原付と自転車に早変わりする電動モペット(ペダル付き電動バイク)。実際のメリットを考えてみる。

原付と自転車に早変わりする電動モペット
原付バイクと自転車との切り替えができる電動モペットのメリットなどを紹介(写真はグラフィット・GFR-02)
近年、街中などでの手軽な移動手段として人気が高まっているのが、ペダル付き電動バイク、いわゆる電動モペットだ。アクセルを回せば原付バイクと同じようにペダルを漕がなくても走行可能。一方、ペダルを漕げば自転車のようにも走れることで、電動バイクの問題点といえる長い航続距離も実現する。

ただし、ほとんどのモデルが、道路交通法などの法的には原付バイク(原動機付自転車)と同じ車両区分となるため、従来は、ペダルを漕ぐ場合にも、運転免許の携帯やヘルメット着用などが必須だった。ところが、2021年からは、一定の要件を満たしたモデルであれば、原付バイクから自転車へ、逆に自転車から原付バイクといったクラスチェンジができるようになった。

そんな1台2役の電動モペットだが、どんなメリットがあり、原付バイクと自転車との切り替えはどのように行うのだろうか? また、こうしたモデルの場合、どのような装備やナンバープレートが必要なのだろうか? 対応モデルであるグラフィット(glafit)の「GFR-02」を、「アソモビ2023 in Makuhari(2023年8月5日〜6日・幕張メッセ)」というイベントで取材してみた。

REPORT●平塚直樹
PHOTO●平塚直樹、グラフィット

GFR-02とはどんなモデル?

GFR-02は、和歌山県を拠点とするスタートアップ企業のグラフィットが開発した、原付一種と同じ車両区分の電動モペットだ。

原付と自転車に早変わりする電動モペット
グラフィット・GFR-02

ボディサイズは全長1280mm×全幅535mm×全高1040mmで、ホイールベース900mm。とてもコンパクトな車体なうえに、車両重量は19.4kg(バッテリー装着時)とかなり軽量。しかも、折りたためば全長700mm×全幅500mm×全高600mmとさらに車体を小さくできることで、自宅の玄関などに置くことも可能。また、クルマのトランクに積めば、アウトドアなど出先での移動手段にも使える。

電動バイクとして走行するための電動モーターは出力0.25kWで、後輪内蔵タイプのインホイールモーターを採用。また、36V/9.6Ahのリチウムイオンバッテリーを搭載し、電動走行距離は約34kmを実現する(走行条件により異なる)。

原付と自転車に早変わりする電動モペット
後輪内にインホイールモーターを搭載

バッテリーは、取り外して自宅内にある家庭用コンセントで充電ができ、充電時間は約2〜3時間。足まわりには、前後14インチタイヤを装着し、ディスクブレーキも前後に採用することで、安定した制動力も発揮する。

さらに、3つの走行モードも用意。モーターの動力で走る場合は「MID」「HIGH」を選択、モーターの動力を使わずにペダルを漕いで走る場合は「ECO」を選択する仕組みとなっている。

原付と自転車に早変わりする電動モペット
右ハンドルにはスイッチ類や液晶メーター、スロットルなどを装備
原付と自転車に早変わりする電動モペット
車体はコンパクトに折りたためるほか、バッテリーは家庭用コンセントで充電可能

独自のモビチェン機構がクラスチェンジを可能に

GFR-02は、2020年より販売していたが、当初は、原付一種扱いのみ。ナンバープレートも白地の原付一種バイクと同じナンバーを付けていた。それは、現在も、原付バイクとしてモーター走行する場合は同じで、最高速度30km/hや2段階右折といった50ccバイクが守るべきルールが適用される。

原付と自転車に早変わりする電動モペット
GFR-02には原付バイクと同じナンバープレートが付く

GFR-02が、原付バイクと自転車の切り替えができるようになったのは、2021年7月からだ。これは、同社が開発した「モビリティ・カテゴリー・チェンジャー(以下、モビチェン)」という機構について、実証実験などを経た後に、当局が認可を出したことで可能となった。2021年7月1日に警察庁が公表した「車両区分を変化させることができるモビリティついて」という通達が後ろ盾となっている。

