最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』公開を記念!

007シリーズ、歴代ボンドカーのベースカーを徹底調査! 価格上昇率トップ10を発表

007シリーズの撮影で使用された車両を徹底調査! 歴代ボンドカー価格上昇トップ10台を発表
007シリーズの撮影で使用された車両を徹底調査! 歴代ボンドカー価格上昇トップ10台を発表
ヒストリックカー向けの車両保険を展開する、アメリカのハガティ(Hagerty)社は、スパイアクションムービー『007』シリーズに登場した車両の価格が、大幅に上昇していることを明らかにした。今回、ベースモデルの販売当時の価格から、どれくらい上昇したのかを調査し、そのトップ10を公開した。

ヒストリックカー向け保険会社ハガティが価格を調査

007シリーズの撮影で使用された車両を徹底調査! 歴代ボンドカー価格上昇トップ10台を発表
最新作の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の公開を記念し、保険会社のハガティがボンドカーの価格上昇率を調査した。

今回、保険会社のハガティは最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の公開を記念し、ボンド・ムービーに登場したことでその価値を大幅に上げた車両ベスト10を発表した。

ハガティの車両査定アナリストは、007シリーズの製作に使用されたボンドカーの価値を、ベースモデルの販売当時の価格と比較。その結果、ジェームズ・ボンド作品に使用された車両の価格は平均して1000%以上も上昇し、クルマによっては5000%近くも高い価値を持っていることが明らかになった。

ハガティは、毎年何千ものオークション、ディーラーの取引、個人売買をモニタリングしているため、同じモデルの標準的な平均販売価格と、映画製作に使用された車両の販売価格を比較することを可能としている。当時の為替レートを使って価格を換算し、その年の「ハガティ・プライス・ガイド」の値と比較した。記録が始まる前に販売された車両については、現代の販売リストやその他の評価資料を用いて価値を算出している。

10位:1971年式フォード マスタング マッハ1(007/ダイヤモンドは永遠に)

007シリーズの撮影で使用された車両を徹底調査! 歴代ボンドカー価格上昇トップ10台を発表
第7作目『ダイヤモンドは永遠に』において、ジル・セント・ジョンが演ずるティファニーがドライブした、フォード マスタング マッハ1。

販売年:2004年ハガティ標準価格:9200ポンド、ボンドカー価格:1万2650ポンド 、ボンドプレミアム:37.5%アップ。

ティファニー・ケイスがドライブする赤いフォード マスタング マッハ1は、1971年の映画『007/ダイヤモンドは永遠に(Diamonds Are Forever)』に登場。確かに視覚的なインパクトはあったが、2004年にバレット・ジャクソンがオークションに出品した際、最低入札額の2万3000ドル(1万2650ポンド)に届かず、買い手に熱狂を呼ぶことができなかった。

当時の標準的な価値より37.5%も高かったものの、販売が不発に終わったことでリストの最下位に甘んじることになった。

9位:1991年式メルセデス・ベンツ 190E(007/ノー・タイム・トゥ・ダイ

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最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』で使用されたメルセデス・ベンツ 190Eは、ボンドカーとして扱われていないにもかかわらず、38%も上昇した。

販売年:2021年、ハガティ標準価格:6500ポンド、ボンドカー価格:8991ポンド 、ボンドプレミアム:38%アップ。

このメルセデス・ベンツ 190Eは、現在中古車販売サイト「Car and Classic」で販売中。現在公開中のシリーズ最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(No Time To Die)』で使用された。予告編にも登場していない上、映画の中で大きな役割を果たしていないにもかかわらず、車両価格は普通のクルマよりも40%近くも高くなっている。

8位:1937年式ベントレー 4 1/4リッター ガーニー・ナッツィン(ネバーセイ・ネバーアゲイン)

007シリーズの撮影で使用された車両を徹底調査! 歴代ボンドカー価格上昇トップ10台を発表
ベントレー 4 1/4リッター ガーニー・ナッツィンは、ショーン・コネリーが一度きりの約束でジェームズ・ボンドを再び演じた『ネバーセイ・ネバーアゲイン』に登場した。

販売年:2010年、ハガティ標準価格:13万3300ポンド、ボンドカー価格:22万1500ポンド 、ボンドプレミアム:66%アップ。

他のナンバリングタイトルとは異なり、イオン・プロダクションが制作に携わっていないボンドムービー『ネバーセイ・ネバーアゲイン(Never Say Never Again)』は、ショーン・コネリー主演で1983年に公開。ジェームズ・ボンドは、このクラシカルなベントレーを数シーンでドライブした。

2004年9月、ボナムズ・オークションにおいて18万8500ポンドで落札。それから6年後、再びオークション会場に戻ってきたこのクルマは、さらに価格を上げて22万1500ポンドで落札された。ちなみにこの車両、1980年代の人気テレビドラマ『私立探偵マグナム』にも登場している。

7位:1969年式アストンマーティン DBS-6(女王陛下の007)

007シリーズの撮影で使用された車両を徹底調査! 歴代ボンドカー価格上昇トップ10台を発表
作中での活躍は少ないものの、『女王陛下の007』にボンドカーとして登場するアストンマーティン DBS。現在もオーストラリアのオーナーが所有している。

販売年:1978年、ハガティ標準価格:3050ポンド、ボンドカー価格:8991ポンド 、ボンドプレミアム:182%アップ。

1969年にシリーズ第6作として公開された『女王陛下の007(On Her Majesty’s Secret Service)』は、ジョージ・レーゼンビー唯一の主演作。ボンドが唯一結婚したことでも知られている一作には、グリーンのボディカラーのアストンマーティン DBSがボンドカーとして登場する。

このDBSは撮影後にオーストラリアへと輸出され、1978年に現在のオーナーのシジ・ジドジウナス氏に売却された。彼はオーストラリアのABCニュースでのインタビューにおいて、「映画に登場した車両として新聞に広告が出ていたのですが、当時の私はまったく信じていませんでした(笑)」とコメント。彼は広告で1万4950豪州ドルとされていたこのDBSを、1万4200豪州ドルにまで値切ったという。

6位:2008年式アストンマーティン DBS V12(007/慰めの報酬)

007シリーズの撮影で使用された車両を徹底調査! 歴代ボンドカー価格上昇トップ10台を発表
『007/慰めの報酬』の撮影に使用されたことで、大きなダメージを負っていたアストンマーティン DBSだったが、その撮影の痕跡が逆に価値を高めたようだ。

販売年:2012年、ハガティ標準価格:7万ポンド、ボンドカー価格:24万1250ポンド 、ボンドプレミアム:245%アップ。

ダニエル・クレイグ主演2作目、通算22作目として2008年に公開された『007/慰めの報酬(Quantum of Solace)』。このアストンマーチン DBSは、撮影に使用された7台のうちの1台となる。

クリスティーズ・オークションは「コレクターズアイテム」として販売。購入希望者に対して、公道走行可能な車に戻すための「すべてのテストや修理、その他の法的に必要な手続き」は購入者が行うと注意書きを添えていた。この警告にもかかわらず、販売前の最低落札額である15万ポンドを大幅に上回り、24万1250ポンドで落札された。

5位:1969年式マーキュリー クーガー XR7(女王陛下の007)

007シリーズの撮影で使用された車両を徹底調査! 歴代ボンドカー価格上昇トップ10台を発表
劇中ではテレサの愛車として、オープイングのほか、スイスアルプスでのカーチェイスシーンにも登場したクーガー XR7。予想を大きく超える高値で落札されることになった。

販売年:2020年、ハガティ標準価格:5万5500ポンド、ボンドカー価格:36万5500ポンド 、ボンドプレミアム:559%アップ。

先に登場したDBSと同様に『女王陛下の007』に登場したマーキュリー クーガー XR7は、劇中でボンドと結婚するテレサ・ディ・ヴィンセンゾ(ダイアナ・リグ)がドライブ。撮影に使用されたとされる4台のクーガーのうちの1台であるこのクルマは、2020年12月16日にロンドンで開催されたボナムズ・ボンド・ストリート・セールに出品。事前予想の10万ポンドから25万ポンドも上回る、36万5500ポンドで落札された。

4位:1965年式アストンマーティン DB5(007/ゴールドフィンガー・007/サンダーボール作戦)

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ボンドカーの代名詞、Qによって様々な改造が施されたアストンマーティン DB5は、638万ドル(約7億円)で落札された。歴代ボンドカー最高額であることは間違いないが、今回のランキングは上昇率のため、4位に留まった。

