目次
Volkswagen 1.5 TSI evo2
コンパクトカーからDセグメントサルーンまで
新しい1.5リッター直列4気筒ガソリンエンジン「1.5 TSI evo2」は、最高出力110kW(150ps)仕様がまず導入され、順次様々なスペックを持つバリエーションが展開される予定だ。欧州においては、まず最新のT-RocとT-Roc カブリオレに搭載。2022年中、他のモデルにも搭載される予定となっている。
フォルクスワーゲン・ブランドの技術部門担当取締役のトーマス・ウルブリッヒは、最新ガソリンエンジン「1.5 TSI evo2」について次のように説明した。
「先代1.5 TSI は、T-Crossからパサート ヴァリアントまで、世界中の多くのモデルに搭載されており、フォルクスワーゲンのエンジンレンジにおいて重要な柱となっています。私たちはこのコンパクトな4気筒ユニットを継続的に改良してきました。今回、燃費の大幅な改善と非常にダイナミックなレスポンスを実現しています」
「最新バージョンとなる『1.5 TSI evo2』の技術的なハイライトは、アクティブ・シリンダーマネジメント『ACTplus』やエミッション・コントロールモジュールの採用。そして、最新の『TSI-Evo』燃焼プロセスなどとなります」
低・中負荷時は第2・第3シリンダーを停止
「1.5 TSI evo2」は、三元触媒コンバーターとガソリン・パティキュレート・フィルターをエンジン近くへと移動。単一のエミッション・コントロールモジュールとした。これによりエミッション・コントロールシステム自体の効率性がさらに向上。生産時の貴金属使用量を削減しながら、将来の排ガス規制をクリアする強固な基盤が確保されたと言えるだろう。
今回、ヴォルフスブルクとザルツギッターの研究拠点は、強化型アクティブシリンダー・マネジメントシステム「ACTplus」を共同開発。スムーズなエンジンの動作環境を実現すべく、2基のシリンダーのアクティベーション(活性化)/ディアクティベーション(不活性化)を進化させている。
これにより、2気筒運転時の燃焼プロセスを最適化し、アクティブシリンダー・マネジメントシステムの作動範囲を拡大することを可能にした。ACTplusを搭載したことで、エンジンが低・中負荷で作動しているときは、第2・第3シリンダーは点火されずに2気筒のみで走行。この切り替えはドライバーが気づくことなく行われ、第2・第3シリンダーはアクセルを再び踏むと一切のロスなく再始動する。
電動化と同時に重要な内燃機関の進化
「1.5 TSI evo2」は、再生可能エネルギーから生成された成分を含む「eフューエル」での走行を前提に設計されており、さらに様々なハイブリッド化にも対応する。例えば、プラグイン・ハイブリッド化することで、最大200kW(272ps)のシステム最高出力を発揮することも可能だという。
フォルクスワーゲンは電動化戦略「Way to Zero」を掲げており、2030年に販売される車両のうち、EVの比率を欧州で70%、米国・中国では50%に引き上げる予定。ただ、充電インフラの不足により、EVの普及が遅れる市場において、内燃機関モデルの重要性は依然として高いままになると見られている。
TSIエンジンは、2012年の投入以来、世界的なベストセラーとして様々なモデルに搭載されてきた。フォルクスワーゲンは毎年、3大陸・11ヵ所の製造拠点において、 400万台以上のTSIエンジンを生産。絶え間ない進化・改良により「1.5 TSI evo2」は発表当時と比較して、最大21kgもの軽量化も実現している。