シロン最後の1台「プロフィリ」をチャリティオークションに出品

「これで打ち止め?」世界に1台のブガッティ シロン「プロフィリ」のキモは独特のリヤ【動画】

限定1台のスペシャルモデル「シロン プロフィリ」。
限定1台のスペシャルモデル「シロン プロフィリ」。
12月21日、ブガッティ・オトモビルは、シロン ピュアスポーツをベースにしたワンオフモデル「シロン プロフィリ」を発表した。シロン プロフィリは2023年2月1日にフランス・パリで行われるRMサザビーズのチャリティオークションに出品。W16気筒クワッドターボエンジン搭載ハイパースポーツを手に入れる、最後のチャンスとなる。

Bugatti Chiron Profilée

ピュアスポーツにエレガントさを追加したプロフィリ

限定1台のスペシャルモデル「シロン プロフィレ」の走行シーン。
顧客から、コーナーリングに特化したシロン ピュアスポーツに、従来のシロンのエレガントさを持った1台をというリクエストがあったという。

2020年に発表されたブガッティ シロン ピュアスポーツは、究極のコーナリング性能を追求したこれまでにない過激な仕様としてデビューを飾った。大型固定式リヤウイング、加速に特化したギヤ比、先進的な軽量マグネシウムホイールなど、数々の専用装備を採用。限定生産枠は瞬く間にソールドアウトしている。

しかし、一部のカスタマーからは、シロンが持つ時代を超えたエレガンスを確保しながら、シロン ピュアスポーツのキャラクターを併せ持った1台を作れないかとリクエストが寄せられたという。そこで誕生したのが、今回のシロン プロフィリだった。ブガッティ・オートモビルのクリストフ・ピション会長は、シロン プロフィリについて次のようにコメントした。

「シロン ピュアスポーツの穏やかな仕様を欲しいというお客様から希望を真摯に受け止め、2020年秋に『シロン プロフィリ』の設計・開発がスタートしました。この段階でシロンの予定生産枠500台はすでにソールドアウトしていました。ただ、私たちが作り出したこの特別なシロンはあまりにも美しく、お蔵入りにするのは惜しいと考えました」

「あらゆる意味で、シロン プロフィリはブガッティの歴史の中で唯一無二の存在ですし、真のコレクターズアイテムだと言えるでしょう。そして、ブガッティ・ブランドを愛する人たちに、このユニークなクルマを手に入れる公平なチャンスを贈りたいと思いました。だからこそ、RMサザビーズと協力し、オークションへと出品することにしたのです」

タイプ46をオマージュした専用リヤテール

限定1台のスペシャルモデル「シロン プロフィレ」のエクステリア。
ピュアスポーツが大型固定式リヤウイングを装着していたのに対し、エレガンスを追求したプロフィリは、専用デザインされたダックテール形状のスイープテールが採用された。

1台のみの製造にも関わらず、時間と労力をかけて完全な生産仕様に仕上げるメーカーは稀だ。ブガッティはシロン プロフィリを通常のプロセスに則って開発。シロン プロフィリは通常モデルと変わらないテストプログラムをクリアし、ブガッティが全車に適用している品質基準をすべてクリアしている。すでにヨーロッパにおける形式認証も取得した。

シロン プロフィリは、新形状の固定式スイープテールを採用。リヤアクスル周辺のダウンフォースレベルを増加させることで最高速度380km/hに達するまでの安定性とコントロール性が確保された。さらに、負圧を利用することでカーボン製ウイング下部からエンジンルームの熱気も効率的に排出する。

ブガッティのデザインディレクター代理を務めるフランク・ヘイルは、新形状のリヤテールについて次のように説明する。

「カスタマーからの要望もあり、エレガントな固定式スイープテールを採用しました。空力的にも熱力学的にも最適化され、これまでにないパフォーマンスを発揮します。プロフィリという名称は、ジャン・ブガッティが最初に手がけたタイプ 46からインスピレーションを得ています。タイプ46もテールにエレガントなダックテールを備えていました」

専用調色された「アルジャン・アトランティック」

限定1台のスペシャルモデル「シロン プロフィレ」のエクステリア。
エクステリアカラーは、プロフィリのために専用開発されたアルジャン・アトランティックと、ブルーロイヤル・カーボンが組み合わせられている。

エクステリアカラーは、専用開発された「アルジャン・アトランティック(Argent Atlantique)」にペイントされた。この色調で構成されたシロンは初となる。ボディ下部はネイキッド・カーボンファイバーで仕上げられ、ブガッティの人気カラーであるブルーロイヤル・カーボンで仕上げられた。ホイールもシロン プロフィリ専用デザイン&カラーがチョイスされている。

フロントセクションは、ブガッティを象徴する馬蹄形グリルを大型化。より多くのフレッシュエアをラジエーターに導くために、幅広型エアインテークが採用された。改良されたフロントスプリッターは、アンダーボディと連動して、ダウンフォースをさらに増大。エアフローを最大化させる効果を持つ。

シロン プロフィリは、横方向のグリップと究極の加速性能が与えられたピュアスポーツの性能をそのまま受け継いでいる。最高出力1500PSを発揮する8.0リッターW型16気筒エンジンを搭載し、シロン スポーツよりも15%ショート化されたギヤ比を採用。0-100km/h加速は2.3秒、200km/h加速は5.5秒を実現し、最高速度はシロン ピュアスポーツの350km/hに対して380km/hにまで引き上げられている。

シャシーチューニングでは、フロントとリヤアクスルのキャンバー角を変更し、フロントに硬めのスプリングを採用。スプリングはシロン スポーツと比較して10%硬めに設定され、リヤアクスルのネガティブキャンバーは50%増加された。この結果、クルージング時の快適性を損なうことなく、コーナーにおけるグリップレベルを向上させることが可能になった。

シロン・シリーズ初のウーブンレザーを採用

限定1台のスペシャルモデル「シロン プロフィレ」のインテリア。
インテリアには、シロン・シリーズとしては初めて、高品質ウーブンレザーが贅沢にあしらわれた。センターコンソールには「Profilée」の専用サインも入れられている。

インテリアは、モルスハイムのアトリエにおいてハンドメイドで仕上げられた。レザー、カーボン、ソリッドアルミなど、高品質マテリアルを中心にデザインされ、各パーツは何時間もかけて手作業で磨き上げられている。デザインはシロンらしいミニマリズムの哲学に基づき、各パーツが最もシンプルで美しいフォルムになるように細心の注意が図られたという。

ダッシュボード、ドアパネル、センターコンソールには、シロン・シリーズとしては初めてウーブンレザー仕上げを導入。この複雑で美しいインテリアを実現するため、合計2500m以上のレザーが使用されている。シートはグリ・ラファールとディープ・ブルーのレザーに、エアパレード・キルティングが施された。センターコンソールのブラックアルマイト製フレームインレイには「Profilée」の専用サインも入れられた。

シロン プロフィリは、2月1日にRMサザビーズのオークションに出品され、その収益の一部は慈善活動に寄付される。

ブガッティ シロン プロフィリを動画でチェック!

スヴェン・ボンホルストのドライブで、華麗なドリフトを披露するブガッティ シロン ピュアスポーツ。

非公開: ドリフトで「シロン ピュアスポーツ」が描いたブガッティの象徴たる「走行ライン」とは?【動画】

コーナーリングに特化したハイパースポーツとして開発された「ブガッティ シロン ピュアスポーツ」。先頃、予定生産台数の半数にあたる30台目がデリバリーされた。これを受けて、ブガッティはシロン ピュアスポーツが激しいドリフトを披露する動画「Drifting The C」を公開している。

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ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…