VWの中国法人が最新鋭のeVTOLのプロトタイプを公開

空を飛ぶフォルクスワーゲン? 航続距離200km定員4名の電動垂直離着陸機が2022年後半にテストフライトへ

フォルクスワーゲン グループ チャイナが発表したeVTOL「V.MO」のプロトタイプ機。リヤビュー
フォルクスワーゲン グループ チャイナが公開したeVTOL「V.MO」のプロトタイプ機。今年が寅年であることにちなみ、ボディは黒×ゴールドでペイント。“フライングタイガー”の愛称もつけられている。
フォルクスワーゲン グループ チャイナは、2022年7月22日に電動垂直離着陸機(eVTOL)「V.MO.」の試作機を公開した。4名までの乗員を想定した有人ドローンで、200kmの航続距離を標榜。2022年後半にはテストフライトをスタートする。

2022年後半からテストフライトを敢行

フォルクスワーゲン グループ チャイナが発表したeVTOL「V.MO」のプロトタイプ機と、開発に携わっているメンバー
フォルクスワーゲン グループ チャイナが公開したeVTOL「V.MO」は、中国の若い専門家チームが中心となって開発を進めている。2022年後半からテストフライトをスタートする予定という。

フォルクスワーゲンが空を飛ぶ時代がやってくる、かもしれない。フォルクスワーゲン グループ チャイナは精力的にプロトタイプeVTOL「V.MO」の開発を進めている。eVTOLとは電動の垂直離着陸機のこと。V.MOは定員4名と乗員分の荷物を積載するスペースを確保し、航続距離は200kmを標榜する“空飛ぶフォルクスワーゲン”だ。

フォルクスワーゲン グループ チャイナは、2020年に「Vertical Mobility(空中を移動するモビリティ)」プロジェクトを発足。都市空間を有効活用するべく、空中交通のひとつの手段としてエアモビリティの開発を進めてきた。そして2022年7月22日、ついにプロトタイプ機「V.MO」を初公開した。全長11.2m、翼幅10.6mのディメンションに、垂直離着陸用のローターを8基、水平飛行用のプロペラを2基搭載。本年が寅年であることを記念し、ボディは黒とゴールドにペイントされ、“Flying Tiger(空飛ぶ虎)”の愛称をつけられている。

V.MOは、遠い未来を見据えた夢物語ではない。2022年後半には数回のテスト飛行を実施予定で、2023年晩夏からはさらに高度な試験を行っていく計画になっている。

新しいモビリティ市場に新境地を開拓

フォルクスワーゲン グループ チャイナが発表したeVTOL「V.MO」のプロトタイプ機。フロントビュー
フォルクスワーゲン グループ チャイナが、2022年7月22日に公開したeVTOL「V.MO」のプロトタイプ機。乗車定員4名、航続距離200kmを標榜する電動の垂直離着陸機だ。

このようなパイロットプロジェクトを実施する理由ついて、フォルクスワーゲン グループ チャイナのシュテファン・ヴェレンシュタインCEOは、次のように説明する。

「この先駆的なプロジェクトは、中国の若い専門家チームがゼロから始めたものです。この素晴らしい検証用モデル『V.MO』の導入は、都市型の“空の旅”に向けた我々のワクワクするようなマイルストーンの第一歩です」

また、「このコンセプトを産業化し、急速に発展する新しいモビリティ市場に新境地を開拓する」というのが将来的な目標であるとも語っている。

今回のプロジェクトを遂行するにあたり、フォルクスワーゲン グループ チャイナは専門知識や知見を有する現地パートナーと連携。航空機関連の製品開発や販売、サービスを行なう軽量スポーツ航空機のマーケットリーダーであるHunan Sunward Technologyといったエキスパートと組んでV.MOの開発を進めている。都市型エアモビリティの市場は、大都市間を結ぶ短・中距離移動用の新しいツールとして急成長の兆しを見せており、とりわけ中国では、混雑する巨大都市における重要な交通手段のひとつとなると目されている。そんな中国の“空”で、V.MOは商用利用の第一段階として、シャトルサービスのような富裕層向けのプレミアム商品としてまずは提供をスタートする予定という。

今後、フォルクスワーゲン グループ チャイナでは、V.MO.の開発を進めながら、中国の関連当局と協力しつつ認証取得を目指していく。

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著者プロフィール

三代やよい 近影

三代やよい

東京生まれ。青山学院女子短期大学英米文学科卒業後、自動車メーカー広報部勤務。編集プロダクション…