販売年:2019年、ハガティ標準価格:61万6550ポンド、ボンドカー価格:467万7850ポンド 、ボンドプレミアム:759%アップ。

RMサザビーズが2019年のオークションに出品した際「世界で最も有名なクルマ」と謳われた、ボンドカーを象徴する1台。制作のイーオン・プロダクションズが『007/サンダーボール作戦』の撮影ために購入した2台のうちの1台で、その後、『007/ゴールドフィンガー』のためにQ仕様に改造された。正真正銘の本物のボンドカーは638万ドル(約4億6700万ポンド )で落札され、標準的なDB5と比較して759%もの上昇率を記録した。

さらに第17作『ゴールデンアイ』の撮影でスタントカーとして使用されたDB5が、2018年にボナムズに出品されたが、標準モデルの3倍強の価格、196万1500ポンドで落札されている。

3位:2014年式ランドローバー ディフェンダー 110 (007 スペクター)

007シリーズの撮影で使用された車両を徹底調査! 歴代ボンドカー価格上昇トップ10台を発表
『007 スペクター』のためにランドローバー ディフェンダーは10台が製作されており、3台が撮影中に損壊。オークションに出品されたのは現存する7台のうちの1台だ。

販売年:2018年、ハガティ標準価格:3万5200ポンド、ボンドカー価格:36万5000ポンド 、ボンドプレミアム:937%アップ。

2017年末、『007 スペクター(Spectre)』の撮影で使用されたランドローバー ディフェンダー 110 ダブルキャブ SVXがRMサザビーズのオークションに出品され、23万ポンドで落札。翌年7月にはボナムズのオークションにおいて、36万5000ポンドとさらに価格を上げて落札された。

先代ディフェンダーの生産は2016年に終了していたが、2018年にランドローバーは70周年を記念したスペシャルモデルを短期間再生産することを発表しており、言わば完璧なタイミングでオークションに出されたと言えるだろう。

2位:1974年式AMC ホーネット(007 黄金銃を持つ男)

007シリーズの撮影で使用された車両を徹底調査! 歴代ボンドカー価格上昇トップ10台を発表
一見平凡なAMC ホーネットだが、『007 黄金銃を持つ男』で披露されたビッグジャンプにより、シリーズ屈指のエポックな1台となった。

販売年:2017年、ハガティ標準価格:5200ポンド、ボンドカー価格:8万9105ポンド 、ボンドプレミアム:1614%アップ。

1974年に公開されたシリーズ第9作『007 黄金銃を持つ男(The Man with the Golden Gun)』のなかで、ロジャー・ムーア演じるジェームズ・ボンドが披露したビッグジャンプは、シリーズ屈指のアクションとして知られている。

この時に使用されたAMC ホーネットは、米国版ハガティ・プライス・ガイドに掲載されていないほど平凡なクーペ。実際に撮影で使用されたこの車両は、撮影時のままのコンデイションに維持され、2017年にインディアナ州オーバーンで開催されたRMサザビーズのオークションで、11万ドル(8万9105ポンド)で落札されている。

1位:1977年式ロータス エスプリ S1 潜水仕様(007/私を愛したスパイ)

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ベースモデルからの最も高い上昇率を記録したのは、潜水艇に変形という数あるボンドカーでも最も凝ったギミックを持って登場したロータス エスプリ S1だった。

販売年:2013年、ヘガティ標準価格:1万2300ポンド、ボンドカー価格:61万6000ポンド 、ボンドプレミアム:4908%アップ。

1977年に第10作として公開された『私を愛したスパイ(The Spy Who Loved Me)』に登場したロータス エスプリS1、通称ウェット・ネリー(Wet Nellie)は、劇中でビーチからそのまま海へと潜り、潜水艇に変形したことで一躍有名になった。

撮影で使用されたエスプリは撮影後に一時行方不明になっていたが、1989年にニューヨークの倉庫で発見。2013年に開催されたRMサザビーズのロンドン・オークションでは、61万6000ポンドで落札されている。ちなみに潜水艇の状態であるため、もちろん公道走行はできない。

他にも2台のボンドカーがオークションに出品されたことはあるが、どちらも市販モデルとして販売されていないため、今回のランキングから外れされている。どちらの車両も『007 スペクター』に登場。ローマの街中でカーチェイスを繰り広げた「アストンマーティン DB10」は2016年にクリスティーズにおいて、234万4500ポンドで落札された。

一方、2019年に行われたRMサザビーズのアブダビのオークションでは、悪役のMr. ヒンクスがドライブした「ジャガー C-X75」が出品されたものの、80万ドルの最低落札価格には届かなかった。

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ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…