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BRABUS Based on PORSCHE 911 Turbo S
仕上がりの美しさが際立つドライカーボンパーツ
とうとう、ブラバス・ポルシェ日本第1号車にお目にかかる機会が訪れた。ボンネットに刻まれた新しいロゴ、リヤガーニッシュに輝く紅のエンブレム。たとえそれらがなかったとしても、正真正銘のブラバス・コンプリートポルシェであることがビシビシと伝わってくる。圧巻のオーラをまとっていた。
どんなパーツが装着されているのか、目を凝らす必要はまったくない。太陽に照らされて燦然たる光を放つカーボンパーツは、ひと目ですぐにそれと分かる。もちろんドライカーボン製、どんなに小さなパーツでも美しく規則正しく揃っているカーボンの織目。それに加えてボンドの職人による丁寧なクリア塗装も手伝って、より輝いている。余談になるが、パーツの下地があまりよくない場合は補強も兼ねて何度もクリア塗装を重ねる必要があるそうだが、さすがブラバス、1度塗りで十分という高品質なのだそうだ。フロントエアロは少し前にせり出す形状で、ノーマル車高のままなのに車体を低く見せている。ダクトアドオンパーツの立体感も相まって、どっしりと落ち着いた表情を演出しているように思う。まるでポルシェの純正バンパーのように見えるところに、ブラバスの妙技が隠れている。
リヤに取り付けられたウイングやディフューザーを見てもそれがよく分かる。存在感は抜群にあるのに、けっして仰々しくは見せない完璧なバランスが美しい。以前ブラバスのマネージャーから聞いた言葉を思い出した。
「我々はそれぞれのブランドにあるDNAを生かしながら、最適な息吹をクルマに吹き込む」
ポルシェの世界観に合わせながら、己の色も魅せる。そこにブラバスの真価があるのだと思う。
細部にも光るブラバスのセンス
インコネル製のマフラーもブラバスオリジナルテールカバーの形状も遊び心があるユニークなデザインで彩られている。エンジンをかけると、少し乾きを伴う快音が地面を震わせたのでゾクゾクした。そのまますっと走り出して滑らかに走り、また私の目の前に戻ってきてピタッと停まった。ひとつひとつの動きに目が奪われてしまうのは、クルマ好きならではなのか。鍛造モノブロックホイールも、そこからのぞく赤いキャリパーもよいアクセントになっている。最近はブラバスのロゴが抜き文字で描かれるのが流行りだそうだ。全方位どこから見ても完成度の高いザ・オトナポルシェに仕上がっている。
ブラバスの洗練されたデザインや最高品質があるゆえの仕上がりだが、この魅力を最大限に活かすためにはボンドのコーディネート術や職人のキメ細かな作業が欠かせない。ブラバスからは小さなパーツひとつでも詳細な説明書と作業手順書が送られてくるそうだ。そうすることで本国クオリティが全世界で保たれる。一度でいいからこんなカスタムをお願いしてみたいものだ。先立つものさえあれば……と思いながら取材を終えた。
REPORT/上之園真以(Mai AGENOSONO)
PHOTO/真壁敦史(Atsushi MAKABE)
MAGAZINE/GENROQ 2024年 8月号
【問い合わせ】
ラガーコーポレーション
TEL 048-845-0808
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【取材協力】
ホソカワコーポレーション
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