モントレー・カーウィークで正式発表予定の「パガーニ ウトピア ロードスター」

来週のモントレーで「パガーニ ウトピア ロードスター」がデビュー「クーペと変わらぬ乾燥重量」

ウアイラ クーペと同時開発された「パガーニ ウトピア ロードスター」のエクステリア。
オープンエア、ソフトトップ、ハードトップという3種類のボディスタイルを持ちながら、クーペと変わらない乾燥重量を実現した「パガーニ ウトピア ロードスター」が公開された。
パガーニ・アウトモビリは、最新オープントップ「ウトピア ロードスター」を発表した。複合素材と最先端技術の導入により、ウトピア クーペと変わらない乾燥重量1280kgを実現。価格は310万ユーロからとなっており、130台のみが限定生産される。モントレー・カーウィークにおいて、オプションの「スポーツ・パック」を採用した車両が一般公開される予定だ。

Pagani Utopia Roadster 

クローズド仕様とオープンを同時開発

ウアイラ クーペと同時開発された「パガーニ ウトピア ロードスター」のエクステリア。
ゾンダやウアイラがクーペ完成後にロードスターが開発されたのに対して、ウトピアではクーペとロードスターが同時開発されている。

2022年、パガーニ・アウトモビリは、最新ハイパースポーツ「ウトピア」を発表した。そのネーミングは、完璧さへのあくなき追求と達成不可能と思われる“理想”を追い求めるオラチオ・パガーニが掲げる哲学を体現したものだ。ゾンダとウアイラが、クローズドクーペの完成後にロードスターが開発されたのに対し、ウトピアは開発段階からクーペとロードスターが同時開発された。

カーエンスージアストは、これまでもクローズドボディとオープントップのどちらが純粋なスポーツカー表現なのか、終わらない議論を続けてきた。この難問を解決する唯一の方法が、対照的な魅力を持つ両方のバージョンを提供することだとオラチオ・パガーニは考えている。

ウトピア ロードスターはクーペと同じメカニズムを持ったエレガントなバタフライドアを採用。開放的なオープンエアを求める時は着脱式ハードトップを専用スタンドに設置し、ひとつのデザインオブジェとして楽しむことができる。コンベンショナルなソフトトップも搭載されており、こちらは2基のシート後方に配置されたスーツケースへと収納する。つまり、フルオープン、ハードトップ、ソフトップという、3つのボディスタイルが用意されたかたちだ。

クーペとロードスターのスタイリングは、同じデザイナーとエンジニアが担当しており、ウトピアとしての継続性を表現。共通のビジョンで結ばれたチームが、オラチオ・パガーニの指揮のもとモデネーゼ・アトリエにおいて、その腕を振るった。創業者であり、パガーニ・アウトモビリを率いるオラチオ・パガーニは、ウトピア ロードスターについて次のように説明を加える。

「ウトピア ロードスターは、私たちのアトリエにおける最新作であり、最も洗練されたテクノロジーと時代を超越したデザインを融合させています。まさに継続的な研究・開発の頂点を極めた1台だと言えるでしょう。時間と情熱を注いできたプロジェクトを表現する言葉を見つけるのは、けして簡単ではありません」

パーソナライゼーションを極めたインテリア

ウアイラ クーペと同時開発された「パガーニ ウトピア ロードスター」のコクピット。
様々な種類のリアルレザー、アルミニウムやカーボンファイバーなど、様々な素材を自由に組み合わせることで、世界にひとつだけのコクピットを仕上げることができる。

ウトピア ロードスターのクラシカルなコクピットは、クーペと同様にあらゆるカラーやマテリアルから、オーナーの希望に合わせて組み合わせることが可能。様々な種類のリアルレザー、ヒンジやスイッチの装飾トリム、レザーストラップを含めたアクセサリー、象徴的な4基のエキゾーストをデザインに組み込んだフットパッドなどを選び、世界にひとつのインテリアを作り上げることができる。

専用のフロアマットは高級ヨットを思わせる独自の質感を持ち、キーはオープン仕様のスタイリングをイメージした独自のデザインに変更。ハードトップを装着した状態でも、大型ルーフウインドウにより、室内は柔らかな光に満ち、クーペとは異なるインテリアを楽しむことができる。

美しいラゲッジアイテムは、パガーニ製ハイパースポーツを彩る特徴のひとつ。ウトピア ロードスターには、レザーで覆われたカーボン製インナーシェルを備え、パガーニを象徴する楕円形があしらわれた2つのスーツケースが用意された。スーツケースはパガーニの職人によってハンドメイドで仕上げられる。また、シート後方には2つのガーメントバッグがすっきりと収められる。