このモビチェンという機構は、簡単にいえば、ナンバープレートにカバーをセットし、番号などを見えなくすことで、原付バイクから自転車にクラスチェンジできるというものだ。ただし、どんな電動モペットでも、ナンバープレートを隠せばいいわけではなく、一定の要件を満たしている必要がある。

原付と自転車に早変わりする電動モペット
モビチェン機構が認可される以前と以後での違い(出展:グラフィット 2021年7月2日付けプレスリリースより)

モビチェンの操作は、以下の通りだ。

【電動バイク(原付)から自転車への切替え】
1、バイク本体の電源を切る

2、モビチェンの左ボタンを押しながら右のボタンを押し、カバーを引き上げる
→自転車として走行可能

原付と自転車に早変わりする電動モペット
バイク本体の電源をオフにする
原付と自転車に早変わりする電動モペット
モビチェンの左ボタンを押しながら右のボタンを押す
原付と自転車に早変わりする電動モペット
モビチェンのカバーを引き上げる
原付と自転車に早変わりする電動モペット
カバーがロックされナンバープレートが見えなくなれば、自転車モードとなる

【自転車から電動バイク(原付)への切替え】
1、モビチェンの左ボタンを押しながら右ボタンを押すと自動でカバーが下がり電源が入る

2、ECOモード(ペダル走行)からMIDモードもしくはHIGHモードに切り替える
→電動バイク(原付)として走行可能

原付と自転車に早変わりする電動モペット
自転車から電動バイク(原付)へ切替える場合、モビチェンの左ボタンを押しながら右ボタンを押す
原付と自転車に早変わりする電動モペット
自動でカバーが下がり、バイク本体の電源が入る。走行モードをMIDもしくはHIGHに切り替えれば完了

ポイントは、電動バイクから自転車へ切替える場合に、バイク本体の電源を切り、モーター走行ができない仕様にすることだ。また、車両区分の切り替えは、電動バイクから自転車へ、自転車から電動バイクへする場合の両方で、完全に停止した状態で行う必要がある。

ちなみに、グラフィットでは、GFR-02のモビチェン付きと、モビチェンのない通常仕様を販売しており、価格(税込)はモビチェン付きモデル30万8000円、通常モデル27万5000円だ。

原付と自転車に早変わりする電動モペット
GFR-02のカラーバリエーションは全4色

電動バイクから自転車に早変わりできるメリットは? 

以上が、GFR-02が採用するモビチェン機構の概要だ。こうした切り替えができるメリットは、まず、原付バイクのモードでは、高い機動力を発揮し移動がとても楽なこと。急な坂道などでも、スイスイと走ることができる。

原付と自転車に早変わりする電動モペット
GFR-02の走り

一方、自転車にクラスチェンジすれば、車道だけでなく、自転車道や自転車専用通行帯、路側帯なども走行が可能だ。また、歩道も、自転車が走行できる場所であれば、歩行者の通行を妨げない範囲で走ることができる。

さらに、通勤・通学や買い物などの日常使いをする場合に便利なのが、自転車専用の駐輪場にも駐車できることだ。最近は、バイク用の駐輪場も増えてきてはいるが、まだまだ自転車用と比べれば少ない。

ほかにも、前述の通り、電動バイク仕様では、GFR-02の航続距離は約34km。片道17kmほどしか走れないが、いざというときに自転車モードにしてペダルを漕げば、ちょっとした遠出も可能だ。

原付と自転車に早変わりする電動モペット
GFR-02の走り

このように、原付バイクと自転車にクラスチェンジできるメリットは、意外に多い。街中はもちろん、アウトドアでのレジャーなど、さまざまシーンで手軽に乗れる乗り物として、今後も注目だ。

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著者プロフィール

平塚直樹 近影

平塚直樹

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなど…