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MERCEDES-BENZ G-CLASS
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MERCEDES-BENZ GLS
クラシカルなタフネスか、モダンなラグジュアリーか




「Gクラス」は、軍用車をルーツに持つゲレンデヴァーゲンの象徴的なデザインを踏襲している。スクエアなボディ形状にラダーフレーム構造を採用し、堅牢さを前面に押し出しているほか、丸型ヘッドライトや背面に装備されたスペアタイヤなど、オフローダーらしいディテールがGクラスの特徴だ。ドアを開けると重厚なラッチ音が響き、エクステリアと同様に使用感にまで無骨な雰囲気をまとう。
その一方で最新モデルの内装は、旧来から続くオフロード走行時の操作性を重視した機能的なデザインはそのままに、最新型のデジタルコクピットやMBUXなどデジタル技術が取り入れられアップデートされた。もちろん、ナッパレザーやウッドパネルなどを組み合わせた高級感あふれる内装は継続して採用されている。
対する「GLSクラス」は、現代的なラグジュアリーSUVらしいデザインが特徴だ。曲面で構成されたエレガントなボディラインのエクステリアは、フラッグシップSUVらしい存在感を放つ。LEDヘッドライトやクローム仕上げのフロントグリルも高級感を演出し、都市景観にも映える洗練されたスタイリングにまとめられている。
内装もSUVらしさと高級感を上品に融合させたデザインとなっており、最新のMBUXを搭載するほか、各スイッチ類の操作性も良好だ。広々とした3列シートのキャビンもGLSクラスの大きな特徴で、リヤシートにリクライニング機能やマッサージ機能が搭載される「ショーファーパッケージ」ナルオプションも設定される。
Gクラスのインテリアが「伝統を重んじた機能的な高級感」を重視しているのに対し、GLSクラスは「快適性と先進技術」を軸にしたラグジュアリーな空間に仕上げられている。
メルセデス・ベンツ G 450 d
ボディサイズ=全長4670mm×全幅1930mm×全高1980mm
ホイールベース=2890mm
車両重量=2540kg
タイヤサイズ=265/60R18
メルセデス・ベンツ GLS 580 4MATIC Sports
ボディサイズ=全長5210mm×全幅2030mm×全高1840mm
ホイールベース=3135mm
車両重量=2690kg
タイヤサイズ=285/45R22(前)/ 325/40R22(後)
トルキーなディーゼルかパワフルなV8ガソリンか




G 450 dには750Nmものトルクを極低回転域から生み出す3.0リッター直列6気筒ディーゼルターボエンジンが搭載されている。加えて、新たに48Vマイルドハイブリッドシステムが追加された点も大きなトピックだ。オフロード走行時にはこの太いトルクとフルタイム4WDが活き、230mmの高い最低地上高も相まって急坂やぬかるみでも安定した走行が可能だ。スイッチ操作でローレンジギアに切り替え、デフロックを作動させればさらに高い悪路走破性を発揮してくれる。
一方、GLS 580は、4.0リッターV8ツインターボガソリンエンジンに48Vマイルドハイブリッドシステムが組み合わされる。最高出力517PS、最大トルクに至っては730Nmにも達し、モーターによる加速アシストも加わって0-100km/h加速タイムは約4.9秒と大型SUVとは思えないほどのハイパフォーマンスぶりだ。
燃費の面では、低回転で高トルクを発生するディーゼルエンジン+マイルドハイブリッドシステムを搭載するGクラスの方が全速度域で優れる。
GLSクラスは高出力なV8エンジンを搭載する反面、燃費性能はお世辞にもよいとはいえない。しかし、モーターアシストの恩恵により市街地走行時の燃料消費は確実に抑えられている。エンジンスペックを考慮すれば十分納得できる燃費といえるだろう。
メルセデス・ベンツ G 450 d
エンジン形式=直列6気筒DOHCターボディーゼル
排気量=2988cc
最高出力=367PS/4000rpm
最大トルク=750Nm/1350〜2800rpm
トランスミッション=9速AT
駆動方式=AWD
メルセデス・ベンツ GLS 580 4MATIC Sports
エンジン形式=V型8気筒DOHCツインターボ
排気量=3982cc
最高出力=517PS/5500rpm
最大トルク=730Nm/2250〜4500rpm
トランスミッション=9速AT
駆動方式=AWD
5人乗りオフローダーと7人乗りラグジュアリーSUVで趣向が別れる


G 450 dはGクラスのエントリーグレードとして設定されているが、それでも高額車であることには違いない。抜きん出たオフロード性能と高額車にふさわしい豪華な内装の組み合わせは独特の魅力を放ち、メルセデス・ベンツのラインナップのなかで唯一無二の存在感を放つ人気モデルがGクラスだ。高い耐久性により長期間にわたって使用できるうえ、値崩れもしにくいため投資としての価値も高い。
対するGLSクラスは高級ラグジュアリーSUVとしての価格帯に属し、Gクラスよりもさらに高額となっている。しかし、その価格に見合うだけの快適性と最新技術が詰め込まれており、特に後席の快適性や装備の充実度はライバルの追従を許さない。多人数で長距離移動を快適にこなしたいドライバーやファミリー層にとっては有力な選択肢のひとつとなり得る。
移動時の快適性を最重要視するならGLSクラスを選ぶべきであり、オフロード性能を求めるならGクラスの一択となる。とはいえ最新のGクラスで悪路を走行する人は稀だろう。選ぶ決め手は、乗車定員の違いと内外装の好みに絞られそうだ。