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Lamborghini Centenario
約2憶2000万円の超高額モデルながら即完売
チェンテナリオは、ランボルギーニの創始者であるフェルッチオ・ランボルギーニの生誕100周年を記念して、2016年のジュネーブ・ショーで発表された限定車だ。20台のクーペと、同じく20台のロードスターが生産されるとのインフォメーションがあったが、すでにこの段階でそのすべてにはオーナーが決定しているという発表も同時にあった。
ちなみにそのプライスは175万ユーロ。当時のレートで約2億2000万円という、まさにスーパーリッチのための限定車だが、それが即座に完売するあたりに、ここ最近のランボルギーニの成長、そしてプレミアム・ブランドとしての地位が確立されたことを感じた。
アヴェンタドールSをベースにカーボンボディパネルで武装
チェンテナリオのデザインで最も強いインパクトがあるのは、やはり前後セクションのディテールだろうか。フロントのボンネットには巨大なエアアウトレットが左右ツインで設けられており、フロントのバンパースポイラーから導入されたエアがここから排出されるプロセスにおいても、大きなダウンフォースの発生を狙っている。前後フェンダーの張り出しを強調した、個性的なボディサイドのフィニッシュもまた印象的で、それはランボルギーニでなければ実現することのできない斬新なデザインであるとも思える。
リヤのディフューザーも相当に大きなサイズで、これによって走行中のダウンフォースを最大効率で得ることが可能になった。さらにテールエンドには可変式のリヤウイングが装備され、ドライバーがコクピットから選択した走行モードや車速などの条件によって、最大で150mmまでライズアップするほか、ウイング面も15度まで回転する。テールランプはボディの左右を貫くかのようなデザイン。両端は現代のランボルギーニではお馴染みのY字型のモチーフが採用されている。
770PSを発生する6.5リッターV12を搭載
このきわめて革新的で高性能なボディやモノコックは、もちろんランボルギーニ自慢のカーボンファイバーで成型されている。ステファン・ヴィンケルマン氏がCEOであった時代のランボルギーニは、カーボン製品の研究開発、そして生産においても世界をリードする会社のひとつに成長したが、その技術的なノウハウはこのチェンテナリオにも惜しみなく導入されている。参考までにチェンテナリオの乾燥重量はわずかに1520kg。モノコックの捻じり剛性も3万5000Nm/度と、素晴らしい数字を達成している。
ミッドに搭載されるエンジンは、アヴェンタドールS用の6.5リッター版V型12気筒をベースとした770PS仕様。したがってパワー・ウエイト・レシオは1.97kg/PSという数字になる。トランスミッションは7速ISR、駆動方式は電子制御多板クラッチによるフルタイム4WDと、パワートレインの構成はアヴェンタドールSと変わらない。
数々の専用チューニングと特別装備を満載
プッシュロッド方式のサスペンションもアヴェンタドールに等しいが、ランボルギーニ・リヤホイール・ステアリング、すなわち後輪操舵のシステムが搭載されたのは大きな話題。磁性変化によって特性を瞬時に変化させる磁気粘性ダンパーや、ランボルギーニ・ダイナミック・ステアリングのセッティングも、もちろんチェンテナリオのために専用チューニングされたものだ。軽量なカーボンディスクを組み合わせるブレーキは、300km/hからわずか290mでの完全停止を可能とする。逆に0-300km/h加速は23.5秒という数字で、さらに最高速の350km/h以上までその力強い加速は続くという。
世界でわずか40名しか存在しないチェンテナリオのオーナーは、ランボルギーニにとってはもちろんVIPカスタマーにほかならない。そのようなVIPカスタマーに支えられ、そしてウルスのようにこれまでランボルギーニには興味を示さなかったカスタマーからも新たな支持を得たことで、ランボルギーニはアウディ傘下でまさに奇跡的な回復と成長を遂げた。チェンテナリオは、その一連の歴史を象徴するモデルといえるのではないか。
SPECIFICATIONS
ランボルギーニ チェンテナリオ ロードスター
発表:2016年
エンジン:V型12気筒DOHC48バルブ
総排気量:6498cc
圧縮比:11.8
エンジン最高出力:770PS
最大トルク:690Nm
トランスミッション:7速SCT
駆動方式:AWD
車両乾燥重量:1570kg
最高速度:350km/h
0→100kn/h加速:2.9秒
解説/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)