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まるでランチバスケットのような
Bang & Olufsenは北欧家具を思わせるアイコニックなデザインのオーディオ機器を多数ラインナップに揃える。本製品もまるで日用品のような佇まいながらも、その姿からは想像できないようなパワフルで心地よい音を聞かせてくれる。まるでランチバスケットのような、「Beosound A5」からひとたび音が出始めると、まずは驚くほど自然に伸びた低音が体を揺らし、部屋全体を心地よい音で埋め尽くす。専門的には“ルームフィリングサウンド”と表現される音質設計だが、低音から心地よく立ち上るかのような、爽やかな中高域に至るまで、高い質を誇っているのは、さすがにBang & Olufsenだ。
このデザインはデンマーク王立芸術アカデミー出身のベンジャミン・ヒューバートによるもの。Bang & Olufsenは、デザインコンセプトをそのまま、高級オーディオとしての品質佇まいを実現することをブランド価値の中心に置いている。「スピーカーは家具であり、インテリアの一部でなくてはならない」という理念を持つ同社が、スピーカーを特定の場所から切り離し、屋外へと持ち出せることを念頭にデザインしたのがこの製品だ。一見するとシンプルに見えるが、実はアルミニウムとウッドという2種類の素材を巧みに組み合わせることで、温かみとモダンさを兼ね備えた独自の雰囲気を纏っている。
注目すべき音響性能
アルミニウム製の筐体は、プレス加工を施すことでスマートな低床フォルムを実現。天板と底面には、ショットブラストでツヤを抑えたブラックアルミニウムを使用し、どこか渋みのある高級感を醸し出す。一方の側面には、デンマーク産の節あり証明付きオークウッドパネルを贅沢に使用。木の温かみとアルミニウムの冷たさが見事に調和を成し、北欧デザインの極致を表している。
そして何よりも注目すべきは、その音響性能だろう。Bang & Olufsenを代表するスピーカーエンジニア、マイケル・ガーヴァーが全幅の技術力を注いだ音質は、あらゆる角度へ均一に音が到達するよう、ツイーター、ミッドレンジ、ウーファーの配置に細心の注意を払い精緻にチューニングされている。
屋外で高品質の音を楽しめる
加えて高い機能性と利便性も備えており、Bluetooth/Wi-Fi/Chromecast/AirPlayによるワイヤレス再生に対応。部屋の中はもちろん、キャンプに持ち出して、みんなで音楽を楽しむといったシーンでも、あらゆるデバイスとワイヤレスで接続できるはずだ。自社アプリを使えば音声アシスタントとの連携やマルチルーム再生システムも構築可能だ。
ひとつだけ挙げるとするならば、それはガジェットとは言い難い価格設定だろうか。また、この製品はガジェットと言うには品質が高すぎる。北欧のエッセンスを凝縮した華麗なるフォルムと、1度音を鳴らしはじめれば、すべての人を驚かせる音の迫力は、デンマークのハイエンドオーディオブランドとしての誇りを感じさせるものだ。アクティブに音楽を屋外に持ち出すすべての人にお勧めしたい。
REPORT/本田雅一(Masakazu HONDA)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
MAGAZINE/GENROQ 2024年 5月号
PRICE
14万4900円~20万9900円
評価
モノラルスピーカーのように見えるが実はステレオ構成。音の広がりが良いことに加え、どんな場所においてもすぐに心地よい音へと自動調整される。おすすめのスピーカーだ。
コストパフォーマンス:3
音質:5
デザイン:5
接続性:4
バッテリー:5
【問い合わせ】
BANG & OLUFSEN JAPAN
TEL 0800-600-0206
https://www.bang-olufsen.com/ja/jp