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McLaren 720S GT3 EVO
多くの勝利やタイトルを獲得した720S GT3
720S GT3 EVOは、新規完成車両か既存車両へのアップデートパッケージとして提供され、2023年シーズンに向けて、ホモロゲーションが取得される予定だ。今回の変更は、デビュー時点からGT3マシンのトップを走り続けた720S GT3から得た経験と、カスタマーチームからのフィードバックが反映された。
今シーズンのデイトナ24時間レースでデビューした新型アルトゥーラ GT4を含め、マクラーレンはあらゆるレベルのドライバーやチームにとって扱いやすいGTレーシングカー・プログラムを、今後も継続していくという。
マクラーレン・オートモーティブのモータースポーツディレクターを務める、イアン・モーガンは720S GT3 EVOについて、次のようにコメントした。
「マクラーレン720S GT3は、4年前のデビュー以来、GT3レースで驚異的な成功を収めてきました。以来、多くのレースで勝利と選手権タイトルを獲得してきたのです。2022年はアジアン・ル・マン・シリーズ、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権、GTワールドチャレンジ・ヨーロッパでタイトルをもたらし、2023年シーズンのデイトナ24時間レースでも表彰台を獲得しています」
「この4年間、私たちはカスタマーチームと密接な関係を保ち、彼らの提案の多くを新しいEVOパッケージに採り入れ、パフォーマンスレベルと整備性を改善しました。これにより、マクラーレン720Sは今後何年にもわたってGT3レースで素晴らしいペースを維持し続けることができるのです」
空力性能と同時に整備性もアップ
720S GT3 EVOは、フロントバンパーやスプリッターなどのボディワークを改良。フロントバンパーとスプリッターはクイックリリース・ファスナーで簡単に取り外しができるようになっただけでなく、空力特性も大幅に改善された。ダウンフォース量が増加したことで、全体のバランスを前方に移動。レース中にトラフィックに巻き込まれた場合でも、車両の安定性を向上させるよう設計されている。
フロントボンネットに装着されたガーニーは、バランスと冷却性能を向上。補助ランプの位置も変更され、ロングディスタンスイベントにおける夜間視認性が大幅に改善されている。また、リヤセクションは、リヤウイングのパイロン機構に改良を加え、簡単に調整できるようになった。リヤウイングガーニーを高くしたことで、全体のバランスを崩すことなく、ダウンフォースを向上させることにも成功している。
より柔軟なセッティングが可能になった足まわり
サスペンションにはオーリンズ製新型「TTX40」4ウェイ・アジャスタブルダンパーを採用した。フロントとリヤのアッパーウィッシュボーンが変更され、特にフロントはタイヤ・マネジメントをより柔軟にするため、調整可能となった。また、リヤはアップライト変更に対応するべく、ジオメトリーが改良されている。
サスペンション・アップライトも改良。フロントはブレーキキャリパーをボルトで固定し、システム全体をユニットとして素早く交換できるようになった。トラックロッドクレビスが内蔵されており、ホイールの装着がより強固になった。また、ジオメトリーも改良され、セットアップの選択肢が豊富となった。ブレーキシステムは、ディスクの耐久性が大幅に向上している。
720S GT3 EVOはすでにオーダーがスタートしている。既存の720S GT3オーナーとチームは、「EVO」へのフルアップデートキットを購入することができる。