ディフェンダー110のディーゼルモデルの燃費は本当にいいのか?

人気SUVディフェンダー110のディーゼルモデルは燃費がいい? 665kmを走って本当のところを確かめた

今回燃費をテストしたランドローバー ディフェンダー110 X D300。3.0リッターディーゼルを搭載する110モデルの最高峰だ。
今回燃費をテストしたランドローバー ディフェンダー110 X D300。3.0リッターディーゼルを搭載する110モデルの最高峰だ。
電動化の波に押されて逆境の続くディーゼルモデル。大型モデルなら大トルクを活かした燃費に優れつつもスムーズな走りは大きな魅力である。ランドローバーの人気SUV「ディフェンダー110」のディーゼルモデルを665km走らせて、あらためてその実力を数値で評価した。

Landrover Defender 110 X 300D

今ディーゼルエンジンを選ぶならディフェンダー

全長4945mm、全幅1995mm。重量2430kgという巨体。それでいて燃費が10km/リットルを超えるのには驚いてしまう。
全長4945mm、全幅1995mm。重量2430kgという巨体。それでいて燃費が10km/リットルを超えるのには驚いてしまう。

SUVの中でも、クラシックな雰囲気を感じさせるヘビーデューティSUVといえば、メルセデス・ベンツGクラス、ジープ・ラングラー、そしてランドローバー・ディフェンダーだ。

この3台の中で、唯一ディーゼルエンジンが選べるのがディフェンダー。重量が重いSUVとトルクの大きなディーゼルエンジンは相性がいいのだが、ディーゼルエンジンのもうひとつの魅力は燃費の良さ。

そこで3.0リッター直列6気筒のディーエルエンジン(D300)を搭載したディフェンダー110で長距離ドライブを敢行、そのフィールと実燃費を確かめてみた。

ヘビーデューティでも快適な乗り心地

3.0リッターの直6ディーゼルエンジン。不快な振動や音はほとんどなく、ガソリンエンジンと遜色ない快適さだ。
3.0リッターの直6ディーゼルエンジン。不快な振動や音はほとんどなく、ガソリンエンジンと遜色ない快適さだ。

酷暑の8月に都内をスタートし、早速渋滞にハマる。ディーゼルの振動は僅かに感じるものの、意識しなければガソリンとの差はまったく気にならないほど。アイドリング近辺からの極太のトルクは低速での加減速を繰り返す都内では非常に扱いやすい。

都内を65kmほど走って首都高速の永福ICに到着した時点での燃費は6.6km/リットル。さすがに35℃での東京の渋滞は燃費には過酷な条件だったようだ。おそらくこれがディフェンダーD300の最悪燃費に近いのではないか。ちなみにエアコンは25℃に設定している。

高速道路でのディフェンダーD300は実に快適。アクセルを少し踏むだけで、2.4tのボディをグイグイと引っ張る。わずか1500rpmで650Nmを発揮するのだから、それも当然か。足まわりの滑らかさや洗練具合は新型レンジローバーには及ばない気はするが、それはグッドイヤーのオールテレインタイヤも影響しているはず。通常のタイヤであれば細かな突き上げはもっと穏やかになるだろう。いずれにしても、この手のSUVとしては十分に快適だ。

一般道でも良好な燃費

ところでこのD300には48Vシステムによるモーターが搭載されたマイルドハイブリッドだ。モーターの出力は18kW(24.5ps)、55Nm(5.6kgm)だが、正直その存在を感じ取ることはほぼない。モーターなしと乗り比べてみたらわかるくらいなのだろうか。あくまで黒子に徹するモーターだが、燃費向上に果たす役割は少なくないはずだ。

安曇野で中央高速を降り、松本、小諸、蓼科などを走る。一般道や峠などの山道を約200km走った結果、燃費は11.0km/リットルを記録した。これは高速道路を含まない一般道のみの数字。決して燃費運転を心がけたわけではなくそれなりのペースで走ったことを考えれば、悪くない数字だ。

そしてディフェンダーはあらゆる道で高級サルーンのように快適だが、車高が高い割にコーナーをハードに走っても姿勢が安定していることにも驚いた。エアサスの緻密な制御のおかげだろう。このように足がしなやかに動くには、ボディ剛性の高さも必要だ。

665kmを走って明らかになった燃費とは

帰りは諏訪湖から東京を目指す。距離にして約170kmの高速での燃費は13.7km/リットルだった。中央道の東京方面は全般に下り坂が多いので燃費は良くなる傾向があるが、それにしても立派な数字だ。なにしろ空気抵抗の多い真四角なボディに2.4tの巨体なのだから。

都内に入って高速を降りてからも16kmほど走行したが、夜で渋滞が少なかったこともあり、燃費は真昼の渋滞時より向上して8km/リットルを記録した。

結局、今回のドライブの総走行距離は665.6kmで、トータルの燃費は10.5km/リットルだった。この数字は車載の燃費計によるものだが、一応満タン方式での燃費を計算してみた。

郊外を走らせるなら納得の燃費性能

使用した軽油は全部で65.86リットルだったので、計算すると10.1km/リットルとなる。もっとも借り出したスタート時点で既に燃料が若干減っていた可能性がある(燃料計は満タンを指していたが)ので、あくまで参考としていただきたい。

ちなみにディフェンダー110 D300のWLTCモード燃費は9.9km/リットル。高速道路を含んでいるが山道や都内の渋滞もあり、その上でカタログ値よりも好燃費という結果は十分なものだろう。

SPECIFICATIONS

ランドローバー ディフェンダー110 X D300

ボディサイズ:全長4945×全幅1995×全高1970mm
ホイールベース:3020mm
車両重量:2420kg
エンジン:直列6気筒DOHCディーゼルターボ
排気量:2993cc
最高出力:221kW(300ps)/4000rpm
最大トルク:650Nm(66.3kgm)/4000rpm
モーター最高出力:18kW(24.5ps)/10000rpm
モーター最大トルク:55Nm(5.6kgm)/1500rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:Fダブルウイッシュボーン Rマルチリンク
ブレーキ:F&R ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:F&R 225/60R20
車両本体価格:1171万円

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著者プロフィール

永田元輔 近影

永田元輔

『GENROQ』編集長。愛車は993型ポルシェ911。