GASGAS・EC250試乗記|フレーム一新など大幅仕様変更で戦闘力が大向上!|エンデューロモデル

次世代のエンデューロモデルとしてデビューした24年モデル。ますます盛んなエンデューロレースでは間違いなく活躍するに違いない。乗り味はよりダイレクトであり、ライダーのコントロールに瞬時に反応する。乗りこなすのは高いレベルが必要だが、サンデーライダーのファンライドでも楽しく走れるのも素晴らしい!
カッ飛ぶも良し、トコトコ走るも良し、どんな走りにも答えてくれるマシンだ。

GASGAS・EC250……1,285,000円(消費税10%込み)

GASGAS・EC250
GASGAS・EC250
GASGAS・EC250

2024年モデルでの変更点は多岐に渡る。まずフレームがフルモデルチェンジした。そしてサブフレームはアルミ化され、軽量化と車体のバランスに関与しエルゴノミクスとハンドリングが向上している。
スイングアームはアルミダイキャスト製とし、これも軽量化と路面追従性の向上になっている。
ライダーのトライアングルをリファイン。つまりポジションが変更になっていてグリップ性能の向上に繋がっている。
フロントフォークはWP製のオープンカートリッジタイプで、衝撃吸収性とハンドリングの向上。リヤショックもWP製で短くなり軽量化を果たし、新ピストンの採用で乗り心地の向上にもなっている。
鍛造のトリプルクランプは、やや柔軟性を持たせて快適性を向上させている。
ブレーキテック製のシステムは、ガスガス独自のディスクプレートとキャリパーを装備し、コントロール性を高めた。
ハンドルバーはNekenの高強度アルミ製で、ガスガス独自のバーベント採用で優れた耐久性と快適性を持ち、大型のバーパッドによって安全性も向上している。
フレーム一新によってステップの取り付け位置が狭められ、その分大型のステップを採用して様々なコンディションにおいても最適な位置へ足を置けるようになった。
この4ストロークモデルでは、トラクションコントロール、クイックシフター、2種類のマッピングセレクトスイッチをオプションながら用意されている。

遊ぶ気にさせるというのは非常に大切。フロントアップもウイリーも自由自在(もちライダーによる)。

ほぼほぼフルモデルチェンジと言える内容となった2024年モデルのEC250Fであるのだ。フレームが一新されているので、その乗り味や走破性、コントロール性などがどう変わったのか非常に興味がある。
さてハードエンデューロではモトクロスコースの様なハイスピードから、トライアルセクションの様な岩場まで様々なシュチュエーションを走らなくてはならない。どれかに特化させたのでは走破はできても勝てないだろう。速度も必要だから。
そうした中で、走破性とスピードを両立させるのはかなり難しいと思うが、このEC250Fはどうなのか興味は尽きない。
操作系はどれも軽くて扱いやすい。クラッチは切れ良く繋がりの感じも掴みやすく、グリップの悪い路面で半クラッチの感覚が分かりやすいのでグリップさせやすく感じた。


エンジンは以前のモデルと変わらずパワフルでありながら、グリップも良くそれでいて高回転の伸びもあって素晴らしい。レスポンスがアクセルと直結しているので、場合によってはソフトな操作も必要でもある。そうラフなアクセルの開け閉めでは車体の挙動にもろに影響が出ることもあるので、そこは意識しておいたほうがいいだろう。
フレームが一新されているからか、後で述べるがサスペンションのセッティングからか全体としては硬い印象もある。これは乗りづらいとかシビアとか悪いと言うことではなく、ライダーの操作にダイレクトに反応しているから。つまり、レベルの高いライダーにはより走破性が上がっている事だと思われる。正直筆者のレベルではセッティング変更してもう少しサスは柔らかい方向へ、エンジンも穏やかな方向にした方が走りやすいかもしれない。
そのサスペンションは、試乗したままのセッティングでは良く動いているものの、ハンドルへダイレクトに路面の状況が伝わるので疲れが早かった。あくまでも筆者レベルではですが。


