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Donato A.Romaniello
日本人にフェラーリを伝えることがミッション
フェラーリジャパンへの入社は2012年。マーケティング部門などを経てトップに就任した。「テーラーを務める祖父のミシンに付いていたハンドルで運転の真似事をしていた私が、フェラーリ・ジャパンの社長を務めることに運命を感じます」とロマニエッロ社長は言う。たしかにイタリア人にとって、フェラーリが特別な存在であることは想像に難くない。「日本語を話せるイタリア人として、子供の頃から知っている会社の代表となって、日本人にその良さを伝えるのはミッションのようなものです」と覇気を漲らせた。
中国市場が勢いを増す中、フェラーリにとって日本市場は依然として重要な存在であるという。フェラーリには国際的なカスタマーイベントがある。ツーリングイベント「カヴァルケード」や、今年劇的な優勝を果たしたル・マン24時間レース、あるいは10月末に開催される「フィナーリ・モンディアリ」などだ。そこで「マナーやドライビングスキルが高いということもありますが、日本人は非常に評価されています」と明かしてくれた。その晴れの場でフェラーリの中枢の人間とコミュニケーションの機会が多いのは、それだけ日本のカスタマーがフェラーリのエリートカスタマーとして認められているということなのだ。
モータースポーツ文化が支える日本の地位
もちろん新車を購入してくれるからエリートなのではない。フェラーリはもともとレーシングから生まれた自動車ブランドである。そのフェラーリによるワンメイクレース「フェラーリチャレンジ」は、コロナ禍もあって、これまでアジアパシフィックとして開催されていたシリーズが、今年から日本単独の開催になった。
果たして1年目から参加台数は20台を超え、大いに盛り上がり、来シーズンもさらなる発展が期待されている。そういったモータースポーツに対する理解や文化の熟成度が評価されているのだ。そして、いよいよフィナーリ・モンディアーリでは次期ワンメイクレースカーの『296チャレンジ』が発表される。
しかし、現実として支払い能力があっても、購入できないモデルが増えているときく。「たしかにわれわれにとって悩ましいのは、レーシングカーに限らず、お求めになるお客様に対して、台数が足らないということです」と嬉しい悩みを吐露した。
認定中古車こそ新しいフェラーリの世界へのドア
「台数が少ないのはもともと“必要な台数よりも1台少なく生産する”方針だからです。そのような状況でどのようにフェラーリとお客様との関係を良好に保っていけるのか。例えば認定中古車がありますが、認定中古車のカスタマーもフェラーリから見たらすべて大切なお客様です。オーナーであることに違いはありません。認定中古車は新しいフェラーリの世界のドアなのです」とロマニエッロ社長。
最後に「お客様はそれぞれに様々なライフスタイルを持っています。タキシードを着てパーティに行ったり、Tシャツを着てランニングに行ったり、クラシック音楽が重要だったりします。フェラーリであれば、パーティに乗っていくこともできますし、サーキット走行をすることもできます。もちろん古いクラシック・フェラーリを紹介することもできます。フェラーリには様々な楽しみ方があるのです」とユーモアを交えて締め括った。