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GILLET
ドンカーブートに端を発するスポーツカーブランド
ベルギーの首都ブリュッセルからクルマで1時間ほどの場所にある、ジャンブルーという街に本拠を置くジレは、1992年にトニー・ジレ氏によって創業された。ダカールラリーに2度出場するなど、レーシングドライバーとして活躍していたジレ氏は、1982年に現役を引退してからは、オランダのスポーツカーメーカーであるドンカーブートの輸入販売で生計を立てていたという。
一方、ジレ氏は1990年に、特別なチューニングを施したドンカーブートによって当時の市販車における0→100km/h加速の最速記録を更新するなど、スピードに対する憧れを常に持っていたようだ。
その憧れが高じて、ジレ氏は自家製スポーツカーの開発を志すことになる。そうして誕生したジレ初のモデルは、1992年のブリュッセル・モーターショーでプロトタイプが発表され、翌1993年のパリ・モーターショーとジュネーブ・モーターショーにおいて市販版が公開された。
ギネスブックにも掲載されたモンスターマシン
「ヴァーティゴ」と名付けられたそのモデルには、当初コスワース製の2.0リッター 直列4気筒ターボエンジンが搭載されていた。しかし、市販版には、アルファロメオ製の3.0リッター V型6気筒エンジンが搭載され、さらにF1の技術を流用したカーボンファイバー製のシャシーが採用された。
これにより、ヴァーティゴは驚異的な加速性能を発揮し、ジレ氏自身による記録を上回る3.266秒という0→100km/h加速を達成した。なお、この記録は当時のギネスブックにも掲載されている。
2002年には、F1ドライバーであったフィリップ・ストレイフ氏の名を冠した「ヴァーティゴ ストレイフ」が発表された。ヴァーティゴ ストレイフには、360PSを発揮するアルファロメオ製の3.6リッターV型6気筒エンジンが搭載され、初代を上回る加速性能が与えられた。
そして現在、ヴァーティゴはさらなるアップデートをおこない、「ヴァーティゴ 5 スピリット」の名称で販売されている。エンジンはマセラティの「クアトロポルテ」や「グラントゥーリズモ」に搭載されていたフェラーリ製4.2リッターV型8気筒エンジンを採用し、最高出力は420PSにもおよぶ。組み合わされるトランスミッションは6速のシーケンシャルトランスミッションだ。
ボディワークには、引き続きカーボンファイバーを採用。車両重量は990kg程度と謳う。なお2011年当時のベース価格は19万ユーロだった。
【主な内容】
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