スーパーカーのマエストロ、ゴードン・マレーが現代に放つ第2のプロダクト

ゴードン・マレー、ニューモデル「T.33」を公開! 100台限定のウルトラレアなスーパーカーは2024年生産開始

ゴードン・マレー T.33のフロントビュー
ゴードン・マレー オートモーティブが放つ第2弾のプロダクト、T.33。T.50と同じく、コスワースと共同開発したV12自然吸気ユニットをミッドシップする2シータースポーツカーで、100台限定で販売される。
ゴードン・マレー オートモーティブは、「T.50」「T.50s」に続くプロダクトとして「T.33」を投入する。T.50同様、コスワース共同開発のV12エンジンをミッドに搭載。一方でオールラウンダーとしての使い勝手や快適性も重視したという。

車両価格は邦貨約2億1100万円

ゴードン・マレー T.33のサイドビュー
T.33は、T.50同様にゴードン・マレー流のクルマづくりを貫く孤高のスポーツカー。一方で、使い勝手や乗りやすさにも配慮し、毎日の相棒としても相応しい1台になっているという。

ゴードン・マレー オートモーティブは2021年1月27日、新型車「T.33」を発表した。同社にとって「T.50」に続く第2のプロダクトで、車両価格は税抜きで137万ポンド(約2億1100万円)。100台限定の販売となり、2024年よりデリバリーを開始する予定だ。

T.33が目指したのは、V12を搭載した世界で最も完成度の高い万能的な2シータースーパーカー。「もしもたった1台だけスーパーカーを持たなければいけないのなら、T.33こそがふさわしい」と公式の資料では謳う。

1万rpm以上まで回るV12エンジン

ゴードン・マレー T.33のV12エンジン
ゴードン・マレー T.33が搭載するのは、コスワースと共同開発したV12自然吸気エンジン。1万rpm以上回る内燃機をMTで操る歓びは、大量生産のスポーツカーではもはや味わうことができない。

カーボンとアルミニウムを組み合わせたアーキテクチャーを新開発し、目標に掲げた車両重量は「1100kg以下」という軽量構造を採用。心臓部にはT.50と同じく、コスワースとの共同開発によるV12エンジンをミドシップする。3.9リッターのV12ユニットは重量わずか178kg。レブリミットは1万1100rpmに刻まれ、最高出力615ps/1万500rpm、最大トルク451Nm/9000rpmを発生する。パワーウェイトレシオはじつに564ps/トンを達成している。

組み合わせるのはXtrac製の6速トランスミッションで、T.33に合わせた専用設計となっている。標準装備は6速MTとなり、オプションでパドルシフト操作によるMTのような操作も楽しむことができるIGSを用意する。ちなみにMTユニット単体の重量はわずか82kgに過ぎず、世界で最も軽量なスーパーカー用ギヤボックスといえる。

“巨大ファン”の代わりに新空力システムを採用

ゴードン・マレー T.33のコクピット
ゴードン・マレー T.33のコクピット。現代のクルマで当たり前になった巨大タッチスクリーンの類は装備されていない。ステアリングホイール周りも驚くほどシンプルで潔い。

カーボンファイバー製のボディは、ゴードン・マレーとチームの面々によって極めてシンプルな造形に仕上げられている。時を超えても色褪せない美しさを与えるべく、完璧なバランスと純粋性を追求したという。また、T.50のような“巨大ファン”こそ採用していないものの、T.50の開発から得られた数々の知見を活かしてエアロダイナミクス性能を鍛え上げた。

空力向上のために採り入れたのが「パッシブ・バウンダリー・レイヤー・コントロール(PBLC)」と呼ぶシステム。インレットやディフューザーの工夫により、効率的にグラウンドエフェクトを発生するよう設計している。この画期的なシステムのおかげで、ウイングやサイドスカート、ベントの類を排除することができ、結果的にシンプルで美しいスタイリングが完成している。空力パーツで唯一目立つのがアクティブリヤスポイラーだが、これは自動で展開するのはもちろん、ドライバーが任意で起動することも可能。さらに、“ハイダウンフォースモード”に設定すると、ダウンフォース量を増やしてエアブレーキ効果を得ることもできる。

ゴードン・マレー流を貫くキャビン

ゴードン・マレー T.33のリヤビュー
ゴードン・マレー T.33のリヤビュー。英国サリー州ウィンドルサムの新拠点で1台ずつハンドビルドされるT.33のデリバリー開始は、2024年を予定している。

昨今はスポーツカーでも巨大なタッチスクリーンをコクピットの主役に据えるものが多いが、T.33は頑固なまでにその潮流とは距離を置く。メイン画面からメニューを選択してサブメニューの中から目的の機能を探して・・・などという混乱はスポーツドライビングにふさわしくない。そういうことだろう。T.33のキャビンからは、エクステリア同様、機能と関係のないデザインは極力省かれている。ステアリングホイールも今どきのクルマとは思えないほどシンプルだ。しかしステアリングホイールはカーボンファイバー製だし、コントロールスイッチ類は削り出しのアルミニウムを使用するなど、素材は徹底的に本物にこだわっている。

T.33はゴードン・マレー オートモーティブの新たな拠点、英国サリー州ウィンドルサムで1台ずつハンドビルドされる予定。顧客はビスポークプログラムを通して細かな部分まで自分好みの仕様に仕立てあげることができる。グローバル向けの販売を目しており、ハンドル位置も右・左の両方から選択可能。

ゴードン・マレーはT.33について、次のように語っている。

「我々がつくる全く新しい2番目のモデル、T.33は非常に端的に要約することができます。すなわち、もうひとつの“色褪せないデザイン”を作り上げることです。T.50とまったく同じ基準をもとに、ドライバーにフォーカスし、パフォーマンスと軽量化を追求し、最上級であり、かつピュアなデザインのクルマを創造するべく設計し開発してきました。しかし完成するクルマは、T.50とはまったく違うものになります。より快適でパフォーマンスを楽しみやすく、毎日使える使い勝手をもたせることも大切にしているのです」

【SPECIFICATIONS】
ゴードン・マレー オートモーティブ T.33
ボディスペック:全長4398 全幅1850 全高1135mm
ホイールベース:2735mm
トレッド:フロント1591mm リヤ 1530mm
車両乾燥重量:1090kg
エンジンタイプ:V型12気筒DOHC自然吸気
総排気量:3994cc
最高出力:615ps/1万500rpm
最大トルク:451Nm/9000rpm
レブリミット:1万1100rpm
トランスミッション:6速MT
駆動方式:RWD
サスペンション:前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後カーボンセラミックディスク
タイヤ&ホイール:前235/35R19 後295/30R20

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スーパースポーツ史に金字塔を打ち立て、現在は自らのオリジナルブランドにてスーパースポーツモデル「T.50」の開発を進めるゴードン・マレー。巨大なファンを装備し1万rpm超の自然吸気V12エンジンを搭載したT.50に、早くもスペシャルエディション「T.50s ニキ・ラウダ」が加わった。

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著者プロフィール

三代やよい 近影

三代やよい

東京生まれ。青山学院女子短期大学英米文学科卒業後、自動車メーカー広報部勤務。編集プロダクション…