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2年ぶりのニュルブルクリンク
皆さん初めまして。トランジット エンジニアリング ジャパン(TEJ)の渡辺博人と申します。1990年からレースメカニックとしてスーパーフォーミュラ(当時F3000)、スーパーGT(当時グループA)を皮切りに活動を開始しました。2004年に訪れたニュルブルクリンク24時間レースで衝撃を受けて以降、ル・マン24時間レース、世界耐久選手権(WEC)などに参戦し、海外レース参戦をサポートするTEJを設立しました。
近年はドイツにも拠点を広げ、24時間レースを中心にVLN、RCNといったニュルブルクリンクで開催されるレースに自前のチームで参戦しております。これまでの海外レースの知識と経験を、モータースポーツに興味がある方へ提供・提案し、モータースポーツ活動についてご相談いただければ嬉しいと試行錯誤しております。
世界を大混乱させ、いまだに国をまたいだ往来を滞らせているCOVID-19ですが、徐々に海外渡航時に課せられる隔離期間も短くなってきました。ようやく渡欧のタイミングが訪れたので、今年のニュルブルクリンク24時間レースを視察してきました。
今年の24時間レースは参加者の目線で何が変わった?
久しぶりに訪れたニュルブルクリンク周辺は、以前訪れた時とまったく変わりありませんでした。逆に周辺のホテルや建物、ニュル城、近隣の住宅の屋根・外壁・庭木さらには道路にいたるまで綺麗に整備されていて驚きました。コロナ禍で経済活動がままならず、とは言え持てあました時間をしっかり有効に使い、来たるべき時に備えて準備したのが伺えます。
そんな中で開催されたニュルブルクリンク24時間レースですが、エントランスゲートでのクレデンシャルパスのチェックがバーコード読み取りからQRコードへと変わっていたり、車両通行証も同様に変更されていたりと小さな進化を遂げていました。
一方で参加したドライバー連中に言わせると、みんなコロナ禍のストレスを発散するかのように大荒れのレース展開であったそうです。今年はGT3などのハイクラスの参戦台数が増えたからか、はたまたコースが綺麗に整備された影響か、そもそもマシンの信頼性が高まったことなのか、いずれにせよ非常にレベルの高いレースになり、リスクを承知で戦うレース展開になっていました。悪く言えば潰すか潰されるかの危険な状態が随所で見られたのです。モータースポーツメディアのレースレポートではわからない現実がそこにはありました。
いろいろ寂しいことも
パドック裏はいつものごった返したイモ洗い状態ですが、その中を徘徊していて気が付いたことがひとつ。実は今年BMW Mの50周年記念と同時にメルセデスAMGの55周年記念なのですが、それぞれのブースは従来のサイズだったことです。とても残念! むしろ韓国メーカーなどはピットレーンなどまでいたるところにメーカーロゴを掲げて元気なこと!
エントラントもチームも減ったこともありますが、観戦するレースファンはもちろんどこか少ない感じです。パドックを見ても駐車台数、トレーラーやコンテナの数は控えめで、ビール瓶、タバコの吸殻などのゴミの量(クラッシュしたパーツ含む)も全体的に少ない印象でした。
個人的にもっともがっかりしたのは、SP3やVクラスなどの小排気量のプライベートチーム車両がとても少なかったことです。コロナだけではないようですが、全体的にプライベートのお祭り的ムードはかなり減った感じでした。
ニュル24時間レースの翌日にレーシングレンタカーでニュルブルクリンクを走ったので、次回はその印象をお届けしたいと思います。お楽しみに。
PHOTO&REPORT/渡辺博人(Hiroto WATANABE)
【問い合わせ】
トランジット エンジニアリング ジャパン(担当:渡辺)
http://www.transit-w.net