モトクロスコースを全開で走るような速度では、非常に安定していて安心感もあった。今回のエンデューロコースは結構荒れていたので速度域は低いこともあり、ゴツゴツ感があった。しかしそれによって振られるとかグリップを失うとかは無かったので、ライダーさえしっかり押さえていればグイグイ前に進んでくれた。
こぶし大の岩だらけのガレ場では、直進性が乱れる事なく進む。ただアクセル操作が洗いと岩を吹っ飛ばしてしまい、スムーズに進んでくれない事もあった。慣れの問題もあると思うけど、1段高いギアを選択すればグリップは増して良い感じになる。
ブレーキはガスガス独自のプレートなどを採用しているが、大きな差は感じなかったのが正直なところ。勿論効きやコントロール性は抜群なので、スムーズな減速も、パキッとその場に止まるような効かせ方も可能だった。指や足にディスクをパッドが締め付けている感じが良く伝わって来ると言えば分かってもらえるか。
短い試乗時間では全てを理解するのは難しいものの、そのポテンシャルの高さはすぐに分かる。サスのセッティングなどを自分好みにすれば、必死に走るのではなく自分なりのペースで遊ぶファンライドが最高に楽しいに違いない。

シビアな部分もあるけど、全体として乗りやすくそして非常に高いポテンシャルを持つ。

ディテール解説

パワフルで軽量となった新エンジン。始動はセルオンリーで一発で確実にかかる。搭載位置も新フレームとなってマスの集中化が図られている。

WP製XPLORフロントフォーク(オープンカートリッジ)は、動きはスムーズでセッティングの幅は広い。ファンライドでは少し柔らかめにした方が楽しめると思われる。
WP製XACTリヤショックは、リンク付きでホイールトラベルは300mmを確保。軽量化と新しいピストン採用で路面追従性は向上している。
メーターは液晶のコンパクトな物。速度やトリップ、時計など必要な表示がされる。ちなみにヘッドライトはLEDとなり非常に明るい。
大きなGASGASの文字、鮮やかなレッドのカラーリングは一目でガスガスと分かり非常にカッコイイではないか。
アルミダイキャスト性のスイングアームは、剛性は十分としながら軽量化と適度なフレックス性も併せ持つ。

足つき性

足つき性は良いとは言えないものの、172cmの筆者でも両足半分は接地するので押さえは十分効く。車重は軽い(109.5kg半乾燥)ので、余程足のつきにくい場所でない限り支えも問題なし。
写真では分からないが、ステップはフレームにより近い箇所へ取り付け部が移動したし、コントロールし易い位置での高めにあるのでポジション的にも攻撃的と言える。
足元のアップだとこんな感じ。実際の走行時はもっとサスが動いて縮んでいるので、大きな心配は要らないと思われる。

主要諸元

●ENGINE
TRANSMISSION6-speed
BATTERY CAPACITY2 Ah
COOLINGLiquid cooled
STARTERElectric starter
STROKE72 mm
BORE66.4 mm
CLUTCHDDS wet multi-disc clutch, Braktec hydraulics
DISPLACEMENT249 cm³
EMSVitesco Technologies EMS
DESIGN1-cylinder, 2-stroke engine

●CHASSIS
WEIGHT (WITHOUT FUEL)107.6 kg
TANK CAPACITY (APPROX.)9.0 l
FRONT BRAKE DISC DIAMETER260 mm
REAR BRAKE DISC DIAMETER220 mm
FRONT BRAKEDisc brake
REAR BRAKEDisc brake
CHAIN520 X-Ring
FRAME DESIGNCentral double-cradle-type 25CrMo4 steel
FRONT SUSPENSIONWP XPLOR-USD, Ø 48 mm
GROUND CLEARANCE354 mm
REAR SUSPENSIONWP XACT Monoshock with linkage
SEAT HEIGHT956 mm
STEERING HEAD ANGLE63.9 °
SUSPENSION TRAVEL (FRONT)300 mm
SUSPENSION TRAVEL (REAR)300 mm


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著者プロフィール

村岡 力 近影

村岡 力

1956年生。

70年代スタントマンから雑誌業界へ入り、ずっとフリーランスのライター&カメラマン。2輪…