ライブDioのエンジンをスワップしたモトコンポ。レッドモールRチャンバーも懐かしい

5ドアハッチバックタイプの乗用車と同時開発、車のラゲッジにぴったり収まる極小サイズの原付、モトコンポ。発売から40年以上経つが、人気は衰えることがない。今回はモトコンポを愛してやまないライダーたちの超絶カスタムを紹介するぞ。
PHOTO●奥隅圭之
ボディ長はフツーのモトコンポだけど、異様なオーラが……

変形プラモみたいな稀代の珍車

こちらがノーマルのモトコンポ。約40年前のモデルとは思えない、きれいな状態を保っている一台。今年春に埼玉県で開かれたモトコンポミーティングにて取材。オーナーは平野さん。

1981年に発売、近年人気がうなぎ上りの「折り畳み」原付、ホンダ・モトコンポ。小さなボディにきちんと走れる性能を詰め込んだ、盆栽的ガジェット感が魅力のモデルだ。今でも多くの個体が走行できる状態で現存しているが、40年の時を経て、カスタムのレベルも最高潮に達している。
販売状態を最高とする「オリジナル派」を別として、カスタムされたモトコンポをを俯瞰すると、大きく3つのカテゴリが見えてくる。

ひとつは「ボディサイズ至高派」。全長1.2mほどしかない小さなボディをなるべく維持しながら、如何に走行性能を上げるかに掛ける人々だ。
ふたつめは「パネルドレスアップ派」。ほとんどがパネルといってもいいくらいのモトコンポは、平面主体ということもあってパネル面をドレスアップしやすい。ボディをキャンバスに見立て、個性的な外観を実現しちゃう派だ。
みっつめは「狂気の猟犬化派」。モトコンポの外装一式を使っていればなんでも有りなカスタムで、下半身は完全に12インチロードスポーツ化しているモデルなどもある。

今回紹介する3台は、上記ひとつ目の「ボディサイズ至高派」のカスタムだ。スクーターの駆動系でベルトが入っており、スイングアームも兼ねるミッションケースまでぶった切ってサイズを切り詰める、その情熱をご覧いただきたい。

一見チャンバー入りのノーマル.……いやよく見るとエンジン変えてる?

一見マジでノーマル? と思わせるモトコンポ。実はモトコンポカスタムでは定番中の定番といえる、ホンダのソフトバイク、カレンのエンジンを搭載。……なのだが、実はカレンエンジンをそのまま載せると少しタイヤが後ろにはみでてしまうため、オーナーの茶魔さんのこだわりにより、「エンジン本体をカット」して、ノーマルと同等のホイールベースを確保している。この小ささに切ったはったで合わせるのが「ボディサイズ至高派」の腕の見せ所なのだ。

キックペダル後方の溶接跡が見えるだろうか。ミッションケースごとぶったぎる心意気がスゴイ。エアクリーナーも車体に合わせて下半分を加工。
ナッティーワークス製のモトコンポ専用チャンバーマフラーを装備。キャブはOKOのφ24を装備し大口径化。これもきっちり車体に収める。
車体左側。知らない人が見たら完全にノーマルに見える。タイヤはもはやコンポ界定番のズーク用足跡パターンタイヤだ。
こちらが1979年発売のホンダ・カレン。1速歯車オートマのモトコンポに対し、変速範囲が広いCVTを採用。しかも馬力はコンポより上。

ノーマルエンジンを極めてみたりも!

こちらも上と同じく、「ボディサイズ至高派」茶魔さんの作品。エンジンを「あえて」ノーマルとしながら、その非力さをどう補うかをテーマにしている。まずはチャンバーでパワーを稼ぐのだが、やはりノーマルエンジンの1速オートマは動力性能的に限界がある。そこで内部構造を変更し2速化。さらにブレーキ強化で「やっと“フツー”に走れます」(茶魔さん)とのこと。マニアックさにかけてはピカいちのカスタムだ。

エンジン外観はノーマルだが、元の1速オートマをホンダ・ロードパルSの2速ギヤを組み込み変速に幅を持たせた。さらに内部スプロケットをサブアーム製のハイギヤに変更。これでようやく?道路の流れに乗れるそう。
ウイリー製のディスクキットを使用しブレーキ性能を強化。チャンバーはサブアーム製。飛び出た消音器部分が目立たないようにキャリヤを後つけして車体長を長く見せている。

限界突破の魔改造……原2スクーターとバトル可能な?ミニミニファイター

中身がやばそうなオーラが出まくるこちらも、上記同様、茶魔さんの車両。エンジンはホンダの2ストハイパースクーター、ライブDioのエンジンをエンジンマウント加工など魔改造し搭載。さらにアンダーカウルやスポイラーなども装備したハイパーバトル仕様のミニギャングなのだ。

フレームはオリジナルで行きたいという強いこだわりの結果、エンジン側を魔改造する結果に。モトコンポに対し大きなエンジンをこの小ささに収めるため、キャブのマニホールドを自作しノーマルとまったく違う位置に移動。エアクリーナーもほぼ自作し車体内に収める。ちなみにキャブはPE24でビックキャブ化。ハイスピードプーリーも当然装着済み。
エンジンはKN企画製のボアアップキットで68cc化。レッドモール社製2本出しチャンバーのサイレンサー部を加工し短くして車体の小ささに対応する。クーリングファン上部に見える四角い金属箱はフロントブレーキマスター。ハンドルがたためるようにと、こんなところに移設しているのだ。
ナッティワークス製のアンダーカウル、T-ONE製リヤスポイラーでドレスアップ。フロントにはスマートDio Z4用のフォーク、ホイール、ブレーキを移植。ライブDioのものより少しフォーク長が短く、車体をコンパクトにできるため選択したんだとか。こだわりがすごい。
こちらがエンジンスワップ元のライブDio。アフターパーツが豊富でチューニングに困らない。もともと2.1PSのモトコンポが一気に7PS以上になっている……。(写真は1994 Dio ZX)

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