パワー&トルクを上乗せしたゴーストの“ダークサイド”

ロールス・ロイス新型ゴーストにブラック・バッジ登場! 自動車業界で最もダークなブラック

ロールス・ロイス ゴースト ブラック・バッジ仕様のフロントビュー
ロールス・ロイス ゴースト ブラック・バッジ仕様のフロントビュー。
ロールス・ロイスは2021年10月28日、新型ゴーストに“ブラック・バッジ”シリーズを追加すると発表。6.75リッターV12ツインターボエンジンを600ps/900Nmまで強化するとともに、各部に黒を基調としたスポーティな衣装をまとわせることで、より迫力を増した仕立てとした。

Rolls-Royce Black Badge Ghost

“黒い衣装”をまとったスポーティなロールス・ロイス

ロールス・ロイス ゴースト ブラック・バッジ仕様の正面ビュー
ロールス・ロイスは2021年10月28日、新型ゴーストに“ブラック・バッジ”仕様を追加すると発表した。ブラックバッジは、ロールス・ロイス全体の受注で27%を占める人気シリーズとなっている。

ロールス・ロイスが2020年9月に発表した2代目「ゴースト」に、いよいよ注目の仕様である“ブラック・バッジ”シリーズが誕生した。

“ブラック・バッジ”シリーズは、黒基調の衣装とスポーティな乗り味を採用する「ドライバー・オリエンテッド(ドライバーが主役)なロールス・ロイス」という意外性のあるメッセージと共に登場。パンテオングリルやスピリット・オブ・エクスタシーまでがブラック仕上げとなるダークな雰囲気が高い注目を集め、いまやロールス・ロイス全体で受注の27%を占める人気のシリーズとなっている。

存在感を主張するV12ツインターボエンジン

ロールス・ロイス ゴースト ブラックバッジ仕様のサイドビュー
ロールス・ロイス ゴーストのブラック・バッジ仕様は、600ps(ベースモデル比+29ps)/900Nm(同+50Nm)のV12ツインターボを搭載。足元には専用デザインの21インチホイールを装着する。

新型ゴーストのブラック・バッジ仕様は、ベース比で+29ps/+50Nmアップした600ps/900Nmの6.75リッターV型12気筒ツインターボユニットを搭載。力強さを増した心臓部に合わせてZF製8速ATやスロットル特性にもチューンを加えており、0-100km/h加速は4.7秒を謳う。

1700rpmという低回転域から最大トルクの900Nmを発生するV12の迫力は、「Lowモード」スイッチを押すことでより一層際立つ。Lowモードは、ロールス・ロイスにおける“スポーツモード”といえるもので、同モードをONにするとエキゾーストサウンドは勇ましさを増す。さらに、スロットルを90%まで踏み込んだときの変速スピードが50%アップするなど、レスポンスもよりシャープに変化。ロールス・ロイスといえば、エンジンは必要以上に存在感を主張することなく黒子に徹するのが常だったが、ブラック・バッジシリーズにはその公式はあてはまらない。

パワフルな走りにあわせてブレーキシステムも強化。ペダルストロークも短くすることで、“効き”のポイントを早めに設定している。ちなみに、キャリパーの塗装もブラック・バッジ仕様専用となっている。

職人が4人がかりで磨き上げる漆黒の塗面

ロールス・ロイス ゴースト ブラック・バッジ仕様のリヤシート
ロールス・ロイス ゴースト ブラック・バッジ仕様のリヤシート。シートの間にはブラックバッジのアイコンである「レムニスケート(連珠形)」アイコンが施されている。

ブラック・バッジの外装色には、ロールス・ロイスの通例通り4万4000通りのパレットから選ぶことも、個別のビスポークカラーを注文することもできる。とはいえ、多くの顧客はやはり同シリーズを象徴する黒を選択するそうだ。このブラックの塗装は「自動車業界で最もダーク」であることを目指したもので、まさしく“漆黒”と呼ぶに相応しいもの。

まるで最高峰のグランドピアノのような、ぽってりと厚くいまにもとろけ出しそうな塗装面は、45kgもの塗料を霧状にしてホワイトボディに電着塗装し、高温乾燥したうえで2層のクリアコートを施し、さらに4人の職人によって手作業で磨き上げるというプロセスを経てようやく完成する。

