モリワキ創立15周年を記念して誕生
インパクト抜群のアルミフレームが目を惹くこのマシンは、その外装から見て分かるとおり、モリワキエンジニアリングが製作した1台。綺麗な車体からは想像できないが、じつは誕生したのは1988年である。
モリワキエンジニアリング創立15周年を記念して作られたのが、「ZERO-Z50M」と名付けられたモンキーR。しかし、フレームはモリワキオリジナルのアルミ製で、外装なども当然モリワキオリジナル。もはやベースとして残っているのはエンジンとホイール、灯火類くらいである。
……というか、このフレームの存在感があまりにも大きすぎるではないか! と思った読者も多いだろう。
実はこのフレームは、モリワキのオリジナルレーサーに採用されていた「Z-フレーム」をモンキー用として製作したもの。
当時、モリワキはCBR750やCBR400をベースにしてレースに参戦。その際に使用したフレームがこの「Z-フレーム」で、当時の常識を覆す低重心設計はレース業界に大きな衝撃を与えたという。
ZERO-Z50Mは、そんなモリワキレーサー「ZERO-Z」のミニチュア版として登場したのだ。
当然見どころはフレームだけでなく、アルミスイングアームやアンダーブレケット式リヤショック、カーボンサイレンサーにFRP製外装など多岐に及ぶ。
その詳細を見ていこう。
真っ赤なスワローハンドルがいかにも「カスタムマシン!」といった印象だが、実はこれはモンキーRの純正ハンドル。スピードメーターも含めて、コクピット周りはモンキーRのままである。
対して、燃料タンクはフレームに合わせたモリワキオリジナル。同社のロゴや、ブルーとイエローのイメージカラーが勇ましい。
存在感あふれるZ-フレーム。モンキー用に新開発され、50台限定で生産されたとのこと。
当時の価格は49万8000円で、奇しくもこの数年前に発売されたスーパーモンキー「NMR」と同価格である。
シートカウルやサイドカウルなどは一体化され、美しい車体デザインを作り出している。
カウルから突き出たカーボンサイレンサーによって、リヤビューは非常にインパクトの強いものになっている。
また、灯火類とナンバーベースがあることから分かる通り、ZERO-Z50Mは公道走行可能なのだが、これは「ホンダ・モンキーR」としてではない。ZERO-Z50Mは国から認可を受けた市販車として、モリワキエンジニアリングから発売されたのだ。
フロントホイールはモンキーR純正の合わせホイールを採用。ディスクブレーキも純正のままとなっている。ちなみにこのキャリパーはリードSSと同系で、効きは必要にして十分なもの。
対して、リヤブレーキはドラムからディスクへ変更。ブレンボ製キャリパーはフロントに対して効きすぎるくらいとの評判があったとか……。
リヤショックはモノショックから2本サスへ変更。スイングアーム下部に溶接したブラケットにマウントすることで、十分なストローク量を確保している。
フレームはもちろんモンキー専用だが、その作りやクオリティは750や400のレーサーと同じ。
またフレーム中央部には「MORIWAKI ENGINEERING」のロゴマークが刻印され、オーナーの所有欲を十分に満足させてくれる。
35年という時を一切感じさせない完成度と新鮮さ! これぞ究極のカスタムマシン……いや、市販車である。