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「昭和レトロな世界展」で1970年代の一大ブームが蘇る
東京、池袋の東武百貨店池袋本店は、今年が開店60周年だった。それを記念して開催された催事が、「昭和レトロな世界展」と呼ばれるもので、これは昭和時代を多感な若い時代に生きた少年や少女が、今もこの時代に興味を抱き、当時のアイテムに人気が集まっていることに注目して開催が決定したものだ。
催事場内には昭和の時代を彩ったさまざまなアイテム、あるいは老舗和風居酒屋が特別に作った、映画『劇場版 おいしい給食 卒業』とのタイアップとなる学校給食などのイートイン・スペースも設けられ、またいたるところにこの映画撮影で使用された懐かしい机と椅子も、商品をディスプレイするために並べられていた。
さて昭和レトロな世界といえば、やはり今40代から50代となった当時の少年にとって忘れられないのは、やはり1970年代半ばに日本中を巻き込んだ、あのスーパーカー・ブームだろう。
昭和レトロを象徴する「スーパーカー・ブーム」
大人になって事実を知れば、日本でこのブームが頂点を迎えた時、すでにランボルギーニは慢性的な経営不振からイタリアの政府管理下に置かれる状態にあり、またフェラーリとてその状態はけして思わしくはなかったのだが、日本にはそこまでの情報が届く余地などなかった。
それよりも毎週「週刊ジャンプ」に掲載される、池沢さとし(当時。現在のペンネームは池沢早人師)氏の『サーキットの狼』のストーリーがどう展開するかの方が興味の対象だったのである。
そのような中で、スーパーカーに関する玩具もたくさん登場した。今回東武百貨店の催事場には、ランボルギーニ カウンタック、ミウラ、トヨタ2000GTの実車も登場。その周囲を取り囲んで写真を撮影する姿は、まさにスーパーカー・ブームの時代、そのものにタイムスリップしたかのような光景だった。
現代の技術でスーパーカー消しゴムが蘇る
そしてスーパーカーのファンにとって、また1970年代当時にスーパーカーにハマったファンにとって、どうしても見逃せない逸品だったのが、先日GGF-Tから発売されたいわゆる「スーパーカー消しゴム」。
1970年代のスーパーカー消しゴムは、某玩具メーカーによるものだったが、消しゴムとはいえその機能は一切なかった。その造形も一応は判別がつくものの、それはカウンタックやBBなど、いわゆる有名どころのみで、コアなモデルになるとそれが何なのかよくわからなかったことも覚えている。
遊び方もさまざまだ。だいたいはノック部分が平面な、これもまた某社のボールペンを用い、その中のスプリングも強化。ワンプッシュでどれだけ遠くにスーパーカー消しゴムを飛ばすことができるのかに始まり、机の上から相手を落としたら、それを取り上げることができるなどという緊張のマッチもあった。
当時の遊び方も現代流にブラッシュアップ
スーパーカー消しゴム側のチューニングも子供なりに凝っていた。タイヤの部分に抵抗を小さくするために接着剤を塗ったり、ホチキスを埋め込んだりというのが常套手段だったが、現代に復活したスーパーカー消しゴムは、きちんとプラスチック製のマウントが底面に付いている。そしてそのモデルの精密さ自体も、1970年代のものとは比較にならないほどのレベルなのだ。
第一弾として発売されたのは、1970年代のスーパーカー・ブームでも人気を誇ったランボルギーニ イオタやミウラ P400 SV、ウラッコ P250S、カウンタック LP400S、そして後に誕生したカウンタック アニバーサリー。
第二弾ではデ・トマソのGFGスタイル ダラーラ、パンテーラ GTS、マングスタのほか、GFGスタイルのカンガルー、ダラーラのストラダーレといった趣味性の強いモデルが出揃っている。
スーパーカー評論の第一人者・山崎元裕氏も絶賛の出来栄え
そして最新の第3弾はマセラティがテーマ。ボーラを筆頭にメラク SS、ギブリ、MC20が揃う。ちなみに以上のモデルはすべてメーカーのライセンスを取得済み。これらのスーパーカー消しゴムを弾いて遊ぶためのブースターペンも同時に発売されているが、V型12気筒エンジンを模したそのデザインは、こちらもまたスーパーカー・ファンにはたまらないものがある。
今やスーパーカーを超えるハイパーカーが電気の力を借りて続々と誕生する時代だが、やはり昭和のスーパーカーの魅力は変わることはない。それを現代へと伝えてくれるのが、このスーパーカー消しゴムなのだろう。
REPORT/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)
PHOTO/入江大輔(Daisuke IRIE)
【関連リンク】
・GGF-T公式サイト
http://www.ggf-t.jp