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YZF-R125ってどんなバイク?
ヤマハが、2023年10月16日に発売したのがYZF-R125だ。
ヤマハのスーパースポーツ「YZF-R」シリーズのDNAを受け継ぐこのモデルは、フラッグシップの1000ccマシン「YZF-R1」で培った技術を投入。シリーズ共通のアグレッシブなスタイルに124ccの新開発エンジンを搭載することで、バイク免許を取得したばかりの初心者ライダーなどでも、スポーティな走りが楽しめることが魅力だ。
搭載する124cc・水冷SOHC4バルブ単気筒エンジンは、最高出力11kW(15PS)を発揮。低速向けと中高速向けのカム(吸気側)が7400rpmで切り替わる「VVA(可変バルブ)」機構を装備することで、全域で優れたトルク特性を発揮し、良好な加速性能や加速感を体感できる。
車体には、軽さと強度剛性のバランスを図ったヤマハ独自のデルタボックス型フレームを採用。左右ピボットの軸間を209mmとワイドにし、強化部材を織り込むことで、優れた走行性を支えている。
また、高い高速安定性を実現するフロントカウル、MotoGPマシン「YZR-M1」スタイルのバブルスクリーンなどにより、走行時の快適性を実現すると共に、レーシーなスタイルも演出している。
さらに、クラッチの操作感を軽くし、急激なシフトダウン時に後輪のホッピングなどを防ぐ「アシスト&スリッパークラッチ」も装備。滑りやすい路面でも安定した走りをもたらす「トラクションコントロールシステム」といった電子制御システムも採用するほか、オプションには「クイックシフター」も用意する。クラッチレバーやアクセル操作なしでシフトアップが可能なこのシステムにより、スポーティな走りはもちろん、長距離ツーリング時などにおける疲労軽減などにも貢献する。
ほかにも、強度剛性バランスに長けたインナーチューブ径37mmの倒立式フロントサスペンション、軽量化とマス集中に貢献する軽量アルミ製リアアームなどにより、軽快な走りを実現する。
また、伏せ気味なポジションとなるセパレートハンドル、肉抜き加工したトップブリッジなど、レーシングマシンをイメージさせる装備も魅力。さまざまな情報が一目で分かるマルチファンクションLCDメーターなど、高機能な装備も満載だ。
GSX-R125ってどんなバイク?
一方、スズキのGSX-R125。スズキのスーパースポーツ「GSX-R」シリーズの125cc版として、2018年に登場したのがこのモデルだ。
高性能な走りに定評があるGSX-Rシリーズの技術を投入することで、原付二種ながら、従来モデルにないスポーティなスタイルや走行性能を実現。近年、バイク免許の取得数が増加している初心者や若年層などにも、街乗りからワインディングまで、幅広いシーンで走りを楽しめるマシンとして開発された。
搭載するエンジンは、124cc・水冷DOHC4バルブ単気筒で、GSX-Rシリーズの解析技術を用いた燃焼室の最適化や、吸気効率の向上、燃料噴射の最適化などを実施。これらにより、YZF-R125と同じ最高出力11kW(15PS)を発揮し、WMTCモード値45.8km/L という高い燃費性能も両立する。
外装関連では、スリムでスポーティなフルカウルのスタイリングを採用。ハンドル位置を低くし、ヘッドライトを前方にレイアウトしたシャープなフロントカウル、GSX-Rシリーズ共通イメージの縦型2灯LEDヘッドライトなどを採用することで、フロントフェイスに精悍なイメージを演出する。
足まわりでは、前後輪に10本スポークの17インチ大径アルミ製キャストホイールや、花弁形状のペタルタイプ・ブレーキディスクを装備し、スポーティなフォルムや走りを実現する。
標準装備のABSは、前・後輪に取り付けられたホイールスピードセンサーにより各車輪速度を検知する機構を採用。ブレーキの効きを自動的にコントロールすることで、車輪のロックを一定範囲内で防ぐ効果を発揮する。
また、メーターには、黒の背景色とすることで、明るい日中などでも優れた視認性を実現するフル液晶ディスプレイを採用。バー表示のタコメーターとデジタルスピードメーター、オドメーター、どのギヤに入っているかひと目でわかるギヤポジションインジケーターなど、多様な表示を見やすく配列している。
ほかにも、ワンプッシュで始動可能な「スズキイージースタートシステム」も装備。冬場など、エンジンが始動しにくい状況下でも、スタータースイッチを軽く押すだけで、簡単にエンジンを掛けることができる。
また、鍵穴へのいたずらや盗難を抑止する「シャッター付きキーシリンダー」は、メインキーに付属する専用マグネットを使用しワンプッシュでシャッターを開けることが可能。手袋を着用したままでも操作できるなど、ユーザーの利便性を考慮した装備も注目点だ。
車体サイズや足着き性を比較
