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1950 Porsche 356 Pre- A “Ferdinand”
シュトゥットガルト製=「356 プリA」
グミュント時代に生産された356は、6台のビュトラー・カブリオレ、そして2台のケイブル・カブリオレ(オーストリア・ウィーンのコーチビルダー)を含む52台だったと言われている。
その初期の顧客には、1945年までポルシェ設計事務所で働き後にアルファ・スッドの設計を手掛けるルドルフ・ルスカの名もあった。ちなみに19番目のグミュント・クーペを購入したルスカは、カルロ・アバルトらとともにイタリアにおけるポルシェの販売権も獲得している。
こうして徐々に体制が整ってきたポルシェはドイツ・シュトゥットガルトへの拠点の移行を画策する。しかしながら元の本社は米軍に接収されていたため、近郊のコーチビルダー、ロイターの施設を借りて生産が行われる(並行してグミュント工場でも1951年9月まで生産が行われている)こととなった。
生産性の向上と、三角窓の廃止
356はグミュント時代にも随時様々な改良が施されてきたが、ボディがより生産性が高く、コストも安いプレススチールに変わったことが最大の特徴といえる。また印象的な三角窓がなくなり、すっきりとしたシェイプとなっているのが外観上の識別点で、1955年登場の356A以前に生産されたシュトゥットガルト製356は、便宜上Pre-A(プリA)と呼ばれている。そのほか、エンジンやギヤボックス、サスペンションなど基本的な構成はグミュント時代と変わっていない。
ミュージアムに展示される「356」は・・・
現在もポルシェ・ミュージアムに展示されている漆黒の356は1950年9月3日に75歳を迎えたフェルディナント・ポルシェ博士の誕生日プレゼントとして贈られたもので、1951年9月にフェルディナントが亡くなった後はテスト車両として供され、約40万kmを走破。その間、ポルシェ初のアンチロールバーやラジアルタイヤなど、様々なテストを行い、その成果は後の生産型356に活かされている。
【SPECIFICATIONS】
ポルシェ356 プリA“Ferdinand”
年式:1950年
エンジン形式:空冷水平対向4気筒OHV
排気量:1086cc
最高出力:40hp
最高速度:140km/h
TEXT/藤原よしお(Yoshio FUJIWARA)
投稿 【ポルシェ図鑑】「ポルシェ 356 Pre-A フェルディナント(1950)」博士へ贈られた最後の誕生日プレゼント。 は GENROQ Web(ゲンロク ウェブ) に最初に表示されました。