、時にクラッチをマニュアルで操作したくなる場面だってある。走行中は絶えずクラッチがつながっていることで不利なこともあるからだ。

SP武川製ハイドロクラッチコンバージョンキットの価格は2万9700円(税込)

走行中にクラッチ操作ができたら、とカブ乗りなら誰でも1度は感じたことがあるだろう。そんな声にスペシャルパーツ武川が応えてくれた。ハイドロクラッチコンバージョンキットという製品を発売しているのだ。このキットはスーパーカブ110以降に採用された自動遠心クラッチに使えるもので、発進時に駆動する1次側ではなく変速時に駆動する2次側だけをマニュアル化するもの。どういうことかはホンダのWEBサイト(https://www.honda.co.jp/tech/motor/item-double-clutching/)で解説されているので参照してほしい。

2次側クラッチにキットの部品を組み込む。
ピストンを動かすことで2次側クラッチを操作する。

今回は実際にキットを組み付ける解説ではなく、キットの紹介とSP武川によるデモ車の試乗インプレッション。内容はユーチューブで動画を無料配信しているモトチャンプTVの中から「SP武川からCT125ハンターカブのマニュアルクラッチキットが登場!」という回をダイジェストにしたものだ。

キットに付属するレバー。

ハイドロクラッチコンバージョンキットにはマニュアル化するためのピストンやスプリングなどのほか、クラッチカバーガスケットや接続ホースとバンジョー、さらに油圧クラッチレバー一式が含まれている。価格は2万9700円(税込)とお買い得だが、組み込み作業はプロに依頼するのが無難。というのも組み付ける際、ピストンへオイルを入れてからエア抜きをしっかりしなければならない。これが素人には難しいので、経験豊富なプロに頼むのが無難というわけだ。

別売りの可倒式レバーにすると調整機能も使える。

ハイドロクラッチコンバージョンキットのクラッチレバーは調整機構のないシンプルなレバー。操作に問題があるわけではないが手が小さな人など、レバー位置を調整したいという人には別売りの調整式レバーを選ぶこともポイント。今回のデモ車にもアルミビレットレバーが装備されていた。レバーの位置を好みのポジションに調整できるとともに、可倒式なため転倒時にレバーを折ってしまうリスクを低減できる。さらに美しいルックスも特徴だ。

CT125と同系エンジン車なら流用可能だがC125はクラッチレバーをつける場所がないため要加工。
同じCT125でもエンジンの違いによりキットも異なる。

ハイドロクラッチコンバージョンキットはCT125ハンターカブと同じエンジンを積む別のカブシリーズやスーパーカブ110、クロスカブ110にも流用することができる。ただしCT125と同じエンジンだがC125スーパーカブはクラッチレバーを装着する場所がないため、加工する必要がある。また同じCT125でもマイナーチェンジしてロングストロークエンジンになる前と後ではコンバージョンキットの品番が異なるため注意が必要だ。自分のハンターカブがどちらなのか確認してから注文するようにしたい。

停車時にスロットルを煽ってもクラッチを握っていれば発進しない。

では実際にデモ車を走らせるとどうだろう。まず走り出すと1次側は純正のままなので停車時にギアを入れてもエンストしない。スロットルを開け始めるとクラッチが自動で繋がるのはノーマルと同じだが、クラッチレバーを握っていればクラッチが繋がらないので空ぶかしができる。さらに違うのは走行中にシフトチェンジする場合。ノーマルだとクラッチペダルを踏み込むと自動的にクラッチが切れるが、キット装着車は一般のマニュアル車と同じようにクラッチレバーを切ってシフトチェンジすることができる。つまり、クラッチを切りシフトチェンジしたら、次にクラッチがつながるタイミングを自分で操作できるということ。

走行中にクラッチ操作ができるのでフロントを持ち上げるのもカンタン。

今回は舗装路ではなくダートで試乗している。というのも、走行中にクラッチを使いたくなるような場面はオフロードに多いから。するとマニュアル化したクラッチの効果は抜群で、好きな時にクラッチを切る・つなげるから駆動力を任意に伝達できるようになる。ノーマルだと走行中、絶えず駆動力がかかっているので不便に感じる場面があるのだが、マニュアル化によりそんなストレスから解放してくれる。さらにレバー操作によりフロントを上げるような駆動の掛け方もできるようになる。シフトチェンジ時だけでなく、駆動の配分を自ら調整したいような乗り方には最適なのだ。もちろん半クラも使えるから、ギアはそのままで駆動力を加減したい時にも効果は絶大。カブ系カスタムで走りに効果的なアイテムの登場と言えるぞ。

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著者プロフィール

増田満 近影

増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…