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Ford Escort Mk1 RS Continumod
欧州フォード公認のプロジェクト
1970年代、ラリーシーンを中心に活躍した名車「フォード エスコート Mk1」がオリジナルの設計に忠実な新車として蘇った。ボアハム・モーターワークスはドナーカーをベースにしたレストモッドではなく、フォード本社から承認されたシャシーナンバーを持つ本物のコンティニュエーションカーとして、「フォード エスコート Mk1 RS コンテニューモッド」を新たに製造する。
初代エスコートが持つ時代を超越した精神に、現代のエンジニアリング、デザイン、高度な製造技術を融合。フォード エスコート Mk1 RSの最終限定モデルである「RS2000」のデビューから50年を記念し、ボアハム・モーターワークスは世界限定150台、初代からの継続シャーシナンバーが与えられた「フォード エスコート Mk1 RS コンテニューモッド」のオーダー受付を開始した。
初代が持つ純粋なドライブ体験を再現
フォード・モーターカンパニーの公式ブランド・ライセンス・パートナーとして「ボアハム・モーターワークス」は、フォードの最も象徴的な車両の遺産を保存し、強化することに専念。今回、初代エスコート RSのDNAを受け継ぎ、現代のテクノロジー、最先端の素材、そしてオーダーメイドのエンジニアリングを組みああせた、画期的な新プロジェクト「コンテニューモッド」を発表した。
従来のレストモッドとは異なり、コンテニューモッドはドナーカーを必要とせず、フォード本社との公式ライセンス契約を受け、最新の素材と高度な製造技術を駆使してゼロから生産される。ボアハム・モーターワークスのイアン・ムイルCEOは、フォード エスコート Mk1 RS コンテニューモッドについて、次のように説明を加えた。
「この現代において、フォード エスコート Mk1 RSを再現することは、単に自動車を製造するのではなく、半世紀以上にわたってエンスージアストにインスピレーションを与えてきた、素晴らしい遺産に敬意を表する意味があります。ボアハム・モーターワークスは、オリジナルのエッセンスを忠実に再現するだけでなく、最先端のエンジニアリング、精密なデザイン、高度なクラフトマンシップを駆使して、この名車を現代に蘇らせることに全力を注いできました」
「私たちのチームは、ドライビングダイナミクスから車両構造に至るまで、可能な限り純粋なドライビング体験を提供するため、このクルマのあらゆる面が細心の注意を払って設計されていることを理解しています。そして、その再現に努力を重ねてきました。伝統と革新のシームレスな融合を念頭に、私たちはエスコート Mk1 RSをよみがえらせることができたことを誇りに感じています」
「この象徴的なパフォーマンスを体験して頂けるドライビングエンスージアストと出会えることに、胸を躍らせています。私たちは、来年夏にこのクルマを皆さんにお見せできることを楽しみにしています」
2種類の自然吸気DOHCをラインナップ
フォード エスコート Mk1 RS コンテニューモッドは、初代が持つドライビングプレジャーを体現しながら、現代的なパフォーマンスを発揮する、2種類のエンジンをラインナップ。ベース仕様はフューエル・インジェクションを導入した1845cc直列4気筒ツインカム搭載し、最高出力185PSを発揮する。
シンクロメッシュ4速マニュアルトランスミッションと組み合わされ、かつてフォードのモータースポーツ部門「ボアハム」が製造した、エスコート Mk1 RS1600のDOHCエンジンへの完璧なオマージュとして製造される。
現代的なパワーユニットを求めるカスタマーには、モータースポーツ由来の電子制御スロットルコントロールを備える、2100cc直列4気筒ツインカムが用意された。専用のロードチューンが施された鋳造ビレットエンジンは、85kg以下の重量に抑えられ、DOHCとチェーンカム駆動を採用。自然吸気ながらも最高出力300PSという驚異的なパワーを誇る。
ドグクラッチ式5速MTを介してリヤを駆動し、鍛造スチール製コンロッドとビレット製クランクシャフトを採用したことで、サーキットにおいても驚異的なパフォーマンスを発揮。モータースポーツ仕様のコイルオーバー・プラグイグニッション、高度な燃料噴射とECUマネージメントが導入された。また、パフォーマンスと爽快なエンジンサウンドのために、特注のチタン製エキゾーストシステムも搭載する。
左ハンドルと右ハンドルの選択が可能で、どちらの仕様も「55:45」という最適な重量配分を実現。足まわりはフロントにマクファーソン式ストラット、リヤに軽量アルミニウム&チタン製フルフローティングアクスルを組み合わせ、応答性の高いステアリングフィールと、確実なグリップを提供する。エスコート RSが持つ純粋なドライビングプレジャーを重視し、パワーステアリング、ABS、トラクションコントロール、ブレーキサーボは未搭載となる。
オリジナルをリスペクトしたエクステリア
ボアハム・モーターワークスは、オリジナルのエスコート Mk1をレーザースキャニングし、当時の設計図を含む広範囲にわたるアーカイブスを活用。現代の公差に合うよう、CADを使用して完全にボディの再設計を行った。また、ボディアセンブリ用に新しい製造治具と固定具をが導入。当時の設計図に忠実ながら、新たな形状と寸法のボディを新規開発し、現代のOEM車両に期待される仕上げと品質での製造が可能になった。
エクステリアデザインは、ボアハム・モーターワークスのデザインディレクターを務めるウェイン・バージェスが担当。彼の最初の愛車はエスコート Mk2であり、個人的な経験、歴代エスコートが持つ象徴的な伝統、パフォーマンス、デザインに対する愛情によって、その美しいフォルムが完成することになった。
エクステリアデザインはシンプルさが追求され、不必要な装飾をそぎ落とし、必要な要素のみを残した。クォーターバンパーとメインディレクションインジケーターを取り去り、よりスマートで純粋なシルエットを実現。ビレット加工のアルミニウム製グリルサラウンドが、モダンなクラフトマンシップをアピールする。
ヘッドライトは当時のツーリングカーレースで見られた、テープで覆われたクラシカルなライトをオマージュ。テールライトもオリジナルをベースに、現代的にアップデートされた。アルミニウム製ドアハンドルとミラーは、初代の面影を残しつつ、洗練さを持った新形状に変更されている。
機能性が重視されたシンプルなコクピット
コクピットは軽量化とドライバーの快適性をバランスさせ、ドライビングにフォーカスしたモダンなデザインを導入。スクリーンヒーターや、4つの吹き出し口を備えたエアコンディショナーなど、現代的な機能が違和感なくインテリアへと組み込まれた。
インテリアは、アルカンターラとリアルレザーが組み合わせられ、最高水準のクラフトマンシップに基づいて設計。3点式シートベルトが標準装備され、オプションで4点式ハーネスとビジュアルカーボン製リヤコンパートメント(ヘルメット搭載可能)も用意された。取り外し可能なドアバーを備えたフルロールケージが導入されており、車両の完全性を確保し、サーキット走行など負荷の掛かる走行にも対応する。
デザインを担当したウェイン・バージェスは、内外装のデザインについて次のように説明を加えた。
「開発当初から私たちが目指していたのは、オリジナルデザインが持つ純粋さを尊重しつつ、現代のパフォーマンスカーとしての要求に応えることでした。エクステリアのミニマリズムから、インテリアの考え抜かれた機能性まで、すべてのディテールに、エスコート Mk1を特別な存在にしていたエッセンスが凝縮されています。私たちは伝統を振り返るだけでなく、新時代へと前進するクルマを創造することを心がけたのです」