ど真ん中のアッパーミディアム「メルセデス・ベンツ Eクラス ステーションワゴン」に試乗

「メルセデス・ベンツ Eクラス」に試乗で自他共に認めるど真ん中のアッパーミディアムステーションワゴンを堪能

6代目に当たるW214型メルセデス・ベンツEクラス ステーションワゴン。
6代目に当たるW214型メルセデス・ベンツEクラス ステーションワゴン。
年初の東京オートサロンで発表された新型メルセデス・ベンツEクラス。 先月号ではE350eセダンの試乗記をお届けしたが、 今号では同時にフルモデルチェンジしたステーションワゴンを取り上げる。かつて「理想のステーションワゴン」と称された名車の進化とは、果たして。(GENROQ 2024年5月号より転載・再構成)

Mercedes-Benz E 220 d Stationwagon

定番アッパーミディアムステーションワゴン

2960mmのホイールベースは先代比+20mm。試乗車はスポーティなエアロバンパー等を含むAMGラインパッケージ(50.4万円)装着車だ。
2960mmのホイールベースは先代比+20mm。試乗車はスポーティなエアロバンパー等を含むAMGラインパッケージ(50.4万円)装着車だ。

あのメルセデス・ベンツですら昨年の国内販売の半分がSUVだったという(2023年の販売台数は5万1238台)。それでも“ベンツ”と聞いて思い浮かべるのは依然としてC/E/Sクラスのセダンではないだろうか。そのど真ん中、自他共に認める定番アッパーミディアムセダンおよびステーションワゴンのEクラスがモデルチェンジした。新型W214型は今も根強い人気があるW124型Eクラス(途中からEクラスを名乗った)から数えて6代目に当たるという。

新型Eクラスの日本仕様は3種類のパワートレインでスタートする。2.0リッター4気筒ガソリンターボの「E200」、同じくディーゼルターボの「E220d」、2.0リッターガソリンエンジンにモーターを加えたPHVの「E350e」がそれで、PHV以外はセダンとステーションワゴンが最初から用意されている。またE200とE220dもトランスミッションにISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)を内蔵するので、新型Eクラスはすべてが電動化モデルということになる。ここではその中からE220dステーションワゴンを取り上げる。

先進性が際立つインテリア

今回のモデルチェンジでもボディはわずかに大きくなり、全長×全幅×全高は4960×1880×1470mmと先代に比べてそれぞれ5mm、30mm、5mm拡大したが、それでもぎりぎり全長5mと全幅2m以内に収まっている。BEVであるEQシリーズのモチーフを取り入れたフロントグリルやスリーポインテッドスターが光るテールランプは新しいが、ロングノーズでキャビンが後方に寄った全体的なプロポーションは誰が見ても間違いようがないメルセデスの王道スタイルである。2.0リッターディーゼルターボのスペックは145kW(197PS)/3600rpm、440Nm/1800~2800rpmとほぼ従来通りだが、ISGのモーター出力は15‌kWから17‌kWに若干強化されているという。そのせいか動き出しは身軽で非常に扱いやすい。トップエンドでのパンチはそれほどではないものの、実用域では豊かなトルクのおかげでまったく不足を感じることはないはずだ。

それ以上に新型Eクラスの先進性が際立つのがインテリアだ。センター部から助手席側までつながるディスプレイは「MBUXスーパースクリーン」と称するもので、第3世代のMBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザーエクスペリエンス)システムを内蔵しているという。何とダッシュ上部のセルフィー&ビデオカメラでZOOM会議もできるらしい。また新型Eクラスは新しい車載オペレーティングシステムのMB・OSを搭載しており(まだ部分的だというが)、メルセデス純正以外のアプリにも対応。そういう時代か、としみじみ思うと同時に、保守的と見られがちなメルセデスの中核モデルがいち早く先鞭をつけた事実に身震いする。

期待通りの落ち着きを見せる高速走行

ちなみにスーパースクリーンとセルフィーカメラはデジタルインテリア・パッケージに含まれるオプションで、レザーエクスクルーシブパッケージと同時装着する必要があるのでおよそ120万円もするが、“進んでる”ユーザーにはぜひ体感してほしい。また、これまでは「ハイ、メルセデス」と呼び掛けて起動しなければならなかった音声アシスタントは単に「窓を開けて」などと言うだけで応えてくれる。もちろん、ドライバーだけが乗っているかどうかを判断するセンサー付きだ。

コンベンショナルなサスペンションを備えるE220dは下ろし立ての新車だったこともあって、ややフラット感に欠ける乗り心地だったが(エアマチック・サスペンションや後輪操舵はE350eのみオプション)、高速道路では期待通りの落ち着きを取り戻した。太鼓判を押すほど(またすべての機能を試すほど)十分に試乗できていないが、今後バリエーションが増えていくはずなので、焦らずにじっくり仕様と装備を見きわめたい、と思う。

REPORT/高平高輝(Koki TAKAHIRA)
PHOTO/篠原晃一(Koichi SHINOHARA)
MAGAZINE/GENROQ 2024年 5月号

SPECIFICATIONS

メルセデス・ベンツ E 220 d ステーションワゴン・アバンギャルド

ボディサイズ:全長4960 全幅1880 全高1470mm
ホイールベース:2960mm
車両重量:1930kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1992cc
最高出力:145kW(197PS)/3600rpm
最大トルク:440Nm(44.9kgm)/1800-2800rpm
トランスミッション:9速AT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前4リンク 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(リム幅):前後225/55R18(8.0J)
車両本体価格:955万円

【問い合わせ】
メルセデス・コール
TEL 0120-190-610
https://www.mercedes-benz.co.jp/

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著者プロフィール

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高平高輝

モータージャーナリスト。カーグラフィック(CG)編集部に所属し、CG副編集長、NAVI編集長、カーグラフィ…