補強材を必要としなかったカーボンシャシー

ウアイラ クーペと同時開発された「パガーニ ウトピア ロードスター」のエクステリア。
ウアイラからウトピアへと進化する際、パガーニはカーボンファイバー製シャシーを全面的に再設計。様々な最新複合素材を導入した結果、オープン化に際しても補強財を必要としないほどの高い剛性レベルを実現した。

オラチオ・パガーニは先進複合素材のパイオニアでもあり、およそ40年間にわたり、ハイパースポーツ用に革新的なソリューションがないか試行錯誤を続けてきた。市販第1弾のゾンダは、当時主に航空宇宙産業やF1マシン、耐久レース用のスポーツプロトタイプで使用されていた、カーボンファイバー製モノコックを採用した初のロードカーとしてデビューを飾っている。

パガーニは複合素材に関する継続的な研究投資を行っており、ウトピア ロードスターにもそのノウハウを積極的に投入。カーボンファイバーはもちろん、カーボチタニウム「HP62-G2」やカーボトリアックス「HP62」など、実に40種類以上の複合材料が使われている。

複合素材に関する高い技術力により、ウトピア ロードスターの乾燥重量はクーペと同じ1280kg。V型12気筒エンジンを搭載した大型ハイパーカーとしては、驚異的な軽さを実現した。これは高剛性とドラッグを最適化するため、全面的に再設計されたウトピアのモノコックシャシーがあってこそで、通常オープンカーに求められる重い補強財は一切必要なかったという。

エアロダイナミクスに関しては、カナードやウイングなどの突起物に頼ることなく、低いドラッグと高いダウンフォースレベルを達成。風洞施設においてエアフローの徹底的な研究開発が行われた。車両周辺のエアフローはホイールやティアドロップ型ルーフ周辺をスムーズに通過し、しなやかなサイドセクションに沿って完璧な制御のもと導かれる。クーリングとエンジン吸気のためのインナーエアの流れも、細部に至るまで完璧に仕上げられた。

AMGと共同開発した6.0リッターV12ツインターボ

ウアイラ クーペと同時開発された「パガーニ ウトピア ロードスター」のエクステリア。
リヤミッドに搭載されるのは、メルセデスAMGとパガーニが共同開発した、最高出力875PSを発揮する6.0リッターV型12気筒ツインターボ。

ウトピア ロードスターは、メルセデスAMGとパガーニが共同開発した、最高出力875PS、最大トルク1100Nmを発揮する6.0リッターV型12気筒ツインターボを搭載。精緻に組み上げられたV12エンジンは、世界で最も厳しい米国カリフォルニア州の排出ガス規制を含め、世界中のあらゆる法規をクリア。先代のウアイラを超える、高回転かつパワフルな走りを実現した。

それぞれのエンジンは、メカニカルアーティストと讃えられるパガーニの職人によって1基ずつハンドメイドで組み立てられる。低回転域からスムーズなトルクカーブを実現しており、ひとたびアクセルを踏み込むと爆発的なレスポンスでパワーをデリバリー。ウトピアは純粋な内燃機関モデルとして開発されており、重量物のハイブリッドシステムやバッテリーは搭載されていない。

V12ツインターボの強大なトルクを路面へと余すことなく伝えるべく、英国のXトラックと共同開発した7速MTを搭載。エンジンの後方横向き搭載された7速MTは、軽量で調整可能なトリプルディスククラッチが組み合わせられた。このコンベンショナルな7速MTは、あらゆるコンディション下において、滑らかで快適なギアチェンジが保証されている。

スペシャルプロジェクト部門グランディ・コンプリカツィオーニが手がけた「パガーニ ウアイラ エピトーメ」のエクステリア。

世界に1台の「パガーニ ウアイラ エピトーメ」をワールドプレミア「Xトラック製7速MTを初搭載」

パガーニ・アウトモビリは、特別なクライアントのために1台のみが製造された「ウアイラ エピトーメ」を公開した。ウアイラ エピトーメはウアイラとしては初めてマニュアルトランスミッションを搭載。パガーニのスペシャルプロジェクト部門「グランディ・コンプリカツィオーニ(Grandi Complicazioni)」から誕生している。

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著者プロフィール

ゲンロクWeb編集部 近影

ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…