以上が両モデルの概要だが、主にどういった点が異なり、それぞれどのような特徴があるのかを比較してみよう。まずは、車体サイズだ。
●YZF-R125
・全長2030mm×全幅725mm×全高1135mm、ホイールベース1325mm
・シート高815mm
・車両重量141kg
●GSX-R125
・全長2000mm×全幅700mm×全高1070mm、ホイールベース1300mm
・シート高785mm
・車両重量137kg
GSX-R125の方が、全体的にややコンパクトなのが分かる。シート高も30mm低いことで、足着き性もより良さそうだ。また、車両重量もGSX-R125の方が4kgほど軽い。
ただし、これら程度の差であれば、狭い路地や駐車場などでの取り回しなどは、ほぼ互角だといえるだろう。どちらも、バイク免許を取ったばかりの初心者でも扱いやすい車体を持つといえる。
エンジンパワーや装備の比較
次に、エンジンの性能。スペックの比較は以下の通りだ。
●YZF-R15
・エンジン形式:124cc・水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒
・最高出力:11kW(15PS)/10000rpm
・最大トルク:12N・m(1.2kgf・m)/8000rpm
・ミッション:6速
・燃料タンク容量:11L
・燃費:WMTCモード値49.4km/L
●GSX-R125
・エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒
・最高出力:11kW(15PS)/10500rpm
・最大トルク:11N・m(1.1kgf・m)/8500rpm
・ミッション:6速
・燃料タンク容量:11L
・燃費:WMTCモード値43.5km/L
最高出力はほぼ互角。トルクはややYZF-R125の方が上だが、実際に乗ってもさほど差は感じない程度の違いだろう。なお、両モデルともに6速ミッションを搭載しているため、どちらも変速操作を行いながら走るスポーツライディングを楽しむことができる。
燃費については、YZF-R125の方がややいいようだ。燃料タンク容量は両モデル共に11Lなので、カタログ上の数値で見れば、1回の満タンで可能な航続距離は
YZF-R125が543.4km
GSX-R125が478.5km
と、YZF-R125の方がより長い距離を走れそうだ。
ほかにも、YZF-R125では、前述のようにトラクションコントロール、アシスト&スリッパークラッチ、クイックシフター(オプション)など最新装備も用意。走行時の安定性や安心感がより高く、長距離走行でも疲労度はより少ないことが予想できる。
足まわりでは、タイヤサイズが
YZF-R125は前100/80-17、後140/70-17
GSX-R125は前90/80-17、後130/70-17
となっている。前後タイヤともに、YZF-R125の方が太く、見た目のレーシーさだけでなく、グリップ性能も高そうなイメージだ。
また、フロントフォークも、YZF-R125は倒立タイプ、GSX-R125は正立タイプを採用。この点でも、よりスポーティな装備を持つのはYZF-R125の方だといえる。
なお、両モデルのカラーバリエーションは、以下の通りだ。
●YZF-R125
「ディープパープリッシュブルーメタリックC(ブルー)」
「ブラックメタリック12(ブラック)」
「ダークブルーイッシュグレーメタリック9(ダークグレー)」
●GSX-R125
「トリトンブルーメタリック」
「ストロンガーレッド/タイタンブラック」
「タイタンブラック」
いずれも全3色を設定している。
価格で選ぶならGSX-R125、装備の充実度はYZF-R125
価格(税込)は、YZF-R125の51万7000円に対し、GSX-R125は45万3200円と6万3800円安くなっている。
特に、両モデルのメインターゲットである若いライダー層には、バイクの購入費用が少ないユーザーも多いため、リーズナブルなGSX-R125の価格は魅力的だろう。6万円以上安ければ、その分を、ヘルメットやウェアなど、周辺アイテムの購入費に充てられる。
ただし、これまで紹介した通り、YZF-R125の方が、より後発である分、トラクションコントロールなど、今ドキの最新装備が多いことは確かだ。この価格差で、より充実した装備のYZF-R125を選ぶか、かなりリーズナブルなGSX-R125の方を選ぶかは、ユーザーにとって迷いどころであるのは間違いないだろう。
実際に選ぶ際は、ショップなどに試乗車があれば、できれば両モデルを乗り比べてみた方がいい。それぞれ乗ってみれば、カタログ数値などでは分からなかった点も分かるからだ。そのうえで、自分の使い方やスタイル、予算などに対し、どちらがよりマッチしているのかを考慮し、購入を決めることをオススメしたい。