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無理やり回すと「ボルトの折れ」や「ねじ山の破損」の可能性大
ボルトやネジが緩まない場合
ネジロックが塗布された部分(エンジン内のパーツ等々)。また長年屋外に放置されるなど保管状況の悪い車両や、年式の古いモデル等の場合、ボルトやネジが錆びて固着してしまい、一般工具だけでは緩まないことが多い。特にバイクをレストアする時は、古いボルトやネジの除去が大きな壁となる。
固着したボルトやネジを緩める時は、まず固定されたボルトやネジに、CRCなど市販の潤滑油をたっぷりと吹き付け、しばらく放置。錆びや固着が酷い場合は、数時間置きに吹き付け、焦らずに時間をかけてじっくりと浸透させること。
潤滑油がしっかりと浸透した後、ボルト・ネジ・ナットを緩める時は、一気に回すのではなく、少しずつトルク(力)をかけて徐々に回転させるのがコツ。一度にトルクをかけすぎると、いとも簡単にナメてしまう(ボルトやナットの角が工具で削られて丸くなる。ドライバーでねじ山が潰れる等)恐れがあるからだ。
なおプラスネジやマイナスネジの場合は、下記のショックドライバー(インパクトドライバー)を使用するのが定番(ハンマーで後端部を叩くと、ドライバーの先端が少しずつ緩むしくみ)。ネジ山が少しなめた程度であれば、ショックを与えることで緩めることができる。
上記でも緩まない場合は、「ロッキングプライヤー(通常のプライヤーとは異なり、噛み具合の調整が可能)」という万能ツールを使ってボルトやネジの頭をしっかりと掴み、力を込めて緩める。それでダメな場合は、
・ガスバーナーで緩まないボルトやネジを真っ赤になるまで焼き、頭部の側面をポンチでガンガン打つ。これは温度変化に伴う、金属の膨張率変化を利用したもの。ただし引火しやすい箇所、熱伝導で“焼き”が入ってはダメな箇所では作業不可。この手法は周辺箇所の破損を招く恐れがあるので注意が必要
・電動ドリル、フライス盤、リューター、サンダー等の特殊ツールを駆使し、ボルトやネジを切削・除去。もしくは回転させる。プロによる作業が前提
等の処置が必要となる。
ボルトやネジが締まらない場合
ボルトが締まりづらいのは、
・ボルトが真っ直ぐ入っていない
・ネジ山にゴミが噛んでいる
・オスネジorメスネジの山が破損
・オスネジとメスネジ、両者のサイズまたは規格(※1)が異なる
などが考えられる。
※1:ボルトやネジには規格の異なる「inch(インチ)ネジ」と「ミリ(mm)ネジ」がある。一般的に「inch(インチ)ネジ」は海外製品、「ミリ(mm)ネジ」は国内製品に多用されている。
もしもボルトやネジが締まらない場合。絶対に無理に回さず、一度完全にボルトを抜き取った後、まずはオスネジとメスネジの「サイズと規格」が一致しているかを確認(これが基本中の基本)。確認後、ボルトやネジを真っ直ぐに経て(斜めに入っていないかどうかを確認)、指でスムーズに締まるかをチェック。締りづらい時は、ボルトやネジを抜き取り、
1:オス&メス双方のネジ山をパーツクリーナーやエアーでキレイになるまで吹く
2:オス&メス双方のネジ山が破損していないかを目視で確認
1と2が正常なのにスムーズに回らない場合は、ボルトやネジを新品に交換してみる。
もしもネジ山が破損してしまったら?
ボルトやネジを新品に交換しても締まらない時は、
A:オスネジとメスネジの「サイズと規格」が異なる
B:メス側のネジ山が破損している
Bの場合、一部が欠損する等の軽度ならば、新品のボルトやネジを差し込み、締めて・緩めて・締めて……という工程を慎重に繰り返すことで、ネジ山が整って復活する可能性あり。また理想的なのは「タップ」というネジ切り用の特殊工具を使い、メス側のネジの切り直す(タップを立てるという)。
もしもボルトやネジが折れてしまったら?
ボルトやネジは「絶対に折らないこと」が重要。折れたボルトやネジを抜き取る作業は、状況によっては非常に厄介な作業となるためだ。
もしもボルトやネジを折ってしまったら? ボルトやネジの先端が“運よく”露出している場合は、「ロッキングプライヤー(通常のプライヤーとは異なり、噛み具合の調整が可能)」という万能ツールを用い、残った先端つかんで回す。
“運悪く”根元から折れている時は、下記の特殊ツールを使用。
通称「逆タップ」を使用する
折れたボルトの中心にドリルで穴を開け、そこにテーパー形状&らせん状になったエキストラクターという工具を挿入。挿入したエキストラクターを緩む方向に回していくと、エキストラクターが折れたボルトに食い込み、ボルトが緩んでいくというしくみ。
折れたボルトの真ん中に穴を開ける必要があるため、電動ドリルやボール盤などのツールが必要。
専用ナットでエキストラクターのよじれを防止
こちらも“逆タップ”と呼ばれる特殊ツール。穴開け専用ナットで固定し、折れたボルトの中心部にドリルで穴開け。次にエキストラクターを適度な位置まで打ち込み。エキストラクター専用ナットをエキストラクターの根本にセットし、レンチ等で回していく。
上記「正回転用エキストラクターセット(各サイズ5本入り)」に比べ、エキストラクターがよじれて折れる心配が少なく、ボルトやネジの抜き取りの確実性が高い。
上記の特殊工具でもダメだった場合は、最終手段として折れた箇所にドリル等で穴を開け、メス側のネジの切り直しが必要。こうなると素人にはほぼ無理な作業となるので、バイクショップやカスタムショップに依頼しよう。