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今年から新たなスタートを切る「Japan Mobility Show 2023」は、楽しくワクワクする未来創造イベントとして、多方面に渡る様々なモビリティ産業の多くと協調し、400社以上が参画する。“未来の東京へ走り出そう!”というメッセージを掲げ、“もういちど、日本にドキドキするために”数々の新企画が投入され、生活の中でモビリティがどの様になっていくかを知る体験型コンテンツを用意。その他お笑いや音楽ライブまでまさに盛り沢山。基本テーマを分かりやすく言うと、生活感ある東京の姿に、ワクワクする未来を再発見してもらおうと言うものだ。
そんな中、東京ビッグサイトの東5ホールにブースを構えるスズキが、早くも出展概要を発表した。出展テーマは「世界中に、ワクワクの、アンサーを。」とし、同ブランドの四輪、二輪車を始め、電動小型モビリティや船外機、その他最新の技術展示等が下記表の通り予定されている。
今回は、世界初公開される二輪車に的を絞り、参考出品されるEVコンセプトの2モデル(e-PO / e choinori)と、技術展示される試験車両(水素エンジンバーグマンHYDROGEN)についてご紹介します。
e-PO(イーポ)折り畳める電動モペッド〈参考出品〉
前に18、後ろに20インチサイズのホイールを履くミニサイクル。一見自転車、それも折り畳み可能な機能を持ち、クルマのトランクルームにも簡単に搭載できそうなところが魅力的。良く見るとシートピラー背後に電チャリ(電動アシスト自転車)で見慣れたバッテリーパックが搭載されている。しかしe-POは「電動モペッド」としての提案。パナソニック サイクルテック株式会社と共同で開発されている。
電動ユニットやリチウムイオンバッテリーは基本的に電動アシスト自転車のそれが流用されているが、制御系を専用設計し直すことで、強力なアシスト力を発揮するだけでなく、ペダルを漕がずに走行することも可能。モード設定により、フル電動走行、アシスト走行、ペダル走行の3モードが選べるようになっていると言う。原付一種相当の電動バイクで、ウインカー、ストップランプやバックミラーを標準装備、ナンバープレート装着対応も施されている。
ご覧の様に折り畳み可能。収納場所を取らず、車への搭載も楽。
べダル付きだが原付一種相当のEVバイクだ。
e-choinori(イーチョイノリ)気軽なEVスクーター〈参考出品〉
チョイノリといえば、当時最も廉価な二輪車として2003年にデビューした50ccスクーターだった。愛嬌のあるスタイリングとコンパクト軽量な乗り物として親しまれたと記憶している。今回のe-choinoriは前述のe-POと同様に、電動アシスト自転車用のリチウムイオンバッテリーと駆動ユニットを使用して軽量ボディを走らせる。小さな車体を活用した気軽な近距離移動用モビリティとしているのが特徴。性能的な詳細は一切不明だが、制御系を変え、足踏みペダルを廃して原付一種相当の完全EVとしている。後続距離や走行性能は欲張らず、気楽に乗れる簡便で扱いやすいスクーターに仕上げられていると思われる。もし商品化されるのであれば、価格的にも親しみやすい設定が期待できるのではないだろうか。
既存のカセット式リチウムイオンバッテリーが脱着できる。
水素エンジンで動くバーグマン HYDROGEN〈試験車両技術展示〉
スズキが水素エンジンの研究開発(HySE・ハイス)に参画している話題は既報の通りだが、具体的な形のひとつが、今回のスズキブースで世界初公開される。カーボンニュートラル対策のひとつとして進められている、実際に走行可能な実験車両がこれ。ベース車両はご覧の通り、ミドルサイズスクーターのバーグマン400 ABS。すぐに感じられる違和感は後輪の位置がかなり後方にあること。ユニットスイングの取り付けを後退させてリアアクスルの位置は200mm移動したそう。つまりホイールベースは1780mmという超ロングタイプになっているわけだ。
下のイラストにある赤いタンクは別の実験車両(フューエルセル:燃料電池式EV)に搭載していたものと同一の70MPa水素タンクを搭載。これとの干渉を避けるためにユニットスイング毎、マウントが後方に移動されたわけだが、直進安定性や楽しい操縦性にも寄与していると言う。エンジンは基本的に同じだが、水素専用の燃料噴射と点火制御も独自のもに換装されているそう。どのような出力特性が発揮されるのか、楽しみな存在なのである。
続く第二弾レポートは、斬新かつユニークな電動小型モビリティについてお届けします。