グリルとマスコットもダークな仕上げに

ロールス・ロイス ゴースト ブラック・バッジ仕様のボンネット
ロールス・ロイス ゴースト ブラック・バッジ仕様は、ボンネット上に鎮座するスピリット オブ エクスタシーもダーク仕立てとなっている。

かくも黒にこだわるブラック・バッジシリーズとあり、パンテオングリルとスピリット・オブ・エクスタシーというロールス・ロイスの代名詞といえるアイコンも、ダーククローム仕上げとなっている。やはりこちらもボディパネル同様、最終的には職人の手によって鏡面になるまで徹底的に磨き上げられている。

足元にはカーボンファイバー構造を最大限に活かしたデザインの専用ホイールを装着。3D鍛造アルミニウム製ハブは、航空宇宙産業グレードのチタンを使用したファスナーでリムに固定されている。もちろんハブキャップは、タイヤが回転しても常にRRのモノグラムが直立するフローティング機構である。

無限大のパワーを示すアイコンも

ロールス・ロイス ゴースト ブラックバッジ仕様のフェイシア
ロールス・ロイス ゴーストのブラック・バッジ仕様は、キャビンも黒基調。ダッシュボードには、カーボンとウッド、さらにメタルコーティングした糸の織り地という3つの層を組み合わせた加飾パネルを使っている。

ロールス・ロイスのキャビンといえば磨き上げられた銀細工さながらの光沢部品が各部に散りばめられているのが通例だが、ブラック・バッジシリーズは当然ここもダーク仕様になっている。ダッシュボードやエアコンルーバー周りはもちろん、伝統的な車載時計さえ黒基調。ちなみに加飾パネルも、ウッドとカーボン、さらにメタルコーティングした糸の織り地を手作業で組み合わせた非常に凝った仕上げとなっている。

リヤシートのシャンパンクーラー部は、ふたの部分に航空宇宙産業グレードのアルミニウムを使用。シート中央部にあしらわれたレムニスケート(連珠形)はブラック・バッジの溢れ出るパワーを象徴する記号であり、かつてマルコム・キャンベル卿が水上速度記録を樹立したロールス・ロイス製エンジン搭載パワーボード「ブルーバード K3」の船体に描かれていたもの。すなわち、ロールス・ロイスの原動機が秘めた無限大のパワーを意味するアイコンである。

発表から12ヵ月で3500台のビッグヒット

ロールス・ロイス ゴースト ブラック・バッジ仕様のリヤビュー
ロールス・ロイス ゴースト ブラック・バッジ仕様は2021年10月28日より予約注文の受付をスタートしている。

2020年9月にデビューしたゴーストは、現行ファントム(BMW以前の本家ロールス・ロイス時代から数えると8世代目)やカリナンに続き、オールアルミの最新スペースフレーム構造「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」を採用。「ロールス・ロイス史上もっとも技術的に進歩したモデル」と謳うとおり、初の4輪操舵システムや、キャビンの粒子やバクテリアのほとんどを2分以内に除去する空気ろ過機能、パワーアシスト付きリヤドア、路面スキャンなどを用いた緻密な制御により姿勢を常にフラットに保つ「プラナー・サスペンションシステム」などを満載している。

これまでロールス・ロイスといえば、リヤシートが主役というイメージだったが、真のドライバーズカーとして開発された新型ゴーストは、運転席こそがドライバーにとってのスイートルームといえるのだ。新しい時代のロールス・ロイスを象徴する1台ともいえるゴーストは、発売から12ヵ月で3500台超というビッグヒットを記録。「ロールス・ロイス史上、最も急速に売れたクルマ」の1台となっている。ドライバーズカーとしての魅力を一層アップするブラック・バッジシリーズの追加により、この勢いは一層加速することになりそうだ。

【SPECIFICATIONS】
ロールス・ロイス ブラック・バッジ ゴースト
ボディサイズ:全長5546 全幅2148 全高1571mm
ホイールベース:3295mm
車両重量:2490kg
エンジン:V型12気筒DOHC48バルブツインターボ
総排気量:6748cc
最高出力:441kW(600ps)/5000rpm
最大トルク:900Nm/1700-4250rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン/エアスプリング 後5リンク/エアスプリング
0-100km/h加速:4.7秒
最高速度:250km/h

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著者プロフィール

三代やよい 近影

三代やよい

東京生まれ。青山学院女子短期大学英米文学科卒業後、自動車メーカー広報部勤務。編集プロダクション…